太陽光発電を有効活用するために私たちに出来ること

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太陽光発電の「出力制御」を減らすには


 2011年以降、急激に導入が進んだ太陽光発電ですがここに来て「増えすぎ」を問題視する声が高まっています。ですが我々の生活が太陽光発電の増加に対応出来ていない部分もあるので、まずは一人一人の行動を見直すことを提案します。



太陽光発電の電気が捨てられている


 せっかく太陽光発電で発電しても、つくられた電気が「無駄に」なっているという現実があります。


出力制御とは?


 既にテレビや新聞のニュースでもたびたび取り上げられていますが、九州エリアで「出力制御」と呼ばれる対応が取られています。


 出力制御とは、送電線に流れる電気の需給バランスが崩れるのを防ぐために太陽光や風力による発電を停止する措置です。停止しないと最悪の場合、大規模停電が発生する場合もあるため、公的に認められています。


出力制御のイメージ(資源エネルギー庁サイトより)

出力制御のイメージ(資源エネルギー庁サイトより)

 既に九州エリアでは主に休日の昼間に出力制御が行われています。また、四国など他のエリアでも今後実施が予想されています。


仕方ない側面もある


 出力制御の原因の一つに九州電力の「原発再稼働」が挙げられるため、批判の声も根強いです。また、せっかく発電出来るのにそれを無駄にするのは「もったいない」と感じるのは自然なことでしょう。


 太陽光発電の場合、1日の中でも発電量が大きく変動します。出力制御は最もよく発電する時間帯に行われます。


 蓄電池などで対策をすべきだとの声もありますが、現状で蓄電池を設置するコストよりも、太陽光や風力による発電を一時的に止めてもらった方が圧倒的に安上がりです(出力制御の対応機器を設置している発電所は売電価格が高く設定されている)


蓄電池は導入コストが高すぎる

蓄電池は導入コストが高すぎる

 また、出力制御があるおかげで太陽光発電の導入を増やすことが出来ると言っても過言ではありません。出力制御が無ければ、ピーク時の発電量を上限に発電所の設置を規制する必要があり、導入にブレーキが掛かってしまいます。


今後ますます増えていく


 これまで急激に増加してきた太陽光発電に加え、風力発電も今後増加が見込まれています。また、既に出力制御が行われている九州に加え、四国などでも発電量が「限界」に近づいており、出力制御は他の地域にも拡大していくでしょう。


太陽光発電を有効活用するために出来ること


 出力制御は仕方ないと言っても、日本では出力制御を減らすための国民的努力が行われているとは言えない状況があります。わたしたちに何が出来るのか、簡単に出来る対策を紹介します。


電気を使う時間帯を見直す


 出力制御を減らして太陽光発電の電気を有効に使うには、電気を使う時間帯を見直すことが最適です。出力制御は発電量と需要量(使われる量)のアンバランスを解消するために実施されます。したがって、需要を増やせば出力制御は行われません。


 具体的には、夜にやっている行動の中で、昼間に「移せる」ものを探してみるのがおすすめです。


 例えばドラム式洗濯機を深夜早朝に使って洗濯・乾燥しているなら、タイマー設定を変えて昼間に洗濯してみるとか、昼間にまとめてご飯を炊いて冷凍しておくといった方法があります。


ドラム式洗濯機を使う時間帯を変えてみよう

タイマー設定できる機器は時間調整しやすい

具体的に、いつ電気を使えばいいの?


 太陽光発電は11〜13時台に発電量のピークを迎え、出力制御もそのタイミングで行われることが多いです。


 また、企業が経済活動をしている平日よりも、需要が落ち込む休日に実施されることが多いです(九州では平日にも実施されることもありますが・・)


 更に、冷暖房の使用が少なく電気の需要が減る春・秋の実施頻度が高いです。


 まとめると以下のとおりです。



 このタイミングで、より多くの電気を使うことを心がけることで、導入が進んだ太陽光発電を有効に利用できます。特に西日本エリアで「電気余り」の傾向が強いです。


 ちなみに私は休日の昼に布団などを洗濯するようにしています。1日で3回洗濯することもあります。


太陽光発電の特性を考えた電気の使い方を


協力するメリットは目に見えないが・・


 残念ながら協力しても目に見える形でメリットを受けることは出来ませんが、以下のような効果が期待できます。



 出力制御が実行される時間帯の電気は、電源構成に占める太陽光発電の割合が大きいです。50%を超えることも珍しくありません。九州電力の場合、夜間は1kWhあたりのCO2排出量が400gを超えますが、出力制御時間帯は100gを切ります。


 目に見えるメリット、あるいは直接的な経済的メリットはありませんが、出力制御時間帯の使用量を増やすことに協力することで、巡り巡って自分自身にもメリットが返ってくることは間違いありません。


協力すると料金が安くなる料金プランも


 通常の料金プランでは、「電気余り」の時に電気を多く使っても経済的メリットはありませんが、市場連動型プランと呼ばれる30分ごとに料金単価が刻一刻と変動する料金プランでは、電気代が安くなるメリットを得ることが出来ます。


2019年3月24日の九州地区システムプライス

2019年3月24日の九州地区の取引価格(環境市場より)

 市場連動型プランは卸電力取引所での電力の取引価格に応じて料金単価が変動する仕組みですが、この取引価格は出力制御がされるタイミングではタダ同然の0.01円/kWhという価格になります(平均は8円以上) 出力制御がされる時に電気を多く使うことで、電気代が大幅に安くなる料金プランです。


電力会社がやるべきことも


 電力会社側にも出来ることがあると思います。


割引特典の導入


 多くの新電力は卸電力取引所から電力の調達を行っており、その仕入れ価格は出力制御が実施されるタイミングでは「タダ同然」になるというのは上でも指摘したとおりです(一方で価格の高騰も新電力にとっては悩みのタネ)


 例えばLooopでんきでは、電力の取引価格が高騰しやすい夏の時期などに、取引価格が高騰する時間の電力使用を抑えることでポイントなどを付与する取り組み(「節電大作戦」)を過去に何度か実施しています。このような取り組みが広がることで、社会全体で電気をより賢く使えるようになるでしょう。




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