電力自由化のデメリット


消費者にとってのメリット・デメリットは
新電力に乗り換えるメリットとデメリットは?で紹介しています


電力自由化のデメリット


 一見すると素晴らしい制度ですが、そこには少なからず「落とし穴」があるのも事実です。電力小売り自由化という制度自体が抱える問題点・デメリットについて見ていきましょう。



自由化バブル

 既に「自由化バブル」ともいうべき現象が発生しています。2015年5月16日の日経新聞の記事によれば、首都圏では合計1300万キロワット分の火力発電所の建設計画があるそうです。この1300万キロワットという数字は原発13基分もの出力に相当する量で、供給過剰の懸念がある、と記事で指摘されています。


 原発が全国で停止していて、真夏や真冬の電力使用量のピーク時に供給が逼迫している、というのが震災以来の日本の電力事情の大きな懸念事項です。とはいえ、首都圏だけで原発13基分もの火力発電所が新たに稼働するというのは、過剰な設備となる可能性が非常に高いといえるのではないでしょうか。競争の激化により電気料金が下がる効果も期待できますが、行き過ぎると供給の不安定化を引き起こします。


天然ガスへの依存

 また、新設が予定されている発電所の多くは天然ガスによる火力発電所です。石油と比べると圧倒的に発電コストが低い(参考:発電方法で選ぶ)というのが選ばれている理由ですが、天然ガス(LNG)への依存度の高まりが日本経済への新たなリスクとなる可能性もあります。例えば英国では電力の小売自由化後、一旦は電気料金が下がったものの、原油価格の高騰などを原因として以前よりも電気料金は高くなっています(参考:海外の先行事例


 天然ガスは世界中に資源が点在していて、石油などと比べると安定的に供給できる燃料ではありますが、リスクとなってしまう可能性はゼロではありません。


石炭への依存の高まり

 石炭は安価かつ、国内を含め世界各地で安定的に採掘できる資源です。多くの新電力事業者がこの石炭を使った火力発電に注目していますが、石炭火力発電は環境への負荷が大きいと言われています。例えば、二酸化炭素の排出量は最新のコンバインドLNG発電(ガス)の2倍です。また、中国で深刻な大気汚染を引き起こしている「PM2.5」も、安価な石炭を古い設備で燃やしているために発生しているものです(さすがに日本の環境基準は厳しいので、中国のようにはなりません)


 とにかく安く発電できるために、多くの事業者が石炭火力発電所を建設しようと計画しています。しかし環境への負荷の問題もありますから、環境省がそれに対して待ったをかけている状況で、今後の推移を見守る必要がありそうです。


節電意識の低下を招く?

 電気料金が安くなるので、節電意識の低下を招く可能性があります。しかも、多くの電力会社では「電気を使えば使うほど割引率が高くなる」という料金設定をしています。無駄に電気をたくさん使う家庭がより優遇される、というのは果たして正しい姿なのでしょうか。


逆に値上がりを招くことも

 90年代に自由化した欧米では、自由化前よりも軒並み料金水準が上昇しています。これは燃料価格の高騰などが主な要因ではありますが、日本でも同様の事態が起きる可能性は高いでしょう。(関連記事: 「電力自由化で電気料金が上がる」は本当?


サイバーテロのリスク

 既に500社もの「新電力」が産声をあげています。今までは10社しかなかった電力会社が、一気に50倍以上にも増えたのです。プレイヤーが増えれば必然的に、個々の電力会社を狙ったサイバーテロも起こりやすくなるでしょう。セキュリティの専門家の中には、自由化によるサイバーテロリスクの高まりを指摘する人もいます。


メリットもたくさんある


 デメリットばかり記述してきましたが、メリットもたくさんあります。米国のカリフォルニア州では、電力自由化によって停電が頻発したこともありましたが、我が国ではそうした「失敗」を徹底的に検証した上で、制度設計を行っています。いくつかの問題も抱えながら、きっと成功すると思います。



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