プリペイド式で契約する電力会社とは

チャージした分だけ使える「プリペイド」電力


 現在の日本の電力契約は、使った量に応じて後から料金を支払う「ポストペイド」方式(後払い)が一般的です。しかし海外に目を向けると、事前にチャージした金額に応じて電気を使う「プリペイド」方式(前払い)で電気を契約できるところもあります。


 この記事では、そうしたプリペイド式の電力契約を解説します。





プリペイド式の電力契約とは


 まずはプリペイド式の電力契約とはどんなものなのか、その概要を紹介します。


プリペイド式の利用方法


 プリペイド式の電力契約を利用するには、プリペイド専用の電力メーターを設置することが必要です。


プリペイド用の電力メーター

プリペイド用の電力量計

 その上で、チャージは専用の「電子キー」や「カード」を使って行います。カードなどを郵便局や銀行などの支払い窓口でチャージし、そのカードをメーターに読み込ませることで「チャージ」が完了し、チャージした金額の分だけ電気を使うことが出来ます。


英国EDFのチャージ用電子キーとカード

英国EDFのチャージ用電子キーとカード

海外では導入している国が多い


 イギリスやニュージランド、ドイツなどの先進国だけでなく、インドネシアやフィリピンなどの新興国でもプリペイド式の電力契約を利用できる地域があります。


 イギリスでは電力最大手のEDF社、インドネシアでは国営電力のPLNがプリペイド式の契約を用意しており、それらの国では一般的な契約方法として定着しているようです。


日本でも一部で導入済み


 日本でも、実は電力自由化を機に東京電力エナジーパートナーや中国電力などが主に法人向けに「前払い式」とも言えるプランを導入しています。


 例えば中国電力の「らくらく前払プラン」の場合、対象は電灯・街灯などで、1年分をまとめて前払いすることで1ヶ月あたり21.6円割引するという内容になっています。


 海外の一般家庭で選べるような形のプリペイド式の契約は、今のところ日本国内には存在しません。


プリペイド式電力契約のメリットは


 では、プリペイド式の電力契約にはどのようなメリットがあるのでしょうか。消費者の側から見た利点を紹介します。


節電意識が高まる


プリペイド式で節電意識が高まる


 電気を使う度に、チャージした金額が減っていきます。後払い方式と比べて電気代を「支払っている」という意識が強くなるため、節電意識が高まります。


 アメリカのコンサルティング会社Distributed Energy Financial Groupの調査によれば、電力の契約をプリペイド式に切り替えることで電気消費量を5.5〜14%削減する効果があり、プリペイド式の契約は節電行動を強めるという調査結果を公表しています。




デメリットも大きい


 節電意識が高まるメリットがある一方で、デメリットもあります。


後払い方式より料金が割高な場合も


 電力会社にとっては料金滞納リスクが無く、また資金繰りの面でも有り難いプリペイド式の契約ですが、必ずしも後払い方式よりも安い料金で電気を使えるわけではありません。


プリペイド方式の方が料金が高いこともある


 例えばニュージランドでは、後払い方式よりもプリペイドの顧客の方が10%以上割高な料金を支払っているという指摘(出典:consumer.org.nz)があったり、インドネシアではリザル・ラムリ海事調整大臣が電気料金のチャージ時に発生する高額の手数料を批判したりしています。


生存権が脅かされる危険性


 電力供給は水道と並んで、人間らしい生活を営むのに絶対必要不可欠なインフラの一つです。


 プリペイド契約の場合、チャージ額を使い果たすと電気の供給が途絶され停電します。日本で一般的な後払い方式の場合、支払いが1ヶ月程度遅れてもすぐに電気が止まることはありませんが、プリペイド式では即停止します。


生存権が脅かされる


 料金をちゃんと支払うことは言うまでもなく契約上の「義務」です。しかし経済的に困窮している人の中には、努力をしても支払い期日に間に合わないことがある人もいます。チャージ額がゼロ、即停電ではそうした人々の生活が脅かされることになるでしょう。


 途上国では貧困層への電力供給をプリペイド式で開始することは、事業者の料金徴収漏れを防ぐという点で大きな効果を発揮します。しかし、豊かな先進国において特に貧困層にプリペイド式の契約を強いることは社会福祉上の問題を生むことに繋がりかねないでしょう。




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