電源調達調整費がある電力会社を契約してはいけない理由

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電源調達調整費がある料金プランが「高くなる」根本的理由は?


 昨今、導入する電力会社が増えている電源調達調整費(調達調整費) 導入している電力会社の電気料金が「高くなる」理由を図解を交えて分かりやすく解説します。



電源調達調整費とは


 まずは電源調達調整費を簡単に解説します。詳細は以下の記事にまとめているので、詳しく知りたい方は以下の記事を参照してください。


電力取引価格を転嫁する料金体系


 電源調達調整費(会社によっては「調達調整費」や「燃料費調整」など)は、電力取引価格の変動を顧客の電気代に転嫁する仕組みです。


 一般的な電気料金プランでは、財務省が公表している「貿易統計」に記載された燃料の輸入価格の変動を転嫁する「燃料費調整制度」を採用しています。それに対し、電源調達調整費は卸電力取引所での電力の取引価格の変動を転嫁する制度です。


 参照する数字、あるいは計算式も異なるため燃料費調整制度と電源調達調整費は一定の相関関係はあるものの、基本的には異なった値動きをします。


最近導入が増えている


 電源調達調整費を導入する電力会社が2021年頃から増加傾向にあります。


 導入が増えるきっかけとなったのが、2021年1月に発生した電力の取引価格の高騰です。


 電力の取引価格は通常は月間平均で8〜10円/kWh程度を言われていますが、2021年1月の月間平均は66.53円/kWhと、通常の5倍以上に跳ね上がりました。新電力会社の多くは、自社で発電所を持っておらず、卸電力取引所などから電気を調達しています。ですが電力取引価格が高騰しても、そのコストをお客さんに転嫁することが出来ません。2021年1月に起きた電力取引価格の高騰が引き金となり、いくつもの新電力会社が倒産に追い込まれる事態となりました。


 このような背景があり、電源調達調整費を導入する新電力会社が増えました。




電源調達調整費で電気代が高くなる理由


 電源調達調整費を導入することで、電気代が高くなる理由を分かりやすく解説します。


図で見ると分かりやすい


 図で見ると、「高くなる」理由が分かりやすいと思います。以下は2020年1〜2023年1月の東京エリアの電力取引価格の月間平均値に、とある新電力の電源調達調整費の基準値を書き足したものです。


電源調達調整費の真実

ある新電力の電源調達調整費の発生イメージ

 電源調達調整費を採用しているとある新電力では、電力取引価格が8.0円/kWh(赤色の横ライン)を下回ると電気代が割引に、11.00円/kWh(黄色の横ライン)を上回ると電源調達調整費によって電気代が割増になります。黄色と赤色のラインの間のゾーンでは電源調達調整費は発生しません。


 グラフで見てわかるとおり、青色に塗られた「電気代値引きゾーン」よりも、赤色に塗られた「電気代割増ゾーン」の方が遥かに面積が大きいことが分かります。


 電源調達調整費は実際には単月ではなく3ヶ月平均を取ることが多いですが、値引きより割増の方が面積が遥かに大きいことに変わりありません。


電力会社にメリットがあるから導入されている


 電源調達調整費を導入する電力会社が増えているのは、電源調達調整費を導入することが電力会社にとって「メリット」となるからです。逆を言えば、消費者にとっては電気代が高くなることでデメリットとなりうるということです。


 電源調達調整費を導入していても、例えば電源調達調整費が加算されるラインが30円/kWh以上の水準に設定されていれば、電源調達調整費が発生することはほぼありません。ですが加算基準値を30円に設定している電力会社は見当たりません。電力会社にとって、損をしない水準に基準が置かれています。


 電源調達調整費を新たに導入する電力会社の中には、「電力取引価格が下がれば電気代が安くなります」とメリットを強調しているところもありますが、リスクを適正に説明するべきではないでしょうか。


 特に2021年秋以降は電力取引価格が高止まりしています。


電源調達調整費が導入されたら解約を推奨


 電源調達調整費(あるいはそれと同様の仕組み)を導入する電力会社が増加傾向にあります。ですがここまで説明したように、電源調達調整費は消費者にとってデメリットとなるリスクが大きく、少なくともメリットになる可能性は小さいと言えます。


 もし契約している電力会社が「燃料費調整制度の変更」といった変更を発表した際は、内容をよく確認し、電源調達調整費の導入であった場合は速やかに他の電力会社(大手電力会社の従量電灯でいいです)に乗り換えてください。それは実質的に「値上げ」と同義です。


 そもそも、一般の消費者には電力取引価格の高騰リスクをヘッジ(回避)する手段がありません。ヘッジする手段が与えられている電力会社が、何の術も持たない消費者にリスクを押し付けるのは果たして正しいことなのか。私は甚だ疑問に思います。燃料費調整制度にも価格変動リスクはありますが、電力取引価格と比べて値動きは小さいですし、先物取引で価格変動をヘッジすることが出来ます。燃料費調整制度とは似て非なるものです。




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