高圧電力から低圧電力に切り替えるメリットとデメリット

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高圧受電から低圧受電に切り替える利点・欠点


 諸々のコストを削減することを目的として高圧電力から低圧電力への変更を検討している方のために、変更するメリット・デメリットを分かりやすく整理して解説します。



低圧受電に変更するメリット


 まずは高圧電力から低圧電力へと切り替えるメリットを紹介します。


高圧受電設備が必要無くなる


キュービクル

キュービクル

 高圧電力契約で設置が必要な高圧受電設備(キュービクル等)は、低圧受電では必要の無い設備です。低圧受電では電力会社が電柱の上などに設置している変圧器などで変圧を行います。


 例えばキュービクル内の変圧器は耐用年数が20年、電力ヒューズなどは15年となっており、高圧契約では電気料金とは別途、これらの設備の導入・維持費用が必要となります。低圧契約ではこれらの多くの設備が必要ありません。


 単に導入・維持費用の問題だけでなく、特に地価が高い地域ではキュービクルの設置面積分の地代・家賃分の負担を軽減する効果も期待できます。低圧電力への切り替えによって新たなスペースが生じます。


電気主任技術者の選任が必要無くなる


 高圧契約では保安のため、「電気主任技術者」を選任する必要があります。一般的に月額数万円前後の費用が発生します。低圧契約では電気主任技術者の選任が必要無いため、その分の費用を削減することが出来ます。


基本料金が安くなる


 電力の契約は契約容量が増えるごとに、基本料金が高くなるのが一般的です。原則として50kW超の高圧電力と、50kW未満の低圧電力とでは後者の方が基本料金が安いです。


 また、基本料金の単価自体も低圧電力の方が安く設定されている場合があります。東京電力エナジーパートナーの料金プランで比較します。


高圧電力 低圧電力
プラン名 業務用電力 低圧電力
基本料金
kWあたり
1716.00円/kW 1122.00円/kW

 例えば55kW(高圧)と45kW(低圧)では、毎月の基本料金が4.3万円の差となります。容量は約2割の差ですが、基本料金は約5割の差となります。


低圧受電のデメリット


 低圧契約にもデメリットがあります。


電力量料金(従量料金)が高い場合も


 電力量料金(従量料金)については、低圧契約の方が高圧契約よりも高くなるケースもあります。


高圧電力 低圧電力
夏季 17.54円/kWh 17.37円/kWh
その他季 16.38円/kWh 15.80円/kWh

 低圧電力(動力用)については低圧契約の方が安いです。一方、電灯相当で比較すると大幅に高いことが分かります。


業務用電力(高圧) 従量電灯(低圧)
その他季節 16.38円/kWh 1〜120kWh 19.88円/kWh
夏季 17.54円/kWh 121〜300kWh 26.48円/kWh
301kWh〜 30.57円/kWh

 基本料金と差し引きで、「電気料金」自体は高圧契約とさほど変わらないか、かえって割高となるケースもあるでしょう。とはいえ、キュービクルの維持管理コストなどを考えると、低圧の方がトータルでは安く済むケースが少なくないと言えます。料金プランが安い新電力と契約することで、電気料金を抑えることも可能です。


 24時間営業のコンビニの場合、あえて高圧電力を契約するケースもあります。コンビニは契約容量に対して多くの電力を使用するため、高圧受電の方がトータルで安くなると判断されるケースがあるためです。


低圧受電に切り替える方法


 低圧電力に切り替える方法を紹介します。


設備を削減する・省エネ化


 コストを削減したいからといって、契約容量を無理やり引き下げて低圧電力に切り替えてしまうと、十分な電力を使用できず業務に支障が生じる恐れがあります。低圧電力に切り替えるにあたっては、省エネ化が必要となる場合があります。


 例えばLED電球への変更、また空調設備を省エネ性能の高いものに変更する、あるいは一度に多くの電力を使用しないよう業務を見直すことで低圧電力への切り替えが可能となる場合がありますし、施設の規模が大きい場合はそうした努力では達成できない場合もあります。


電子ブレーカーを導入する


 電子ブレーカーという製品を導入することで、電気の契約容量を大きく削減出来る場合があります。我が家の機械式駐車場(収容台数30台)はもともと低圧契約でしたが、電子ブレーカーを導入することで契約容量を約半減することが出来ました。


ネオ・コーポレーションの電子ブレーカー

ネオ・コーポレーションの電子ブレーカー

 通常のブレーカーは瞬間的に契約容量を超える電流が流れると供給を遮断しますが、電子ブレーカーでは一定時間内まで許容されるため、契約容量を削減してもこれまで通り電気を使うことができ、結果として高圧電力から低圧電力へと変更することが可能となる場合があります。


 コンビニのように負荷率の高い使い方をしている場合は、導入メリットが薄い、あるいは高圧から低圧電力に切り替えられるほど削減出来ない場合もあります。


 電子ブレーカーについては業界大手のネオ・コーポレーションに問い合わせてください。


高圧電力のまま電気代を削減する方法も


 高圧電力から低圧電力への切り替えは設備の入れ替えや費用が発生する場合もあり、ハードルが高いと言えます。そこでおすすめなのが、高圧電力のまま契約する電力会社を見直すことです。費用は掛からず、書類のやり取りだけで完了します。


料金削減例
施設 契約容量 年間電気代(削減前) 年間削減額 削減率
オフィスビル 91kW 373万円 75万円 20%
工場 550kW 2610万円 690万円 27%
病院 784kW 4984万円 563万円 11.3%
商業施設 210kW 1131万円 297万円 27%
中小法人 79kW 200万円 92万円 46%

 高圧電力は2004年から自由化され、多くの新電力が参入し熾烈な価格競争を繰り広げています。電力会社を変えることで、電気料金が現在よりも1〜2割、条件によってはそれ以上削減できることもあります。一括見積りサイトで見積もりをとることをおすすめします。


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