燃料費調整額の上限が無い・撤廃する電力会社の一覧

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燃料費調整に上限が無い電力会社はどこ?


 燃料費調整額の上限が無く、電気代が高騰している電力会社はどこか。自分が契約している電力会社に燃料費調整の上限があるのか不安を感じている人に向けて電力自由化の専門家が詳しく解説します。



燃料費調整額の上限とは


 まずは燃料費調整額の上限について、簡単に解説します。


そもそも燃料費調整額とは


 燃料費調整額とは、燃料価格を毎月の電気料金に転嫁する仕組みです。大手電力を始め、ほとんどの新電力が導入しています。


 財務省の貿易統計のデータをもとに、LNG・石炭・石油の輸入価格と平均為替レートをもとに計算されます。卸電力取引所の電力取引価格を電気料金に反映する料金プランとは参照するデータが異なるので、混同しないよう注意してください(卸電力取引所の取引価格を燃料費調整額に含める電力会社も少数存在する)


化石燃料


 一部例外はありますが、新電力各社の燃料費調整額は各地域の大手電力と同じ計算方法で計算しており、大手電力と新電力で差が無いことが多いです。一部、独自の計算式を採用している場合や、そもそも燃料費調整制度を導入していない新電力もあります。


2022年、上限に達する電力会社が相次ぐ


 燃料価格の高騰、そして円安の影響を受けて日本が輸入している燃料価格が高騰を続けています。


 こうした資源価格の高騰を受け、2022年10月以降すべての大手電力では燃料費調整額が上限に達しています。例えば関西電力では2022年3月に上限に達しており、上限が適用されるプランと適用されないプランでは燃料費調整単価に以下のような差が生じています。


関西電力の燃料費調整額の推移(上限ありと無しの比較)


 例えば関西電力の2022年11月の単価では、上限額ありと無しの差は8.71円/kWhです。月300kWhの電力を使用する一般家庭では上限の有無によって1ヶ月で1941円の差が生じています。


燃料費調整単価
2023年4月分
電気代の差
月300kWh
上限あり 上限無し
北海道電力エリア 3.66円/kWh 8.57円/kWh 4.91円/kWh 1473円
東北電力エリア 3.47円/kWh 11.80円/kWh 8.33円/kWh 2499円
東京電力エリア 5.13円/kWh 10.25円/kWh 5.12円/kWh 1536円
中部電力エリア 5.36円/kWh 9.93円/kWh 4.57円/kWh 1371円
北陸電力エリア 1.77円/kWh 9.34円/kWh 7.57円/kWh 2271円
関西電力エリア 2.24円/kWh 9.67円/kWh 7.43円/kWh 2229円
中国電力エリア 3.19円/kWh 13.77円/kWh 10.58円/kWh 3174円
四国電力エリア 2.55円/kWh 10.76円/kWh 8.21円/kWh 2463円
九州電力エリア 1.94円/kWh 7.56円/kWh 5.62円/kWh 1686円
沖縄電力エリア 3.98円/kWh 17.32円/kWh 13.34円/kWh 4002円

 上限が無い料金プランは基本的にすべて、大手電力従量電灯プランより割高になっていると考えて問題無いです。


上限を撤廃する電力会社も続出


 燃料価格の高騰を受け、新電力各社や大手電力では燃料費調整額の上限を「撤廃」する動きを加速させています。


 これまで燃料費調整額に上限を設けていた電力会社でも次々と上限を廃止している状況です。上限を廃止しない場合、電力会社の収益が圧迫されるため、このような事態が生じています。


燃料費調整額の上限の有無を確認する方法


 契約している電力会社に燃料費調整額の上限設定があるか調べる方法を解説します。


電話等で確認する


 契約している電力会社に対し、電話やメールなどで確認するのが最も手っ取り早いです。自分が契約しているプラン名を確認した上で「燃料費調整額に上限設定はありますか」と質問すれば多くの電力会社はしっかりと回答してくれるはずです。


 ただし、これは私が実際に経験した例ですが「当社では独自に燃料費調整額を定めておりません」との説明を繰り返し、上限の有無を明示してくれない電力会社も存在します(この会社は約款にも明示が無かった)


 その場合、「最新月の燃料費調整単価を教えてください」と質問してください。聞き取った単価を、お住まいの地域の大手電力の燃料費調整単価と比較すれば、上限の有無を確認できます(ただし上限オーバーしているタイミングのみ) お住まいの地域の燃料費調整単価は「○○電力 燃料費調整単価」と検索すれば分かります。従量電灯に適用される燃料費調整単価と比べてください。


約款を確認する


 PDFなどで各社の公式サイトに掲載されている約款の「燃料費調整」の項目を確認してください。燃料費調整に上限設定がある場合は以下のように記載されています。


「どこよりも電気」プラン約款

「どこよりも電気」プラン約款より

 上限設定がある電力会社の場合、「1キロリットル当たりの平均燃料価格がYYYYY円を上回る場合、平均燃料価格はYYYYY円といたします」と書かれています。これが無いものは上限設定がありません。


最新の燃料費調整単価を確認する


 公式サイト上、あるいはマイページなどに最新月の燃料費調整単価が掲載されているはずです。どこにあるか分からない場合は「○○でんき 燃料費調整単価」と検索すれば検索結果に表示される場合があります。


 この燃料費調整単価を、大手電力会社の従量電灯に適用される燃料費調整単価と比較すれば上限の有無を確認することが出来ます(ただし上限をオーバーしているタイミングのみ) 大手電力従量電灯の燃料費調整単価より高ければ、上限が無いかあるいは独自の計算方法を採用していることが分かります。


燃料費調整に上限が無い主な新電力の一覧


 契約件数が多い主な新電力や、今も電気料金比較サイトで新規申込を受付けている新電力の中で燃料費調整に上限が無いもの・今後廃止予定のものをリストアップします(主要なプランについて→主要ではない一部プランで上限を維持している場合もあります)


社名・サービス名 燃料費調整上限 市場連動型
ガス系
東京ガス 無し
大阪ガス 無し
西部ガス 無し
ニチガス 無し
通信系
auでんき 無し
ソフトバンクでんき 無し
ドコモでんき 無し
楽天でんき 無し 市場連動
J:COM電力 無し
eo電気 無し
石油元売り系
ENEOSでんき 無し
出光興産 無し
その他
シナネン
あかりの森でんき
無し
オクトパスエナジー 無し
CDエナジー 無し
ミツウロコでんき 無し
テラセルでんき 無し
東急でんき 無し
リミックスでんき 無し
シン・エナジー 無し
エバーグリーン 無し
サニックスでんき 無し
グランデータ
(ONEでんきなど)
無し 市場連動
HTBエナジー 無し 市場連動
Looopでんき 無し 市場連動

 2022年11月分の燃料費調整単価では、基本的に上記すべての新電力が大多数の一般家庭で大手電力従量電灯より割高になる恐れがあります。特に「市場連動型」と記載があるものは更に一段と高騰している・今後高騰するものがあるので注意してください。


 最新の燃料費調整単価をもとにした料金シミュレーションは以下の電気料金一括シミュレーションで確認できます。


上限があるプランへの切り替えを推奨します


 燃料費調整の高騰により、上限が無い料金プランは大手電力の従量電灯(上限がある)と比べて電気代が割高、あるいは大幅に割高となっています。燃料費の高騰は年単位で続く可能性もあり、少なくとも短期間で収まる可能性は低いです。


 なお、一部の電気料金比較サイトでは燃料費調整に上限が無く直近で明らかに電気代が高騰している料金プランが「安い」とされている場合があるので注意してください。


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