再エネ電力を選ぶ際に注目すべき「追加性」とは何?

その再エネを選ぶ意味があるのか、という問題


 再エネには「追加性」と呼ばれる要素があります。実はこの追加性が無い再エネ電力を購入しても、再エネの支援や地球温暖化対策には貢献できない可能性があります。「追加性」について分かりやすく解説します。



再エネ電力の「追加性」とは?


 まずは「追加性」とは一体何なのか、初めてこの言葉を聞く一般消費者に向けて、分かりやすく解説します。


その電力を選ぶことで再エネが増えるのか


 追加性を分かりやすく言い換えると、その再エネ電力を選ぶことで「世の中に再エネが増えるのか」という話です。


 例えば「徳島の鳴門金時」を選んで買う人が増えれば、徳島の鳴門金時農家が鳴門金時の作付け面積を増やすことが期待できますよね。


中部電力の電源構成

中部電力の電源構成(2019年度、同社公式サイトより)

 再エネについても、その再エネを選んで買ってくれる人が増えることで再エネ発電設備の導入が期待できるものは「追加性あり」と評価されます。一方、その再エネを選んでも再エネが世の中に増える効果が期待できないものは「追加性なし」となります。
 先の鳴門金時の例でいうと、追加性が無い再エネは「じゃがいも」にあたります。じゃがいもをいくら購入しても、徳島県産鳴門金時の作付面積も生産量も増えません。


 追加性のある再エネを購入する人が増えることで、太陽光発電や風力発電といった再エネ発電の導入が増え、CO2排出量が減り、地球温暖化対策に貢献することが出来ます。


追加性が無いものにお金を払う意味は無い


 詳しくは次の項目で紹介しますが、世の中には「追加性が無い」再エネが存在します。


 そのような追加性が無い再エネ電力を購入しても、世の中に再エネは増えず、地球温暖化対策には貢献出来ません。もっとも、自宅で使う電力のCO2排出量は削減できますが、世の中全体のCO2排出量が減るわけではない(他の人の排出量が増える)ので、それほど意味のある選択とは言えないでしょう。




追加性がある再エネと、無い「再エネ」の違い


 では、どのような再エネに追加性があるのか、孫正義氏が設立した自然エネルギー財団の資料をもとに解説します。


追加性がある再エネの一覧


 まずは追加性がある再エネ電力の種類を紹介します。



 一番目の再生可能エネルギーで発電された電力というのは、多くの人がイメージする太陽光発電や風力発電、地熱発電などでつくられた電力です。電力会社の電源構成の中で「再エネ」あるいは「再エネ(FITでない)」と表記されているものが概ね該当します。


 注意点としては、再エネで発電された電力でも「FIT電気」と「大規模水力(一般水力:発電容量3万kW以上)」には一般的に追加性が認められない点です。水力は水力でも、中小水力(FIT電気でないもの)には追加性があります。


追加性が無い再エネの一覧


 追加性が無い「再エネ」をまとめます。



 「FIT電気」は固定価格買取制度によって買い取られた、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーでつくられた電力ですが、日本の制度上この電力は「CO2を排出する」「再エネではない」ものとして扱われるため、そもそも再エネ電力ですらなく、追加性もありません。


 大規模水力発電所は稼働から数十年以上が経過し、また国内での新設が難しいです。こうした発電所でつくられた電力を購入しても、新たに大きなダムが建設され、水力発電が増えるわけではないという整理がされています(大規模水力でも、発電タービンの増設などで追加性が認められる場合もある)


水力発電のダム

水力発電には追加性が認められない場合が多い

 非化石証書(再エネ指定)については、火力発電などで作られた電力にこの証書を付けることで「実質再エネ」「CO2排出ゼロ」と扱うことが出来るルールになっていますが、追加性が認められない点には注意が必要です。FIT電気に非化石証書(再エネ指定)を付けた場合は追加性が認められる場合があるので、この辺りはややこしいですね。


追加性がある再エネを購入できる電力会社の一覧


 追加性がある「再エネ」の電力を購入できる電力会社を紹介します。


追加性がある再エネ比率が高い新電力


 追加性が認められる「再エネ比率」が高い新電力を紹介します。


社名 追加性がある
再エネ比率
供給エリア 備考
ヨコハマのでんき 25%
非FIT風力
関東 料金も東電より割安

 新電力の低圧電灯(主に家庭向け)のシェア上位30社プラスαの電源構成を2021年4月時点で調査しました。シェア上位30社(電源構成を公表しているもの)に限って見ると追加性がある再エネ比率は0〜10%、平均2.52%という結果でした。


 そもそも電源構成を公表していない新電力も少なくないという状況です。今後、順次追加していく予定です。


 再エネを売りにしているコープ系や再エネ系新電力でも、追加性がある再エネ比率が高くないものも多く見受けられます。契約する前に、追加性についてもよく確認することをおすすめします。


大手電力会社の再エネ比率は?


 参考までに、大手電力10社の再エネ比率(追加性があるもの)をまとめます。いずれも2021年4月時点の最新値である2019年度実績。


追加性がある
再エネ比率
一般水力
(追加性は無い)
北海道電力 9% 5%
東北電力 7% 6%
東京電力 3% 3%
中部電力 3% 6%
北陸電力 1% 28%
関西電力 2% 10%
中国電力 5% 1%
四国電力 7% 4%
九州電力 5% 4%
沖縄電力 1% -

 参考までに、再エネである一般水力発電(追加性は基本的に無い)の構成比もあわせて掲載しました。


 追加性がある再エネの比率は、10社の平均で4.3%という結果になりました。新電力大手30社の平均よりも高いです。




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