水力発電プランの一覧、メリット・デメリット

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続々登場している水力発電プラン


 大手電力会社から続々登場しているのが、水力発電を活用して「CO2排出量ゼロ」を達成している料金プランです。一般家庭で契約できるプランの一覧と、メリット・デメリットを解説します。



大手電力会社の水力発電プランの一覧


 まずは各社の水力発電プランを一覧で紹介します。


各社料金プランの一覧


社名
プラン名
供給エリア 備考
東京電力エナジーパートナー
アクアエナジー100
関東 水力発電100%のプラン
料金は割高
四国電力
再エネプレミアム
四国 水力で99%,他バイオマスと太陽光
料金は割高
中部電力
CO2フリーメニュー
中部 水力や太陽光
通常プランに+4.4円/kWh
北陸電力
アクアECOプラン
北陸 水力100%
通常プランに+2.2円/kWh

 中部電力や北陸電力では、通常の料金プランに追加で1kWhごとの費用を負担することでCO2排出量ゼロとすることが出来る「オプション」の形で水力発電プラン(再エネプラン)を提供しています。


ダム


水力発電プランのメリット


 水力発電プランを契約するメリットや意義を解説します。


CO2排出量を「ゼロ」にできる


 水力発電プランはCO2排出量を「ゼロ」としています。例えば日本の一般家庭では電力の使用により、年間に2177KgのCO2を排出(出典:温室効果ガスインベントリオフィス)していますが、排出量ゼロの電力を使用することで2177Kgが丸々ゼロとなります。


温室効果ガスインベントリオフィス

出典:温室効果ガスインベントリオフィス

 FIT(固定価格買取制度)を利用していない水力発電は、正真正銘の再生可能エネルギーであり、CO2排出量ゼロです。「偽の再エネ」とも言われる「FIT電気」とは異なり、確実にCO2排出量をゼロとすることが出来ます。


水力発電プランのデメリット・問題点


 デメリットや問題点を指摘します。


電気代が非常に高い


 水力発電プランは料金が通常のプランと比較して、大幅に割高に設定されていることが多いです。例えば2人世帯の平均使用量(30A契約・月348kWh)で試算すると、東京電力のアクアエナジー100は、標準的な料金プラン(従量電灯B)と比較して年間18041円割高となる計算です(燃料費調整の差を補正した試算)


 また、多くの電力会社は燃料価格の変動を毎月の請求額に反映させる「燃料費調整制度」を採用していますが、水力発電プランは燃料費調整を行わないものがあります。
 燃料費調整は燃料価格が下がると電気代が割引になるため、燃料価格が安い時期には水力発電プランがより一層「割高」となります。


環境負荷削減に貢献しない、との指摘も


 数字の上で「CO2排出量ゼロ」の水力発電プランですが、環境負荷の削減や再生可能エネルギーの普及に貢献しないとの指摘も根強いです。


 まず、水力発電(大規模な一般水力発電)は発電コストが安いとされている発電方法です。2014年モデルの政府検討委員会の試算では、1kWhあたり11.0円と、現在発電量を伸ばしているLNG火力発電の13.7円や、火力発電の中でも発電コストが安いとされる石炭火力発電の12.3円と比較しても水力は「安い」です。


 したがって、高い金額を払って誰かが購入せずとも、他の顧客に供給される可能性が高く、水力発電プランを契約することで他の人に供給される水力発電の電力が減ってしまう恐れがあります。いわばゼロサムのような状況です。


 水力発電プランを提供している大手電力会社側もこの問題を認識しているようで、九州電力の法人向けの水力発電プランでは、水力プラン契約者が使用したのと同じ量の非化石証書を購入することで、他のユーザーのCO2排出量を増やさないよう配慮がなされています。


「追加性」という問題も


 再生可能エネルギーの電力を購入する際に、重要なキーワードとして「追加性」というものがあります。


 「追加性」とは、その再生可能エネルギーを購入することによって、新たに再生可能エネルギーを増やすことが出来るのか、という視点です。


 大手電力会社の水力発電プランは、建設から数十年以上が経過した古い水力発電所で発電された電力を中心に供給しています。減価償却が終わったような古い水力発電所については、一般的には「追加性は無い」と評価されることが多いです。


 ユーザーが高い料金を支払うことで、例えば中小の水力発電が新設されたり、あるいは古い水力発電所の増強が行われれば追加性が認められますが、現状ではその点が不透明と言わざるを得ません。


農業用水路を活用した小水力発電

農業用水路を活用した小水力発電

高い料金を支払う意義は・・・?


 自分が使用する電気のCO2排出量が「ゼロ」になることは間違いありませんが、一方で他の人が使う電力のCO2を増やしてしまっているのではないかという疑念を拭うことが出来ません。また、「追加性」の面で不安があるというのは上で指摘したとおりです。


 例えば既存の治水ダムに新たに発電設備を追加しました、とか農業用水路で始めた小水力発電の電力を供給しますといったプランであれば選ぶ価値は大いにあると言えますが、現状の「水力発電プラン」はそのような内容ではないため、当サイトとしては積極的に推奨するものではないというのが結論です。




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