市場価格連動型の電気料金プランとは?

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「市場価格連動型」とは?


 「市場価格連動型」の電気料金プランを提供する新電力が少しずつ増えています。そもそも市場価格連動型とは何なのか、またデメリットや注意点を分かりやすく説明します。



市場価格連動型とは?


 まずは「市場価格連動型」って一体何なの?という疑問を解消します。


料金単価が30分ごとに刻一刻と変わる!


 市場価格連動型の料金プランは、電気料金の単価が「卸電力取引所」の取引価格に連動して変動します。


 従来の料金プランは、電気を何時使っても単価は一緒です。あるいは一日の中で昼間と深夜・早朝帯といった感じで単価が変わるプランもありますが、いずれにせよ契約時に提示された料金単価に基づいて料金が計算されます。


自然電力の価格推移

「自然電力」の過去の価格推移の平均値

 市場価格連動型のプランでは、マーケットでの取引価格に応じて30分ごとに刻一刻と料金単価が変わっていくため、これまでの料金プランとは全く異なる性質を持っています。


電力会社側にとってのメリット


 市場価格連動型の料金プランは、提供する電力会社(新電力)にとっては大きなメリットがある仕組みです。


 電力自由化では既に500社近い新電力が参入していますが、その多くは自社で発電所を持っていません。発電所を持つ企業と契約したり、あるいは卸電力取引所から電気を購入して消費者に届けています。


 しかし、新電力にとって重要な調達先である卸電力取引所の取引価格は、タイミングによっては大きく乱高下・暴騰することもあり、多くの新電力の経営を圧迫しているという事情があります。


新電力は市場価格の変動におびえている


 従来のプランではそうした調達コストの増加を顧客に転嫁することが難しいですが、市場価格連動型のプランであればそうしたコストをお客さんに負担してもらうことが出来るため、新電力にとっては経営を安定化させやすいというメリットがあります。




契約する際の注意点・デメリット


 では、市場価格連動型の電気料金プランにはどのようなデメリットがあるのか。契約前に知っておくべき注意点を紹介します。


料金を事前に想定することが出来ない


 最大の欠点は、事前に料金を想定することが難しい点です。


 電力会社を切り替える際、多くの人が比較サイトなどでシミュレーションをすると思います。しかし市場価格連動型のプランでは、刻一刻と料金単価が変動するためシミュレーションをすることが実質不可能です。為替相場や株価を予想するのと同じようなもの、と考えた方がよいです。


 比較サイトで「安い」と表示されたとしても、その通りにはならないリスクがある点は注意が必要です。なお、当サイトの電気料金シミュレーションでは料金単価自体が市場価格連動となっている料金プランは掲載していません(2019年4月に掲載を停止)


料金の算定基準が分かりづらい


 市場価格連動型の料金プランは、卸電力取引所での価格がそのまま適用されるわけではありません。各社が独自の基準を使って、市場価格をもとに計算した単価によって電気料金が計算されます。


 例えばエレトス電力のプランでは、このような計算をするそうです(約款から引用)


<市場価格連動型電力量料金単価算定式>
市場価格連動型電力量料金単価=(市場価格連動型電力量料金単価算定期間におけるスポット取 引の30 分ごとの約定総量×当該30 分ごとのシステムプライス)÷市場価格連動型電力量料金単価算定期間におけるスポット取引の約定総量の市場価格連動型電力量料金単価算定期間の総和(小数点以下第3位を切り捨て)

引用元:契約種別定義書 - 市場価格連動型プラン(エレトス電力)

 理解できますか?? 何を言っているのかサッパリですよね。


 同じく市場価格連動型を取り入れている自然電力の場合は、「30分毎の電力卸市場の前日スポット価格」+「5.30円(事業運営費)」+「2.64円(再エネ賦課金)」とシンプルで分かりやすいですが、いずれにせよ30分ごとの料金単価をイチイチ計算するのは面倒です。


 市場価格連動型の料金プランは、消費者にとって分かりづらいと言えます。


電気代が大幅に割高になる恐れも


 例えば2018年6月26日分で見ると、最安は朝8時の6.93円/kWhに対し最高値は16時半の12.01円と2倍近い開きがあります。冷暖房需要が大きい夏・冬は1日の価格変動が3倍以上になることも珍しくありません。


2018年2月9日の卸電力取引所のスポット価格

乱高下した2018年2月9日の取引価格

 市場価格連動型の料金プランでは、市場価格と連動して料金単価が30分ごとに変動しますから、市場価格が高い時に電気を使うとその分電気料金に跳ね返ってきます。


 一般家庭の平均的な電気料金の単価は27円/kWh程度ですが、卸電力取引所では2007年に1kWhあたり60円とか、2018年2月には東京エリアで断続的に50円以上という価格になったこともありますし、瞬間的に100円を超えたこともあります。2021年1月には、1ヶ月にわたり高騰が続き月間平均が66.53円/kWhとなりました(東京電力エリア)


 電力取引価格の推移によっては、一般家庭の1ヶ月の電気代が20万円近くになる場合も無いわけではないというのが市場連動型プランの恐ろしい点です(通常の料金プランであれば1万数千円)


市場価格連動型の料金プランを選べる電力会社の一覧


 市場連動型プランを提供している新電力を紹介します。全国700社以上と言われている新電力の中でも「一部」です。


完全市場連動型プランの一覧



 料金単価自体が「市場連動」となっている新電力は上で紹介したとおりです(30分単位、もしくは月単位等で料金単価が変わる)


一部市場連動型プランの一覧


 電気料金単価自体は予め定まっているものの、卸電力取引所の取引価格の変動を電気料金に反映する仕組みを取り入れている新電力もあります。



 市場連動型プランの「見分け方」は以下の記事で詳しく紹介しています。




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