再生可能エネルギーの電気が持つ「環境価値」とは

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環境価値とは??


 テレビや新聞でも、まだあまり目にする機会が無い「環境価値」という言葉を、出来る限り分かりやすく解説します。制度の問題点もあわせて指摘していきます。



再エネの電気が持つ「環境価値」とは


 環境価値を分かりやすく解説します。


書類上存在する「環境価値」


 「環境価値」というのは、一言で言えば制度上作り出された目に見えない価値です。


 太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーによってつくられた電気には、電気としての価値があります。これは火力発電で作られた電気も同様で、電気として利用できるので分かりやすいでしょう。


 しかし、再生可能エネルギーで発電された電気には、「再エネの電気である」という付加価値が付けられています。「再エネの電気である」という付加価値の部分を環境価値と呼ぶことになっています。


環境価値のイメージ図

環境価値のイメージ図

 実は再エネの電気は、電気としての価値と環境価値を分離して取引することが可能です。これが制度を分かりづらくしている原因の一つになっていると言えます。


環境価値だけで売買されている


 環境価値は「電気」としての価値とは分離して取引されることがあります。1円/kWh前後の価格で取引されています(参考までに、一般家庭の電気代は27円/kWh程度)


 「グリーン電力証書」や「非化石証書」といった制度が日本にありますが、こうした制度を利用することで環境価値を売買することが可能です。


環境価値はそれ単体で売買されている

環境価値は売買されている

 日本では再生可能エネルギーを高値で買い取る「固定価格買取制度」がありますが、この買い取り費用は電気を使う全ての人が負担しています。その買い取り費用を軽減することが、環境価値が売買される最大の目的です。


 以前は企業向けが主でしたが、個人でも環境価値を購入できるサービスが徐々に増えつつあります。


環境価値の無い再エネは再エネであって再エネでない


 更にもう少し深く踏み込んだ話をします。


環境価値が無いFIT電気という存在


 固定価格買取制度を使って買い取られた再生可能エネルギーを「FIT電気」と呼びます。多くの新電力はFIT電気を含んだ電源構成を公表しているので、目にしたことがある人もいるかもしれません。


 このFIT電気は、上でも説明したように電気としての価値はあるものの、環境価値を切り離されてしまっているため、再生可能エネルギーで作られた電気ではありますが、FIT電気単体では「再エネの電気ではない」ことになります。


 逆に、環境価値を購入することで火力発電の電気であっても再エネとして扱うことが、国際的に認められています。「再エネなのに再エネでない」、「再エネでないのに再エネ」というのは理解が追いつくまでに時間が掛かりますよね・・



再エネの中身までちゃんと見ましょう


 FIT電気は皆で負担している費用によって支えられています。なので、特定の企業がFIT電気を使って「弊社は再エネ電気を使っています!」と宣言することは、皆の利益を特定の企業が不当に専有していることになります。


 経産省の指針では、FIT電気も「再エネ」を名乗ってもいいことになっていますが、CO2を排出していないといったメリットを主張することは禁じられています。再エネでCO2排出が少ないとアピールするには、環境価値を購入することが求められます。


 中には環境価値を持たないFIT電気を使って「エコ」イメージを与えようとしている新電力もありますが、それを認めてしまうと真面目に環境価値を購入している人たちの不利益となります。また、FIT電気の買い取り費用を負担している国民の負担を増やすことにもつながります。


 再エネを基準に電力会社を選ぶ時は、必ず再エネの中身まで見るようにしましょう。具体的には、以下のものが付加された電気に環境価値があります。



 また、固定価格買取制度を利用していない再エネについても、環境価値を持っています。


世間ではあまり重視されていないが・・


 世間ではそもそも環境価値という概念自体が理解されていないため、非化石証書やグリーン電力証書があまり普及していないと言える状況にあります。


 ですが非化石証書やグリーン電力証書が普及することで、再エネの買い取り費用を抑えることが出来るわけです(費用を負担したい人が多く負担してくれる) 再エネの普及を促す上でも、環境価値という概念が日本社会で正しく理解されることを願っています。




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