電気とAmazonプライムのセットプラン

電気+Amazonプライムのセットプラン


 電気とAmazonプライム会員がセットになった料金プランが続々と増えていますが、デメリットが目立つためおすすめできません。電力自由化の専門家として多数のメディアの取材を受けてきた私が、その理由を数字を交えながら解説します。



Amazonプランとは


 まずは電力会社の「Amazonプラン」について簡単に解説します。


 電力会社が提供している「Amazonプラン」は、電気の契約をするとAmazonプライム会員の年会費を別途負担する必要が無くなるというものです。


Amazonプライム


 電気を契約すると、電力会社からAmazonプライム会員の会員コードが封書などで届きます。そのコードをAmazonの画面に入力することで、プライム会員の会員資格が1年延長されます。既にプライム会員になっている人についても、コードを入力することで会員資格が1年延長されます。


 概ね、電気の契約を継続している限りは毎年、コードがもらえるというところが多いです。電気を契約している間はプライム会員の年会費を電力会社に負担してもらえるというイメージです。


Amazonプランのデメリット


 こうした「Amazonプラン」にはデメリットが目立ちます。数字を交えながら解説します。


電気代にプライム会員費が上乗せされている


 電力会社の「Amazonプラン」は、通常の料金プランと比べて毎月の電気代が割高に設定されています。


 会社によって若干異なりますが、プライム会員の年会費4900円分、ほぼそのまま通常プランと比較して「割高」あるいは、別々に支払った方がお得になるケースもあります。


 大阪ガスのAmazonプランを、世帯人数ごとの平均使用量で試算した年間削減額(関電との比較)を紹介します。


シュミレーション条件
お得率と年間節約額
1人
月170kWh
2人
月348kWh
3人
月391kWh
4人
月437kWh
大阪ガス
ガスとセット契約
-2.6%
-1158円
-4.5%
-4610円
-4.4%
-5122円
-4.2%
-5602円
大阪ガス
スタイルプランP
+6.2%
+2782円
-0.8%
-840円
-1.2%
-1399円
-1.1%
-1399円
上乗せ +3940円 +3770円 +3723円 +4203円

 一部では「プライム会員の会費が実質無料に」と紹介されていますが、毎月の電気代に上乗せされているため「実質無料」とは違います。


解約条件が厳しい(違約金など)


 Amazonプランは、通常の料金プランと比較して解約条件が厳しいものが多いです。通常のプランでは解約違約金無しでいつでも解約できる電力会社でも、Amazonプランでは一定の契約期間(解約月)を設けたり、解約違約金や手数料を徴収している場合が多いです。


 電気を解約して電力会社に違約金を払っても、一度もらったプライム会員の会員コードは引き続き利用出来ますが、違約金や解約手数料で損をする場合も多いですし、解約しづらくなる点もデメリットと言えます。


 解約条件を厳しくすることで「解約率」が低くなるというのが電力会社にとってのメリットとなっています。


別々に契約した方がお得


 「Amazonプラン」を契約するよりも、安い電力会社と契約して自腹でプライム会員の会費を支払った方がトータルでお得になるケースがほとんどです。


 例えば大阪ガスのAmazonプラン(スタイルプランP)は、関電と比較して電気代が年間1399円安いです(月437kWhの使用量の場合) 一方、関西で最安値水準の新電力は同じ条件で17031円安いので、大ガスのAmazonプランは最安の新電力よりも年間15632円高いです。


 Amazonプライム会員の会費4900円を差し引いても、両者にはなお13900円の差があります。


電気代削減額
(年間/関電比)
プライム会員
年会費
合計
大阪ガス
スタイルプランP
1399円安 込み +3501円
あしたでんき
標準プラン
17031円安 別途支払い
4900円
+12131円
合計差額 15632円

「Amazonプラン」の一覧


 電力各社のAmazonプランを一覧で紹介します。


社名 プラン名 対応地域
大阪ガス スタイルプランP 関西電力エリア
CDエナジー エンタメでんき 東京電力エリア
中部電力 for AP 中部電力エリア
四国電力 スマイルAP 四国電力エリア

 この他、東京電力などがガス料金とAmazonのセットプランを提供しています。




関連記事

地域別 電気料金比較表

電気料金比較シュミレーション

人気の電力会社

電力自由化Q&A