電力自由化の勝者は一体誰なのか?

誰が得をしたのか。


 関係者の期待を大きく裏切り、盛り上がりに欠ける電力自由化。切替件数は週を追うごとに勢いを失い、今や風前の灯火とも言える状況です。では、電力自由化という一大イベントで得をした人はいたのでしょうか。一つ一つ見ていきます。


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電力自由化のデータ(乗り換え件数)

旧地域独占電力会社


 東電や関電を始めとする大手電力会社。電力自由化以前は家庭向けの顧客を独占することが許されていました。しかし、全世帯の約2%とごく僅かとはいえ顧客を奪われているのは事実です。しかも、大きな利益をもたらしてくれる「使用量が多い世帯」の流出が目立ちますから、決して勝者とは言えないでしょう。


 そうした中でも、沖縄電力が新電力に奪われた顧客の数は0件、北陸電力でも1500件とごく僅かです。一概に敗者と断言することは出来ません。


新電力


 東京ガス大阪ガスでは数十万件、ENEOSでも10万件を越える顧客を獲得しています。こうして順調に獲得を伸ばしている新電力がある一方、家庭向けに参入を果たした100社近い会社のほとんどが、思うように契約を獲得することが出来ていません。


 例えば首都圏向けに参入した九電みらいエナジーは500件、北陸電力は340件、中国電力が100件強、東北電力は60件(SankeiBizより)と僅かな顧客しか獲得出来ていません。いずれの会社も、料金面での魅力度では「中位クラス」(東北電力を除く)ですから、それより料金が高い新電力では更に苦戦を強いられているはずです。


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電気料金比較サイト


 エネチェンジやカカクコムなど、多数の電気料金比較サイトが存在しています。先に電力自由化が行われたイギリスでは、電力会社の切替の44%がこうした「比較サイト」経由(エネチェンジ社資料より)となっており、我が国でも自由化前までは大いに注目を集めていました(かくいう当サイトもその一つです)


 ですが、どうでしょうか。業界最大手と見られるエネチェンジ社では、自社のサイト経由での申込件数が1万件を越えた、と4月20日に発表しています。カカクコムは件数を発表していませんが、おそらく同程度かそれより少ないと思います。また、それ以外の比較サイト経由での申し込みなど微々たるもの、例えば「自称業界3位」の当サイトからの申し込みは1〜4月の合計で600件くらいです。


 電力広域的運営推進機関の発表によれば、4/30時点で電力会社の切替が行われた件数は全国で約82万件です。一方、料金比較サイト経由での申し込みは、全て足しあわせてもせいぜい2〜3万件程度でしょうか。3万件と仮定しても、切替件数に占める比較サイトのシェアは3.6%です。電力自由化そのものの勢いも失われていますから、惨敗と言うほかありません(トホホ・・)


消費者


 5/20時点で電力会社を切り替えたのは全体の1.9%の世帯。欧米で先に電力自由化が行われた国々では、自由化後の3ヶ月で1〜2割の消費者が電力会社を変えた(日経新聞 5/3朝刊)と言いますから、惨憺たる結果と言えます。


 そうした中でも電力会社を乗り換えた1.9%の世帯では、既に乗り換えのメリットを享受しているご家庭も少なくないでしょう。電気料金には安くなってもメリットを感じにくい特性があるので、知らず知らずに節約効果が出ているはずです。


システム開発業者


 新電力が電力ビジネスに参入するにあたって、システム関連の投資が発生しています。顧客の需要を予測するシステムや、顧客情報を管理するものなど、様々なものが必要になるからです。こうしたシステム開発を行っている会社は、100社を越える新電力から大量の受注があったはずです。


 1800年代のアメリカでゴールドラッシュが起きた時に、一番儲かったのは金の採掘に参加した人ではなく、そうした人たちを相手に商売をした人たちである、という話があります。2016年の日本の電力自由化でも、同じことが起きているとは皮肉な話ですね。




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