水素エネルギーの様々な使いみち

水素エネルギーが未来の基幹エネルギーに?


 ようやく日本でも市販が始まった燃料電池車(FCV)や、家庭に普及が進むエネファームなど、水素を使った新しい製品が増えつつあります。実は水素エネルギーには他にも様々な使いみちがあり、未来の社会を支える重要なエネルギーとなる可能性もある、という話を詳しく紹介したいと思います。


水素の使い道は幅広い


 水素エネルギーの使いみちを紹介します。


燃料電池車(FCV)


燃料電池バス

トヨタの燃料電池バス


 水素エネルギーといえば、真っ先に思いつくのは燃料電池車(FCV)ではないでしょうか。日本でも2014年から販売が始まり、街中でも極稀に見かける機会があります。


 燃料電池車は水素ステーションで水素を充填し、タンクに貯めた水素を「燃料電池」で化学反応させ、電気をつくりモーターを動かす仕組みになっています。


 騒音が少ない、走行中にCO2や有害物質を排出しないといったメリットの他に、非常用電源としての活用も検討されています。例えばトヨタのMIRAIは9kW/60kWhの電気を供給できるため、一般家庭の通常の電力使用を数日間まかなうことが可能です(水素が満タンの場合)


 日本では2030年をめどに乗用車80万台、バス1200台、フォークリフト1万台の普及を政府が目標として掲げています。


燃料電池による発電


家庭用燃料電池エネファーム


 燃料電池を使った発電は既に普及が進んでいます。


 家庭用燃料電池「エネファーム」はガスから水素を作り出し、その水素を燃料電池で化学反応させ、電気と熱を生み出すシステムです。全国で累計20万台以上が普及しています。


 エネファームは都市ガス、もしくはプロパンガスから水素を取り出し、その水素を燃料電池で酸素と化学反応させる仕組みです。電気を「発電」して自宅で使えるほか、同時に出る熱でお湯を沸かします。
 エネルギー利用効率は85%と大規模発電所の37%を遥かに上回る高効率を実現しています。


火力発電の燃料


 水素そのものを火力発電所で燃焼させる「水素発電」も検討が進められています。


 石炭や天然ガスといった化石燃料の代わりに水素を燃焼させることで、発電時のCO2発生を「ゼロ」にすることができます。水素は様々な地域で製造が可能であるため、エネルギー安全保障の観点からも注目されています。


 日本では2030年の商用化に向けて、研究開発が進められています。発電には大量の水素が必要になるため、水素の需要拡大による価格低下による波及効果も期待されています。


水素発電は環境負荷が少ない


蓄電池のような使い方も


 太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーには発電量が安定しないという問題点があります。そうした問題点を解消するため、蓄電池の導入が急務となっています。


 水素は「蓄電池」のような使い方も可能です。
 再生可能エネルギーが余っている時にその電気を使い、水から水素を作り、溜めておくことができます。


 水素は圧縮することで体積を小さくすることが出来ます。例えば500Kmを走るのに必要なエネルギー量で見ると、軽油は33Kg、リチウムイオン電池は540Kg。それに対し水素はわずか6Kgで済みます(米国GM資料より)


 貯蔵した水素を燃料電池や火力発電で再び電気に戻すことで、再生可能エネルギーを効率的に使うことが可能になります。現状では非常に高コストであるため、商用化には時間が掛かりそうです。


再生可能エネルギーのバックアップも


普及への課題は


 普及に向けては課題も多くあります。


コストが高い


 水素の製造コストや、燃料電池の製造コストが非常に高いです。関連製品のコスト削減に加え、水素の製造コスト・調達コストの大幅な低減が急務となっています。


 例えばエネファームの平均導入費用は145万円(2015年時点)で、投資を回収するのに18年掛かります(経産省資料より) それを2020年には7〜8年で回収できる水準に、2030年には5年に短縮する目標を政府が掲げています。


大量製造・輸送体制を整える必要性


 水素の需要拡大にあわせ、大量の水素を製造・輸送する体制の構築も必要です。


 製造に関しては、オーストラリアの石炭から水素を取り出し、それを輸入する案などが検討されています。化学工場や製鉄所などから発生する「副生水素」を活用する案もあります。




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