昼間の電気代が安い電力会社
日本にも以前から「深夜」の電気代が安い電気料金プランはありましたが、昼間の料金が安いプランは皆無でした。しかし現在は昼間の電気代が安くなるプランもあります。選ぶ際の注意点とあわせて、一覧で紹介します。
目次
激変中の日本の電力事業
昼間の電気代が安いプランが登場した背景を解説します。
急増する太陽光発電は昼間の電気代を押し下げる
特に西日本では太陽光発電の「発電し過ぎ」が問題となっており、一部地域では太陽光発電でつくられた電気を送電網に流すのを停止する措置が取られています。
電気は市場で取引されており、地域や時間帯によって大きく価格が変動しますが、概ね8〜10円/kWhで取引されています。それに対し、太陽光発電が電気を作りすぎるタイミングでは、なんと0.1円という価格で取引されており、タダ同然となっています。
そうした現象は現在は珍しいものではなくなっており、西日本エリア(中部・北陸・関西・中国・四国・九州電力のエリア)では、天気が良い春・秋の土日祝日の昼間は0.1円での取引が既に定着しています。また、最近は平日でも0.01円あるいは平均的な水準の半額以下での取引が増えつつあり、今後もその傾向は増していくでしょう。
以前は需要が多い昼間の料金を割り引くことが難しい状況にありましたが、昨今はむしろ昼間に電気が余っているため、その分お得に使える料金プランが実現しています。
昼間安いプランが義務化される可能性も
2021年9月に日本経済新聞などが報じたところによれば、経産省が変動制料金プランを「義務化」することを検討しています。
太陽光発電を有効活用することを目的としているとも報じられており、将来的には「昼間安い料金プラン」しか選べなくなる可能性も出てきています。
昼間の電気代が安い料金メニュー
上で紹介した市場連動型プランは、価格が絶えず変動するためリスクもあります。一方、予め提示された「昼間安い」価格で電気を使えるプランも登場しました。
シンエナジー 昼生活フィットプラン
オリックスや三井物産が出資する中堅の新電力、シンエナジーは2020年5月から昼間の電気料金単価を大幅に割り引いたプランを提供しています。
このプランは曜日と時間帯ごとに予め設定された料金単価で電気を使えるプランで、平日昼間の料金単価が大幅に安く設定されています(おまけに深夜も安い)
名称 | 時間帯 | 大手電力の 従量電灯と比較して |
---|---|---|
デイタイム | 平日9〜18時 | 安い |
ライフタイム | 平日8〜9、18〜22時 休日8〜22時 |
同等 |
ナイトタイム | 毎日22〜翌8時 | 安い |
昼間だけでなく、深夜帯(22〜翌8時)についても、大手電力会社の標準的なプランである従量電灯よりも大幅に安い価格設定です。一方、平日8〜9時・18〜22時と休日8〜22時は他の時間帯よりも高く設定されていますが、この時間帯ですら大手電力よりも割安な料金水準です。ファミリー世帯なら休日在宅していても割高にはなりません。
一人暮らし世帯のように電気の使用量が少ない場合はメリットを得づらい(従来の料金単価が安いため)ですが、特に平日昼間に在宅しているファミリー世帯でメリットが得やすい料金体系です。解約違約金も無いので、万が一割高になってもすぐに他社に戻すことができます。
オール電化プランも
深夜の料金単価が大幅に安い代わりに、昼間の料金単価が大幅に高く設定されているのが一般的な「オール電化プラン」ですが、昼間の料金単価が安いオール電化プランが登場しました。
2020年10月に大手新電力のLooopでんきが発表した「スマートタイム」プランは、オール電化住宅向けのプランで深夜の料金単価が安いことに加え、春・秋の昼間(10〜16時)が安く設定されています。また、基本料金も0円と安いです。
ただし2022年に値上げされたため、現在は利用するメリットよりもリスクの方が大きい料金プランとなっています。