「エコ」な電力会社の正しい選び方

実は難しい「エコ」な電力会社の選び方


 電力自由化では料金の安さだけでなく、環境負荷に目を向けて電力会社を選ぶ人もいます。この記事では、そんな「エコな」電力会社をちゃんと選ぶ上で押さえておくべきポイントを解説します。



エコな電力会社の選び方のポイント


 環境負荷に注目して電力会社を選ぶ上で押さえておくべきポイントを紹介します。


電源構成を見比べる


 どのような方法でつくられた電気を供給するのかを表す指標として、「電源構成」というものがあります。


 石炭火力発電20%、水力発電10%、石炭火力発電20%といった形で、発電した方法ごとに電気の「作られ方」を表したものです。


東京ガスの電源構成

東京ガスの電源構成(詳細に開示されている)

 残念ながら日本では電源構成を開示することは義務ではないため、多くの新電力会社では詳細な電源構成を開示していません。また、単に「再エネ比率」が高い電源構成でも、実際にはエコではないものもあるため、電源構成を見比べるのは実は簡単なことではありません


 記事後半では、電源構成を見る際の注意点も詳しく紹介します。


ソーラーパネル


CO2排出係数を比較する


 「CO2排出係数」という指標があります。1kWhの電力を供給するのに排出した、CO2の重さを表すものです。


 CO2排出係数は各社公式サイトに掲載されている場合もありますが、環境省のサイトで会社ごとの数値を一覧で確認することが出来ます。開示していない会社が多い電源構成とは違い、基本的にすべての会社の数値を一覧で比較出来るため、比較する指標として使いやすいです。また、数値の大小で比較すれば環境負荷がひと目で分かるので、分かりやすさの点でも優れています。


環境省のCO2排出係数資料

環境省 排出係数一覧

 なお、CO2排出係数には「基礎排出係数」と「調整後排出係数」がありますが、各社の取り組みを正当に評価するには「調整後排出係数」を見比べてください。当サイトの記事内でも、調整後排出係数を引用して評価しています。


電源構成を見る際の注意点


 環境に配慮した電力を選ぶ際に多くの人が注目する「電源構成」ですが、注意すべき点があります。


「FIT電気」は偽の再エネ


 多くの新電力が「FIT電気」を含んだ電源構成を公表しています。このFIT電気には注意が必要です。


 FIT電気とは、固定価格買取制度によって買い取られた再生可能エネルギーのことです。再エネではありますが、再エネとしては扱わないことがルールとして定められています。その辺りの詳しい解説は、以下の記事に詳しくまとめているので気になる方は参照してください。なかなか難しい話なので、時間が無い人は「FIT電気は再エネではない」とだけ覚えておいてください。


 経産省の専門家委員会でも「FIT電気はグリーンじゃなくてグレーに近い」との発言が出ており、また経産省や資源エネルギー庁の資料でも度々、その発言が引用されており、これは私が勝手に唱えている主張ではないことを付しておきます。


経産省資料「FIT電気はグリーンじゃなくてグレーに近い」

経済産業省資料

 再エネ比率が高いことを謳った新電力の中には、このFIT電気の比率が大きいものが少なくありません。ですが、何度も繰り返しますがFIT電気は「偽の再エネ」であるため、この比率が高いことに意味はありません。火力発電と何ら変わらないと言ってもよいでしょう。FIT電気の比率が高い電気を使っても、環境保護に貢献しません


 FIT電気の比率が大きい電気を使って「エコ」だと喜ぶのは、高級ブランド品の偽物を身に着けて喜ぶのと同じようなものです。


グリーン電力証書や非化石証書とは


 グリーン電力証書や非化石証書と呼ばれる仕組みがあります。これらの権利を購入することで、火力発電やFIT電気のような「再エネでない」電力をCO2排出量ゼロとして扱うことが出来ます。


 グリーン電力証書や非化石証書は、多くの人がイメージするような「再生可能エネルギー」から、「再生可能エネルギーである」という価値を取り出して、その価値を売買しているものです。再エネであるという価値を分離された電力は、「ただの電気」として取り扱われ、証書が付けられた電気が「再エネの電気」として取り扱われる仕組みです。


環境価値とは


 ちなみに、上で批判したFIT電気を分かりやすく言うと、「再エネである」という価値を分離された後の「ただの電気」です。CO2排出量もゼロとして扱わないことが経産省の資料などに明記されています。


 ただの電気が「再エネ」を名乗ると、何が本当の再エネなのか分からなくなってしまうという問題と、わざわざお金を出して再エネを買う人がいなくなってしまうという問題があります。FIT電気を再エネとして扱うことは、再エネの普及を妨げる行為と言ってよいでしょう。


風力発電


理想はFIT電気でない本物の「再エネ」


 FIT電気ではない「本物の再生可能エネルギー」も存在します。固定価格買取制度を利用していない再生可能エネルギーです。


 電力会社が公表している電源構成の中では「非FIT」などと表記されている場合もあるので、それで見分けることが出来ます。FIT電気の場合は、FITと明記することが義務付けられています。


 FIT電気ではない本物の再生可能エネルギーは、調達するコストが大幅に割高になる場合が多いので、これを活用している電力会社は真剣に環境問題に取り組んでいると言えますし、また環境負荷の軽減や再エネの普及に大きく貢献していると言えます。


比較しやすいのはCO2排出係数


 電源構成を見比べて「エコか、エコでないか」を判断するのは非常に難しいです。そこで私は、数値として簡単に比較できるCO2排出係数を見ることをおすすめします。


 排出量が「ゼロ」ならば本物の再エネ100%か、あるいは非化石証書などにお金をしっかり払っていることが分かります。公式サイトなどで再エネの開発に取り組んでいると大きく宣伝している会社でも、CO2排出係数の値が良くないケースは少なくないので、電力会社を選ぶ際には必ずCO2排出係数(調整後排出係数)を確認することをおすすめします。


 CO2排出係数を見る際の目安を紹介します。


評価 t-CO2/kWh g-CO2/kWh
CO2排出量ゼロ 0.000000 0
排出量少ない 〜0.000400 〜400
やや少ない 0.000400〜
〜0.000450
400〜450
平均的 0.000450〜
〜0.000550
450〜550
やや多い 0.000550〜
〜0.000600
550〜600
多い 0.000600〜 600〜

 環境省の公式サイトにはt-CO2/kWhと単位がトンで表記されていますが、ゼロの桁数が多く分かりづらいので当サイトはグラム単位になおして紹介しています。




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