トリプルセット割とは?
日経トレンディの2016年ヒット予測に選ばれた「新電力トリプルセット割」という言葉。なんだか長ったらしい名前ですが、どういったものなのでしょうか。詳しく、わかりやすく解説します。
3つ組み合わせて安くする
「セット割引」とは、電力とガスや携帯電話をセットで契約することでお得な料金プランで電力を利用出来る、というものです。トリプルセット割も同じことで、「電力+何か+何か」を組み合わせることでよりお得な料金プランで電気が使える、というのが特徴です。
安くなる仕組みは?
電力自由化で電気料金が安くなる、と皆さん思っているでしょう。確かに、今まで無かった競争が起こることで全体の水準が一気に数パーセントほど下がりそうです(実際に大手電力が1月から一斉に電気料金を下げます) しかし、新電力の選び方で詳しく説明している通り、新電力の間で電気料金に大きな差がつくことは無いので、これではお客さんを獲得することが出来ません。
そこで有力視されているのが「セット割引」なのです。例えば、電力を携帯電話と一緒に契約してもらうことで、携帯電話の料金からも割引の原資を確保することが出来ます。トリプルセット割で「電力+ガス+携帯電話」で契約してもらえば、携帯電話とガスからも電気料金を安くする「元手」を確保することが出来るというわけです。
新電力と組むガス会社や携帯電話会社は、お客さんを囲い込めるというメリットがあり、各社必死に提携交渉を進めているようです。
本当にお得なの?
電気料金だけでは差がつきにくい以上、単独で電力を契約するよりは「トータルで見て」若干お得になるかもしれません。ただし、注意点はたくさんあります。落とし穴がたくさんあるので、「ダブルセット割」くらいを狙っていくのが一番安全です。
注意点は?
「セット割引」の落とし穴で詳しく解説していますが、違約金にはくれぐれもお気をつけください。契約する前に必ずじっくり確認しましょう。
例えば、「電力+ガス+携帯電話」でトリプルセット割を適用するとしましょう。電力とガスは契約・解約のタイミングが同じになることが多いです(引っ越しなど)が、携帯電話は「電気・ガス」と契約・解約ともにタイミングは一緒ではありませんよね。新機種や、新しい料金プランが出てきたり、あるいは使っているスマホが古くなった時に契約を変更する人が多いでしょう。何千円もする違約金が発生したら、電気料金が安くなった分は帳消しになるどころか、むしろ高くつく可能性もあります。
また、2017年からは首都圏・京阪神・中京の3地区でガスの小売自由化も始まります。この2年ほどで様々な制度や、料金プランが変わっていくので、わざわざ自分から縛られに行く必要はありません。
余談
日経トレンディで2016年ヒット予測1位にこの言葉が選ばれたことに、非常に大きな違和感を覚えました。「トリプルセット割」という言葉自体が、この賞で取り上げるまで世の中に存在していなかった言葉だからです。どこかの会社が大金を払って、賞を獲得したのでしょうね。ヒットはこうして作られるのかと、感心しました。