なぜ石炭火力発電は世界的に撤廃の流れが強まっているの?

撤廃の動きが強まる石炭火力発電


石炭は環境破壊をまねく


 今、世界では石炭火力発電を減らしていく流れが強まっています。その理由を詳しく解説します。



世界で削減・撤廃が進んでいます


 石炭火力発電はこの数年で世界的に削減・撤廃の流れが強まっています。


国名 全廃目標年 石炭依存度
(2013年)
フランス 2023年 4.4%
イギリス 2025年 37.0%
カナダ 2030年 10.0%

 欧米の環境意識が高い国々を中心に、老朽化していない発電所も含めて「全廃」を決定している国も出てきています。


 また、中国やインドでも石炭火力発電所の新設を抑制する長期計画を打ち出したり、韓国では老朽化した石炭火力発電の廃止がムン・ジェイン氏の大統領選挙の公約として掲げられていました。


撤廃の最大の理由は「環境に悪いから」


 先進国だけでなくそうでない国でも「脱石炭」が進んでいる最大の要因は、環境への負荷が極めて大きいという点につきます。石炭火力発電が抱える問題点を解説します。


大気汚染を引き起こす


 石炭は数々の有害物質を多く含んでいます。


成分 被害
硫黄酸化物 喘息や酸性雨
窒素酸化物 呼吸器への悪影響など
有機水銀 中枢神経系の障害

出典:独立行政法人環境再生保全機構 東京都健康安全研究センター


 硫黄酸化物は石油に対して1.47倍(天然ガスは排出ゼロ)、窒素酸化物は石油の1.4倍・天然ガスの2.7倍以上を排出します。


 ちなみに、中国で深刻化している「PM2.5」は家庭の暖房や工場・発電所などで燃やされる石炭が原因と言われており、そのため中国政府は石炭火力発電削減計画を進めています。


大気汚染を引き起こす


CO2排出量が多い


 石炭火力発電はCO2排出量が極めて大きい発電方法です。


 一口に石炭火力発電と言っても様々な方式がありますが、現在主流のものはいずれも1kWhの電気を作るのに0.8Kg以上のCO2を排出します。天然ガスを燃料とするLNG火力発電は0.4Kg前後なので、2倍の排出量です。


 技術革新が進んで排出量も年々下がっているとはいえ、現在の最新技術である「石炭ガス化複合発電」と呼ばれる方式でも、排出量は0.7Kg程度。依然として最新式のLNG火力発電の2倍です。


出典 経産省(PDF)

廃棄物が多く出る


 石炭は「燃える石」と言われているとおり、見た目は真っ黒な石です。これを燃やすと、どうしても大量のゴミが出てしまいます。


廃棄物が多く出る


 現在日本では、石炭火力発電所から年間1000万トン弱のゴミが排出されています。その全てが廃棄されているわけではなく、セメントなどにリサイクルされるものも多くある一方、現在も数%が完全なゴミとして埋め立てられています。


発電方法 廃棄物の量
(1kWhあたり)
石炭火力 49.09g
LNG火力 0.041g
石油火力 1.408g

出典:九州電力


 気体を燃やすLNG火力や液体を燃やす石油火力発電と比べると、廃棄物の多さは桁違いと言えます。


石炭火力発電に頼らない電力会社を選ぶには


 2016年4月の電力自由化以降は、各家庭が好きな電力会社を選択することが可能となりました。環境負荷が大きい石炭火力発電の電気を買わない、という選択もできます。


 石炭に頼らない電気を買えるのは以下の新電力です。


社名 供給地域
ENEOSでんき 関東
昭和シェル石油 関東
東京ガス 関東
大阪ガス 関西

 上記の新電力はいずれも自社発電所で電気のほぼ100%をまかなっており、また現時点の電源構成に石炭火力発電が含まれていません。


 なお、東京ガスは2020年代半ばを目標に大規模な石炭火力発電所を計画中なので、将来的には石炭火力の電気が含まれる見通しです。




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