マンション高圧一括受電のメリットとデメリット

マンションの「一括受電」のメリットとデメリット


 電力自由化後は下火になっているものの、大規模マンションを中心に「一括受電」の導入を進める動きはまだあります。というわけで、一括受電のメリットとデメリットを、詳しく解説したいと思います。


 ちなみに、私自身は居住していませんが一括受電導入済みのマンションに部屋を持っているので、そのエピソードもあわせて紹介します!



一括受電を導入するメリットは


 まずは一括受電のメリットから説明します。


電気代が安くなる


 一括受電を導入する最大にして唯一のメリットは「電気代が安くなる」ということです。


一括受電は電気代が安くなる


 料金体系はマンションによって異なりますが、専有部分(各戸)で数%程度〜共用部分については数十%もお得なプランを提示する業者もあるようです。私が所有する一括受電導入済みのマンションではそんな感じです。


 一括受電大手の中央電力のサイトでは「共用部分」で20〜40%、「専有部分」で最大10%安くなると謳われています。


 導入にあたって設備の改修が必要となりますが、それらの費用負担も無い場合がほとんどです。負担無しで月々の電気代が安くなる、というのは大きな魅力と言えるでしょう。




導入してからでは遅い 一括受電のデメリット


 続いて、一括受電のデメリットや欠点を紹介します。


各戸ごとに電力会社を選んだ方がお得な場合も


 2016年4月にスタートした電力自由化では、これまで自由に選ぶことが出来なかった電力会社を、各家庭ごとに選択できるようになりました。分譲・賃貸問わずマンションやアパートもその対象です。


 電力自由化で参入した新電力の中には、従来の電力会社よりも10%以上安い料金プランを提示している会社も少なくありません。条件によっては、新電力から一括受電に切り替えることで、損をする家庭も出てくる場合もあります。


 一括受電を導入すると各戸ごとに電力会社を乗り換えることが出来なくなるため、既に安い新電力と契約している住民からの反発も予想されます。


今後の料金相場の変化に対応できないリスク


 東日本大震災後の原発停止により、電気料金は全国的に「高止まり」を続けています。しかし西日本を中心に再稼働が徐々に進み、電気料金の「値下げ」の動きが活発化しています。


 一括受電は、「高圧電力」と「低圧電力」の価格差を利用してお得な電気料金を提示しています。高圧と低圧の料金差は電気料金の値下げが行われても大きくは変わらないため、全国的な値下げがあっても一括受電の業者への影響は大きくはありません。


 しかし、場合によっては大手電力会社が値下げしても一括受電の料金が値下げされない、ということも起こるでしょう。その場合は当初想定した削減額が達成されなくなります。


 家庭向けの新電力でもそうですが、大手電力会社の値下げに追随して値下げするのが「当たり前」ですが、値下げ前よりも削減額(大手電力と比較した料金差)は少なくなるのが一般的です。


 大手電力が値下げをすると、いずれにせよ当初予定されていた削減額の達成は難しくなります。


中途解約が難しい(10年契約が基本)


一括受電は10年縛り


 一括受電は「10年契約」が基本です。途中で解約するには、マンション管理組合などが一括受電業者に対し、高額な違約金を支払う必要があります。


 一括受電を導入するにあたって、変電設備や新しいメーターの設置が必要となります。そうした設備の設置費用が発生しないかわりに、10年という長期での契約が必要となります。


 10年も経てば日本の電力事情も変わっています。こうした長期契約は将来現れるかもしれない「より良い選択肢」を選ぶ機会を奪うリスクがあります。


 ちなみに、各家庭ごとに契約できる新電力の場合は、契約期間に関係なく違約金無しで解約できる会社が多いです。


1〜3年に一度の停電が必要


一括受電を導入すると数年に一度停電する


 一括受電を導入した建物では1〜3年に一回の頻度で「全館停電」を行い、設備の点検をすることが法律で義務付けられています。停電時間はおおむね1〜2時間程度が多いです。


 エレベーターや冷暖房が一時的に使えなくなるという不便ですし、私のように在宅で仕事をしている人間にとってはなかなか頭の痛い問題です。また、自宅で介護や治療を受けている人や、保温が必要な熱帯魚や爬虫類を飼っている人にとってはそれこそ「死活問題」になります。


売却・賃貸募集時に悪影響も


 国土交通省の指針により、一括受電を導入している建物で賃貸を募集したり、売却を募る場合は重要事項説明として一括受電を導入している旨を説明する必要があります。


 既に新電力で安い料金を享受している人や、エネルギー問題に強い関心を持っている人は、特に一括受電を嫌います。賃貸募集や売却時にマイナスポイントとなる可能性はゼロではありません。


 私が知る限りでは一括受電が理由で賃貸契約が決まらなかったという話は聞いていませんが、私自身は一括受電のマンションには住みたくないです。


一括受電は賃貸募集・売却でマイナスポイントになる


合意形成が難しい


 一括受電の導入にあたって、マンションの管理組合の総会での決議後、「入居者全戸」の同意が必要となります。


 「入居者」というのは所有者ではなく、賃貸で住んでいる人も含めた文字通りの入居者が該当します。住戸はもちろん、店舗が入っている場合はそのテナントの同意も必要です。それらの合意を取りまとめるのは非常に大変なことです。


 ちなみに、私が部屋を持っているマンションで一括受電を導入する際、賃貸(某メガバンクの借上社宅)で住んでいた1戸の反対で導入が一時ストップしたことがあります。他の200戸超と店舗や事務所が全て同意していても、一人の銀行員の反対で完全停止しました。
 (家主が銀行に掛け合って賃貸借契約の更新をせず、銀行員が退去したことで導入に至りました)


まとめ


 まとめます


今更導入するメリットは無い


 電力自由化で安い電力会社を選べるようになった今、わざわざ一括受電を選ぶメリットは少ないですし、デメリットの方が大きすぎます。見送るのが吉ではないでしょうか。


共用部分だけでも電力会社を変更可能


 一括受電のように「共用部分40%オフ!」というのは難しいですが、共用部分だけでも電力会社を切り替えることは可能です。見積もりを取ることをおすすめします。




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