電力自由化で大停電が起こる? | 供給不安の問題

カリフォルニアでは大停電が発生

 海外での電力自由化では、電力供給が不安定になり「大停電」を引き起こした事例があります。その代表的な例が米国カリフォルニア州です。大規模な輪番停電(東日本大震災後に行われた計画停電と同じ感じです)が実施され、数百万人が影響を受けたと言われています。日本でも同じことが起こるのではないか、という心配の声が挙がっているので詳しく解説します。


カリフォルニア電力危機の原因は?

まとめると以下の3つの要因に集約されます。


1.州の環境規制
 厳しい環境規制が実施された影響で、電力会社が新規の発電所建設をためらってしまいました。


2.電気の卸売価格の不正操作
 エンロンという会社(新電力に相当)が制度の欠陥を悪用し、電力の卸売価格を大幅に吊り上げました。エンロンは電力会社から発電所を次々に購入し、そして電力の「売り惜しみ」を行い、人為的に電力不足の状況を生み出すという手法で、電力価格の吊り上げを実行しました。


3.天候とITバブル
 需要が増えたという理由です。当時はITバブルの影響で、シリコンバレーを抱えるカリフォルニア州の電力需要は上昇基調にありました。また、夏の猛暑など天候による影響もありました。




日本でも電力不足が起こるのか

自由化の監視機関  では、日本では大丈夫なのでしょうか。
 少なくとも、カリフォルニア州のような事態に陥る可能性は低いと思います。我が国での電力「完全」自由化は欧米から遅れること15年以上。海外での自由化の失敗をふまえて、同じ過ちが起こらないように制度設計がされています。


 例えば、経産省は公正取引委員会と共同で電力取引の指針を取りまとめる予定ですが、その中で(エンロンが起こしたような)売り惜しみによる価格のつり上げを禁止し、違反した場合は行政処分の対象と定めます。行政処分に従わない場合は、電力小売の免許取り消しなど厳しい処分につながるので、エンロンのようなことをする会社は出てこないはずです。


発電所の増設も順調

発電所の建設  カリフォルニアでは環境規制を原因として、発電所の建設が滞りました。一方、日本では今のところ、発電所の新設が活発に行われる見通しです。都市ガス会社や石油会社系の新電力を中心に、LNGや石炭火力発電所の新設が相次いで計画されており、大手だけでも合計で原発10基分もの新設が予定されています。
 風力発電を始めとする再生可能エネルギーへの投資も加速していますし、原発の再稼働も少しずつ進んでいくでしょう。「電力広域的運営推進機関」による調整も行われますから、電力不足の心配は「当面は」必要ないと思います。


送電網は大丈夫?

送電網  自由化すると、送配電網への投資が滞るという指摘があります(詳しい理由は日本総研 瀧口 信一郎氏資料を参照)
 こうした事態が起こさないために、電力広域的運営推進機関が中心となって送配電網を調整する仕組みも取り入れられています。不足があれば入札で民間事業者を募り、建設を行うことになっています。既に2013年には、丸紅やソフトバンクなどが風力発電用の送電線整備事業を落札しています。
 こうした仕組みが活かされることで、送電網の不足を防ぐことが出来ると期待されています。


完璧な制度は存在しない

 海外の失敗をふまえて制度設計がされていますが、どこかに欠陥があるかもしれません。また、その欠陥を悪用するエンロンのような会社が出てこないとも限りません。国民全体で、電力自由化をしっかりと監視していく必要があると思います。




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