マンション共用部の電気代が大幅値上げ 管理組合はどう対応すべきか

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マンション共用部の電気代値上げ どう対応すべき?


 2021年下半期から続く電気代高騰。マンション管理組合や大家はどう対応すべきか。2014年から当サイトを運営する傍ら、最近タワーマンションの管理組合理事になった私が対応策を解説します。



相次ぐ電気料金値上げ 原因と影響は?


 まずは現在、そして今後の電気料金の見通しを解説します。


燃料費調整の高騰


 2022年現在、既に発生している電気料金の「高騰」は燃料価格の高騰によるものです。


 電気料金には基本料金と電力量料金に加え、燃料費調整額という項目があります。燃料費調整額は会社やプランによって計算方法が異なる場合がありますが、財務省貿易統計に記載された燃料価格と為替レートによって計算されます。


 2021年秋ごろから、新型コロナ禍からの経済活動の再開を受けて燃料価格が高騰、そして急速な円安が進行したことで燃料価格が高騰し、電気代が高くなっています。


料金単価の値上げも実施予定


 燃料費調整額の高騰は2022年現在既に起きていますが、今後は電気料金本体部分も値上げされる見通しです。


 例えば東京電力エナジーパートナーは2023年度以降、大規模マンションなどで利用されている高圧電力の料金を引き上げることを発表しています。値上げ幅は2022年現在の高騰している料金水準を基準として2割程度とされています。


 また、中小規模マンションの共用部で利用されていることが多い従量電灯プラン(低圧)に関しても、中国電力や東北電力などが値上げする方針を表明しており、2023年春以降に値上がりする可能性があります。


高止まりの継続と一段の値上がり懸念も


 燃料価格・円安の高止まりが継続することが懸念されている上、電気料金本体部分の値上げも順次実施されることから電気代の高止まり継続と、今後(具体的には2023年春以降)一段と値上がりすることは避けられない情勢と言えます。


 長期的には世界的な経済活動の停滞や、産ガス国での増産と輸出機能の増強、日本での原子力発電所の再稼働などにより電気料金が下がる可能性はありますが、高止まりした状況は少なくとも2025〜27年頃まで続くと見ています。


管理組合はどう対応すべきか?


 マンション管理組合や一棟所有の大家さんはどうすべきか。対策は以下のとおりです。


まずは節電の徹底を


 電気の使用量を削減することで電気代を抑制することが出来ます。電気代が高騰しているため、節電によるメリットはかつて無いほどに高まっていると言えます。


 共用部の空調を(深夜時間帯だけでも)停止する、照明を間引く、消費電力が小さいLED照明に交換する、階段使用の励行といったことが具体的な策として考えられるでしょう。


タワーマンションのエレベーター

エレベーターも電気を使用する

電力会社を見直す


 現在契約している料金プランが割高になっていないか、確認することをおすすめします。直近の状況では、「日本卸電力取引所」における電力取引価格に連動して電気料金が変動する料金プランの電気代が特に割高になっています。


 また、低圧電力を使用している中小マンションで大手電力の新しい料金プラン(「従量電灯」以外のもの)や、新電力の料金プランを契約している場合、大手電力の従量電灯プランよりも割高になってしまっているケースがあります。大手電力従量電灯以外のプランでは、燃料費調整額に上限が無い一方、大手電力従量電灯には上限があるため、上限の有無の違いによって電気代が高騰しているケースがあります。上限が無いプランを契約している場合は、上限設定があるプランに変更することをおすすめします。


関西電力の燃料費調整単価

関西電力の燃料費調整単価(低圧)

 高圧電力は以下の見積もりサイトで料金の見積もりが可能です。


サイト名 対応種別 対応地域
エネチェンジ 高圧・特別高圧 全国

太陽光発電の導入検討


太陽光発電


 電力会社から購入する電力の量を削減することで、電気代の抑制が可能です。太陽光発電設備の導入は電気代削減や売電収入により基本的に「元が取れる」と言われており、電気代高騰下では特にメリットが大きくなっています。


 太陽光発電を設置できるスペースを確保できるマンションでは、太陽光発電の導入も検討することをおすすめします。空調などで昼間の電気使用量が一定以上あるマンションにおすすめです。


 太陽光発電設備は同じメーカー・同じ製品であっても、購入する代理店や工事業者によって最大で1.6倍程度の価格差が生じていると経産省の研究会が報告しています。必ず一括見積もりサイトなどを利用して価格をよく比較することをおすすめします。


サイト名 対応地域
タイナビ太陽光発電一括見積り 全国

管理費の値上げ


 私が理事をしているタワーマンションでは東電の高圧電力を利用しています。今後東電が値上げを実施することで管理組合が負担する電気代は年間で640万円程度値上がりするものと考えられます(年間電気代約3200万円:650kW契約) 1戸あたり月1000円程度の負担増となります。


 管理組合の財政状況を把握していないため現時点では不明ですが、電気代の高止まり長期化が予想されていることを踏まえても電気代高騰を理由として管理費を引き上げることも検討せざるを得ない場合も出てくるでしょう。特に戸あたりの電気使用量が大きくなりがちな、共用設備が充実したタワーマンションで影響が大きくなるでしょう。




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