「電力自由化で電気料金が上がる」は本当?

自由化で逆に高くなる?

 「既に電力自由化をした国々では、自由化前よりも電気料金が上がった」  こんな話をテレビや新聞などでよく目にします。自由化というと、競争で料金が下がるイメージが強いですが、逆に値上がりするというのは本当なのでしょうか?


値上がりした国が多い

 欧米では90年代から既に電力の自由化が実施されています。そうした国々で電気料金がどうなったのかというと、マスコミが指摘している通り自由化前よりも高くなっている国がほとんどです。例えばイギリスでは、1999年の小売自由化から2004年までの6年間は全体の水準が下がりましたが、その後は一貫して上昇し、自由化前の2倍の料金水準になっています。ドイツやアメリカでも同程度の値上がりが見られます。


なぜ値上がりしたのか

 では、なぜ海外では電力自由化によって電気料金が大幅に上がってしまったのでしょうか。その原因を指摘しながら、日本にもそれが当てはまるのか考えてみましょう。


要因1 燃料価格の高騰

 欧米で電力自由化が進められたのは90年代のことです。  実は、90年代と2000年以降を比べると、石油や天然ガス、石炭といった天然資源の価格が大きく異なります。99年と2014年の価格を比べると、石油(WTI)は4.8倍、天然ガス(欧州向け)は5.7倍、石炭も2.9倍にまで価格が暴騰しています。


 発電に使う燃料の価格が何倍にも上昇すれば、電気料金が上がるのは当然のことです。「電力自由化で値上がりした」のではなく、「燃料が値上がりして電気料金が上がった」と言うのが正しいでしょう。


要因2 再生可能エネルギー

風力発電をはじめとする再生可能エネルギー  特にドイツでは、この要因が電気料金を押し上げています。日本でも「再生可能エネルギー発電促進賦課金」を消費者が支払っていますよね。海外でもこうした、再エネを普及させるために徴収されている「税金」のようなものがあります。ドイツでは、自由化された90年代後半と比べて、消費者が負担する「税金」の類は3倍以上にまで増えました。実に、電気料金の半分近くをこうした税金の類が占めるまでになっています。


要因3 寡占化

 自由化で競争が生まれると思いきや、思うように競争が促進されずに寡占化が進んだ国も多いです。例えばフランスでは、上位3社が国内シェアの96%を占めています。ドイツでも上位3社で半分のシェアです。競争の結果、電力会社が淘汰されていった結果でもありますし、そもそもの制度設計上の欠陥によって引き起こされたものでもあります(送配電網の扱いなど)


日本はどうなるのか

 では、日本での電力自由化はどうなっていくのでしょうか。


エネルギー価格

 資源価格はピークをつけた2010〜2014年頃と比べると、格段に安い状態が続いています。急激に値下がりが進行したため、資源国の政情不安の原因にもなっています。シェールオイルなど、新たな油田の開発が進んでいますから、かつてのように価格が暴騰する可能性は「当面はない」と言われています。しかし、行き過ぎた水準は長続きしないのが相場の常ですから、5〜10年というスパンで見れば、今よりも高くなるのは間違いないでしょう。


再生可能エネルギー

 日本では主に、「再エネ賦課金」という形で、毎月の電気料金と一緒に環境対策の「税金」が徴収されています。この再エネ賦課金は、毎年引き上げが行われ、制度が始まった2012年度と比べて10倍(2016年度予定)の水準になっています。
 更に、2030年に目標とされている水準を満たすには、2016年度の2倍という再エネ賦課金を徴収する必要があるとされており、更なる負担増は避けられない情勢です。


 具体的な負担額は、月300kWhを使う家庭(2人暮らしの平均よりやや少ない程度)では、2016年度は月675円の負担になります。それが2030年には1350円(2倍で計算)となるわけですから、料金が安い会社に乗り換えて得られる節約効果を全て帳消しにしても足りない勢いです。


寡占化

 日本では商社、石油会社、ガス会社、通信会社など体力のある会社が電力事業に続々参入しています。数年後には消えていそうな「わけの分からない」新電力も多いですが、ちゃんと残りそうな会社もたくさんあります。
 また、日本の電力自由化は海外の失敗事例を踏まえて計画が進められてきました。発送電分離も監視機関の管理の元、2020年を目処に行われます。発電コストが安い原発を従来の電力会社が独占している、といった問題はあるものの、携帯電話のように大手数社しか無いような状況にはならないでしょう。


結論


極端な値上がりの可能性は低いものの、
今より高くなることは「確定事項」




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