燃料費調整額の上限設定がある電力会社は?
高騰する燃料価格により燃料費調整額の上限に達する電力会社が相次いでいます。この記事では燃料費調整額に上限を設けている電力会社を一覧で紹介します。
- この記事の著者:石井元晴
2014年から当サイトを運営。産経新聞、週刊女性自身、週刊ポスト、女性セブンなど数々のメディアに電力自由化の専門家として取材を受けてきました。400社以上の料金プランに目を通しています。
目次
燃料費調整額の上限とは
まずは燃料費調整額の上限について、簡単に解説します。
そもそも燃料費調整額とは
燃料費調整額とは、燃料価格を毎月の電気料金に転嫁する仕組みです。大手電力を始め、ほとんどの新電力が導入しています。
財務省の貿易統計のデータをもとに、LNG・石炭・石油の輸入価格と平均為替レートをもとに計算されます。卸電力取引所の電力取引価格を電気料金に反映する料金プランとは参照するデータが異なるので、混同しないよう注意してください(卸電力取引所の取引価格を燃料費調整額に含める電力会社も少数存在する)
一部例外はありますが、新電力各社の燃料費調整額は各地域の大手電力と同じ計算方法で計算しており、大手電力と新電力で差が無いことが多いです。一部、独自の計算式やそもそも燃料費調整制度を導入していない新電力もあります。
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詳しい解説記事
2022年、上限に達する電力会社が相次ぐ
燃料価格の高騰、そして円安の影響を受けて日本が輸入している燃料価格が高騰を続けています。
こうした資源価格の高騰を受け、2022年10月以降はすべての大手電力で燃料費調整額が上限に達しています。例えば関西電力では2022年3月に上限に達しており、上限が適用されるプランと適用されないプランでは燃料費調整単価に以下のような差が生じています。
例えば関西電力の2023年2月の単価では、上限額ありと無しの差は8.96円/kWhです。月300kWhの電力を使用する一般家庭では上限の有無によって1ヶ月で2688円の差が生じます。
上限を撤廃する電力会社も続出
燃料価格の高騰を受け、新電力各社や大手電力では燃料費調整額の上限を「撤廃」する動きを加速させています。
これまで燃料費調整額に上限を設けていた電力会社でも次々と上限を廃止している状況です。上限を廃止しない場合、電力会社の収益が圧迫されるため、このような事態が生じています。
燃料費調整額に上限がある電力会社の一覧
燃料費調整額の上限を設けている電力会社を一覧で紹介します。
大手電力標準メニューは上限設定あり
大手電力の「従量電灯プラン」と呼ばれる標準的な料金プランには、燃料費調整額の上限が設定しています。
一方、同じく大手電力が提供している自由化向けプランと呼ばれる新しい料金プランでは、燃料費調整額に上限が無いものが多いです。昨今の燃料費調整単価の水準では、基本的に従量電灯プランより自由化向けプランの方が割高になっています。契約しているプラン名を確認してください。
上限設定がある新電力の一覧
新電力は相次いで燃料費調整額の上限を撤廃・廃止していますが、2023年10月時点で燃料費調整額の上限を維持している新電力もあります。
いずれも料金一括シミュレーションに掲載しています。
大手電力値上げでどうなる?
2023年6月に大手電力10社のうち7社が、従量電灯プランの値上げを実施しました。この値上げ後の電力会社の選び方を解説します。
大手電力が値上げした地域では燃料費調整上限は無視してOK
大手電力が従量電灯を値上げした以下の7地域では、当面の間は燃料費調整の上限は無視してOKです。
- 北海道電力
- 東北電力
- 東京電力
- 北陸電力
- 中国電力
- 四国電力
- 沖縄電力
これらの地域では、値上げにあわせて燃料費調整が「リセット」されています。引き続き上限設定は維持されていますが、上限のラインが従来より大幅に引き上がっているため、当面は上限を超えることは無いため、上限の有無を気にする必要は無いと言えます。
もし再び上限を突破する事態が起こるとすれば、例えば台湾有事や核戦争などの事態が想定できますが、いずれにせよロシアによるウクライナ侵攻が起きた2022年をも遥かに上回る大混乱が起こらなければ再び上限に達することは無いでしょう。
念のため、燃料価格高騰のニュースが流れ始めたら燃料費調整単価の点検を毎月行うようにしてください。燃料価格に関する解説はTwitterアカウント:@powerhikakuでも随時配信するのでぜひフォローしてください。
中部・関西・九州は引き続き上限に注意
大手電力が従量電灯を値上げしていない以下の地域では、引き続き燃料費調整上限がある料金プランを選んだ方が安全、もしくは明らかに安いです。
- 中部電力
- 関西電力
- 九州電力
中部エリアについては「上限」の水準が他2社よりかなり高いため、2023年8〜10月は上限以下で推移しています。関西・九州については当面、上限を超えて推移することが予想されるため「上限アリ」がマストです。
繰り返しになりますが、大手電力でも「従量電灯A・B・C」以外の料金プランでは、燃料費調整額の上限がありません。例えば関西電力のなっトクでんきなどは上限が無く、従量電灯Aよりも大幅に割高になっているので注意してください。
最新情報は料金一括シミュレーションで(毎月更新)
最新の電気料金は当サイトの電気料金一括シミュレーションで確認いただけます。燃料費調整額を毎月更新しています。
今、利用している料金プランが割高になっていないか、ぜひ確認してください。