CO2排出量をどれだけ減らせばいいの?
日本国民でも続発する異常気象など、地球温暖化の影響とみられる被害は既に身近なものとなっています。では、われわれ日本の一般家庭はCO2をどれだけ減らす必要があるのか、また何をどうすればその目標を達成できるのか、分かりやすく解説します。
目次
パリ協定の削減目標は「26%減」
まずはCO2の削減目標ですが、日本は「京都議定書」の後継として設けられた「パリ協定」という枠組みに参加しています。
パリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2度未満に抑えることを目標に、180カ国が批准してCO2排出量に取り組み枠組みです。
パリ協定で日本は2030年までにCO2排出量を2013年比26%減とする高い目標を定めました。日本全体のCO2排出量に占める家庭部門の割合はわずか15.6%ではありますが、日本全体として26%減という目標を達成する必要があり、家庭についても26%減を目標とすべきでしょう。
排出量を26%減らすには何をすればいいのか
家庭のCO2排出量を減らすには何をすべきか。まずはその大枠となる方向性を考えてみましょう。
CO2排出の内訳を見てみよう
まずは一般家庭のCO2排出量の内訳を見てみましょう。
こちらは温室効果ガスインベントリオフィスの資料から引用したグラフです。
家庭のCO2排出量のうち、約半分が電気に由来していることが分かります。次いで大きいのがガソリン・軽油といった自動車の燃料で約4分の1を占めます。
また、用途別で見ると照明器具・家電製品、自動車、暖房、給湯に由来するCO2排出が多いことが分かります。
CO2排出量を減らす具体的な方法
以上をふまえて、具体的に何をすべきか対策を考えてみました。
電気料金プランを見直す
2016年から、一般家庭でも電力会社を自由に変更することが可能となりました。料金の比較にばかり注目が集まっていますが、CO2排出量に着目して電力会社を選ぶことも可能です。
例えばCO2排出量ゼロの電力会社に切り替えた場合、家庭全体の排出量は約49%減少し、削減目標を軽々クリアできます。中には大手電力会社の一般的なプランと同額の料金で排出量ゼロを実現しているプランもあるので、選びやすいでしょう。
また、必ずしも環境性をアピールしていない電力会社でも、CO2排出量が少ない場合もあります。
例えば新電力で1位のシェアの東京ガスの電気は東京電力と比べてCO2排出量が21.7%少ないです(2017年度実績) 家庭全体の排出量として見れば、約10%の削減となります。電気料金の安さとは必ずしも比例しません。
各電力会社のCO2排出量は「CO2排出係数」という数字で比較が可能です。1kWhあたりの排出量を示す数値で、この値が小さいものがCO2排出量の少ない電気です。「調整後排出係数」という値を参考にしてください。
シェアが高い上位20社の新電力で見比べても、排出量に2倍以上の差があり、利用する電力会社しだいで家庭のCO2排出量は大きく変わります。
暖房器具をエアコンに切り替える
石油ストーブ、ガスファンヒーター、オイルヒーターなど冬に使用する暖房器具は様々です。意外かもしれませんが、エアコンはCO2排出量が最も少ない暖房器具と言われており、他の暖房器具からエアコンに移行することで排出量削減につながります。
静岡県地球温暖化防止活動推進センターの資料によると、1時間使用した場合のCO2排出量はエアコンが264gであるのに対し、石油ストーブは843g、ガスストーブは704gとなっています。
また、エアコンと同じく電気を使用する電気ストーブやオイルヒーターについても、エアコンと比べて5倍以上効率が悪いので、それだけCO2排出量も増えてしまいます(同調査では1時間あたり1386gと格段に排出量が大きい) もちろん、電気代の面でもエアコンが圧倒的に有利です。
極寒地では冬場にエアコンが上手く機能しない場合もありますが、最近はエアコンの性能向上により外気温がマイナス15度程度でも暖房として機能することを売りにした機種も増えつつあり、エアコン暖房を活用できる地域は拡大しています。
費用は掛かるが省エネ設備の導入も
費用が掛かったり、あるいは場合によっては工事も必要となりハードルが高いですが省エネ設備を導入することでもCO2排出量の削減が可能です。
まずは導入のハードルが低いものを紹介します。
- LED電球・照明
- 遮熱・遮光カーテン
例えばLED電球は1球せいぜい数千円程度、また自分で簡単に交換できます。白熱電球と比べると消費電力が7分の1程度、電球の寿命も40倍程度あるため、充分に元は取れます。電球型蛍光灯と比較しても省エネ性は高いです。
また、ハードルは高いですが以下のような対策も有効です。
- Low-Eガラス・樹脂サッシの導入、二重窓化
- 古い家電製品の買い替え(エアコン、冷蔵庫など)
Low-Eガラス(ペアガラス)で樹脂サッシの家は、窓際でも寒さをほとんど感じません。省エネ効果を体で感じることが出来るはずです。
電気自動車の導入についても、排出量が少ない電力会社に切り替えることと組み合わせることでCO2排出量を大きく削減する効果が期待できます。一般的な電力会社と契約している場合はハイブリッド車と大差無いでしょう。