全館空調住宅の電気代が安くなる電力会社は?
昨今、ハウスメーカー各社がこぞって売り出している全館空調住宅。その電気代を節約できる電力会社・電気料金プランを、全国441社の新電力会社の中から厳選して紹介します。
目次
全館空調住宅におすすめの電力会社
全館空調住宅の電気代が安くなる電力会社を条件ごとに紹介します。
電灯契約のみ、非オール電化住宅の場合
非オール電化で、かつ全館空調用に低圧電力を契約していないケースでおすすめの電力会社を紹介します。
このケースでは、電気の契約容量が一般的な住宅と比較して大きくなりやすく、それに伴い電気の基本料金が高くなりやすいです。
そこでおすすめなのが、基本料金0円の料金プランです。親指でんきの「いいねプラン」は基本料金が0円、使用量に応じて料金が課金される料金体系です。戸建住宅の平均的な使用条件(50A契約・月437kWh)で大手電力の標準メニューと料金を比較します。
エリア | 削減率・年間削減額 |
---|---|
北海道電力エリア | -5.2% -9286円 |
東北電力エリア | -1.7% -2572円 |
東京電力エリア | -1.4% -2213円 |
中部電力エリア | +0% +106円 |
北陸電力エリア | +6.4% +8040円 |
関西電力エリア | +1.0% +1322円 |
中国電力エリア | +0.7% +892円 |
四国電力エリア | +0.7% +1042円 |
九州電力エリア | -1.8% -2417円 |
初期費用や解約違約金の発生もありません。
オール電化住宅の場合
オール電化住宅で全館空調を導入しているケースでおすすめの新電力を紹介します。
実は新電力でオール電化プランを提供している例は非常に少なく、選択肢が限られるというのが実情ですが、その中でも出光興産のオール電化プランがおすすめです。
他社のオール電化プランでは大手電力のオール電化プランよりも割高となるものも珍しくありませんが、出光興産のオール電化プランは、大手電力のプランと比較して基本料金が割安に設定されており、料金を削減することが出来ます。
沖縄・離島を除く全国に対応。解約時の違約金なども掛かりません。別途、昭和シェルのガソリンスタンドでの給油が割引になる特典もあります。

低圧電力契約(動力)の場合
全館空調用に低圧電力(動力プラン)を契約している場合は、電灯契約(従量電灯)と低圧電力でそれぞれ別々の電力会社と契約することが可能です。それぞれ安くなる電力会社を探すことで、電気代を大幅に削減することが出来ます。
新電力の低圧電力プランは、大手電力のプランと比べて基本料金が安く・電力量料金が高く設定されているものが目立ちます。全館空調のように電気の使用量が多くなる場合に、メリットが小さくなる傾向があります。
全館空調システム用の低圧電力としては、サステナブルエナジーの低圧電力をおすすめします。基本料金が割安、電力量料金は大手電力と同水準なので全館空調システムに適した料金体系です。
ハウスメーカーの「電気」は割高
大手から中堅まで、ハウスメーカー各社が自社で電力事業に乗り出したり、あるいは他の新電力と組んでハウスメーカーで家を建てた人に向けて電気料金プランを提供しています。
当サイトの電気料金比較シミュレーションにはダイワハウス、ヘーベルなどのハウスメーカー系電力のプランも掲載していますが、いずれも料金比較で上位に登場することはありません。
新電力会社の料金プランとしては、いずれも「割高」と言えます(さすがに大手電力よりは安いが)
電気代を安くしたいのであれば、ハウスメーカー系の新電力会社とは契約すべきではありません。
全館空調は電気代が高いです
全館空調は、個別エアコンと比較して電気代が高いです。そう言える理由を解説します。
物理的に「割高」になりやすい
ハウスメーカー各社は全館空調について「電気代が安い」「経済的」と宣伝していますが、残念ながら必ずしも営業トーク通りお得になるケースは少ないとみられます。
全館空調は冷暖房をする面積が、個別エアコンを利用する場合と比べて広くなります。必要な部屋だけ空調する個別エアコンとは異なり、基本的に家全体を空調するシステムであるためです。
広い面積の温度を保つにはより大きなエネルギーを必要とするため、電気代は割高とならざるを得ません。
戸建ての場合、1日の間で全く利用しない部屋がある場合もあるでしょう。あるいは、寝室は1日の内、9時間程度しか利用せず残りの15時間は無人という場合もあるでしょう。誰もいない部屋の温度を保ち続けるため、余計なエネルギーを必要とします。
エアコンは付けっぱなしにした方が効率が良いというのは最近よく聞く話です。たしかにダイキンのテストでも、30分ごとにオン・オフを繰り返すと消費電力が増えたという結果も出ています。
しかし消している時間が長くなる場合は、ちゃんと消した方が消費電力が少なくなります。昼の間、あるいは夜の間使わない部屋はエアコンをオフにした方が効率がよく、それが出来ない全館空調は効率が悪いと言えます。
ハウスメーカーの宣伝には問題が多い
全館空調を紹介する際に、個別エアコンのケースと光熱費を比較しているグラフなどを各社がパンフレットなどに記載していますが、適切に比較がなされていない例が目立ちます。
例えば上のグラフは「Z空調」で知られる桧家住宅の公式サイトに掲載されていた画像ですが、比較対象を政府統計である「家計調査」としています。
家計調査は新築でない住宅で暮らす人も調査に多数協力しています。また、調査に協力する家庭が高齢者世帯に偏っているのではないかという指摘がしばしばなされています(調査票の記入に非常に手間が掛かるため)
一方、桧家住宅の「Z空調実測」の値は、実験用に建てられた最新の住宅で計測しています。当然、新築の家とそうでない家とでは断熱性が全く異なりますし、エアコンなど空調や各種家電の条件も全く異なるため、比較が成立していないと言えます。
住友林業のサイトでは個別エアコンと「ほぼ同じランニングコスト」と紹介されていますが、この試算には基本料金を含めていないとのことです。住林の全館空調は低圧電力契約なので、空調用に別途月に3千円程度の基本料金が掛かります(3kW契約と仮定) 従量電灯の基本料金は下がりますが、それでも差し引き1000〜2000円は基本料金分で個別エアコンよりも割高となるでしょう。
とはいえ快適性では全館空調の方が勝っているわけですから、その部分に多少の電気代が掛かっていると考えることが出来れば、多くの人は全館空調に満足出来るのではないでしょうか。