「節電」するとお金がもらえる
「節電要請」に応えると、お金がもらえる。そんな新しい電気料金の仕組みが2017年4月にスタートします。「ネガワット取引」といって、各家庭やオフィスで「節電」した電気を業者が買い取ってくれるという制度で、アメリカなどでは既に普及が進んでいます。そんなネガワット取引について詳しく解説していきます。
ネガワット取引の仕組み
ネガワット取引では、各家庭が電力会社からの「節電要請」に応じて電気の使用量を減らすことによって、報奨金が支払われます。例えば真夏の昼過ぎや真冬の夕方のように、電気の需給が逼迫する時間帯に要請が行われ、その時間帯の使用量を抑制することでお金がもらえるという内容です。なので、年がら年中節電し続けてもネガワット取引上のメリットはありません。
何をもって「節電」に協力したと判断するのかというと、各家庭のそれまでの使用実績やその日の天候などを考慮して算出された使用量の「予測値」が重要になってきます(グラフのオレンジ破線の部分) この予測値は、節電要請が無かった場合に各家庭が使用すると「予測された」電気の使用量で、この予測値と実際の使用量(グラフ青線)を比べて、「節電実績」が判断されます。
一般家庭にとってのメリット
最大のメリットは、節電の努力に応じてお金がもらえるという点です。節電した電気の量を、「発電量」とみなして取引が行われるため、より多く節電することで大きなメリットを得ることが出来ます。実際のお金が振り込まれる形になるのか、それとも月々の電気料金から割り引かれる形になるのかは現在のところ定かではありませんが、いずれにせよ経済的メリットが一番の利点と言えます。
社会にとってのメリット
電気の使用量は、真夏の昼間と真冬の夕方に最も多くなります。この「ピーク」の時間帯は年間8760時間の内の88時間程度(約1%))と言われていますが、国内の発電所は当然このわずか88時間にも対応出来るように準備されているわけです。
ネガワット取引や「デマンドレスポンス」型の料金プランの普及によって、国内全体で384万kW分の発電所の削減が期待されています。384万Kwというと、原発4基分にも相当します。発電所を削減出来るため、コストが減り電気料金の水準が下がるでしょう。
また、ピーク時間帯の電気使用量を削減する設備として、蓄電池や電気自動車の普及にも弾みがつくはずです。ネガワット取引を活用することで「投資コスト」をより早く、確実に回収出来るようになるからです。こうした新しい技術の普及が進むことで、国内に新たな市場を生まれる効果も期待されています。
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