グリーンではなくグレー。FIT電気が抱える問題点

グリーンな電気ではない。FIT電気を分かりやすく解説


 新電力の電源構成を見るとよく登場する「FIT電気」という言葉。これは一体何なのか分かりやすく解説した上で、問題点をまとめます。エコなイメージがあるけど、実際は違います。



そもそもFIT電気とは何か


 まずは「FIT電気」とは何か、分かりやすく解説します。


再生可能エネルギーでつくられた電気 だけど・・


 FIT電気とは、国の「固定価格買取制度」を利用して高値で買い取られた再生可能エネルギーです。


 再エネを普及させるために、固定価格買取制度という仕組みがあります。
 電気を使う全ての人から「再エネ賦課金」というお金を徴収しています。一般家庭の負担額は毎月870円(300kWh使った場合)にのぼります。このお金を使って買い取られた再エネの電気が、FIT電気です。


みんなで毎月負担する再エネ賦課金

再エネ賦課金の負担は決して小さくない

グリーンではなくグレーと言える理由


 再エネならグリーンな電気だ、と多くの人が直感的に思うかもしれません。しかし経産省の専門家委員会では「FIT電気はグリーンではなくグレーに近い」との指摘も出ています。それは何故か、問題点を指摘します。


負担するべきコストを負担していない


 世界中で導入が増えたことでコストが大幅に下がりつつある再生可能エネルギーですが、まだまだその発電コストは割高です。FIT電気はその割高なコストを、電気を使う全ての人で支えています。


 FIT電気を電源構成として組み入れている新電力は、皆が負担しているコストのおかげで安くFIT電気を使うことが出来ています。電気としてFIT電気を使うこと自体は問題ではありませんが、それを使うことで「エコ」なイメージを消費者に与えることは、本来負担すべきコストを負担していない点で問題があります。


 分かりやすく言えば、皆のお金で買ったものを自分のものにしてしまう、ということです。


FIT電気でも○○があればOK


 必ずしもFIT電気の全てに問題があるわけではありません。


 例えばFIT電気に加えて、非化石証書などの証明書を購入することができます。そうした証明書を購入するには費用負担が必要です。証明書があるFIT電気については、再生可能エネルギーを名乗ることは問題無いと言えますし、制度上も認められています。


環境価値のイメージ


正直な企業や消費者が損をする


 FIT電気で「エコ」イメージを生み出すことは、負担すべきコストを負担していない点で問題がある、というのはこれまで説明してきたとおりです。


 他方、世の中にはグリーン電力証書などを購入したり、あるいは固定価格買取制度を利用しない再生可能エネルギーを購入している電力会社もあります。また、そうした本物の再生可能エネルギーを高値で買う企業や消費者も増えつつあります。


 FIT電気を「エコ」と認めてしまうことで、そのように適切な費用を負担して再生可能エネルギーを購入し、環境負荷の低減に貢献している人が損をする事態となります。結果として、再生可能エネルギーが増えないことに繋がる恐れもあります。


FIT電気でエコイメージをつくる新電力が多い


 FIT電気には問題がありますが、世間にその問題が周知されていないため、残念な現状があります。


ルールを見てみよう


 新電力が営業をする上で守るべきルールがあります(経産省の「電力の小売営業に関する指針」)


 このルールによれば、FIT電気が「二酸化炭素を排出しない電気ではない」ことなどを説明すれば、FIT電気を使用していることを公表してもよいことになっています。


 また、同じくルール上はFIT電気について「グリーン電力」「クリーン電力」など誤解のある表現は禁止されていますが、一部の新電力の公式サイトを見てみると、エコな印象を与えていると言わざるを得ないものも少なくありません。


ソフトバンクの「自然でんき」

「自然でんき」はFIT電気82.9%

騙されないために確認すべきポイント


 誤解のある宣伝をしている新電力も少なくないので、注意すべき点をまとめて終わります。



 この2点を確認しましょう。
 例えば証明書を利用している場合は、このような注意書きがあります(「自然電力」のケース)


自然電力は非化石証書で実質再エネ100%としている

非化石証書を利用している例



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