オール電化住宅は安くならない
熱源の全てを電気で賄う「オール電化住宅」は、既に1割以上の世帯が導入しています。電気をたくさん使うからこそ、電力自由化への注目も高いのではないでしょうか。ですが、電力会社を乗り換えるにあたっては大きな落とし穴もあるので注意が必要です。その理由を詳しく説明します。
目次
以前のオール電化プランは超激安だった
新規で契約する(引っ越しを含む)場合は別として、数年以上前からオール電化用のプランで契約している場合は、新電力への乗り換えで電気料金が割高になる可能性が大きいです。その理由を詳しく説明します。
そもそもなぜオール電化プランはお得だったのか
説明に入る前に、まずは「なぜオール電化プランが割安なのか」ということを説明したいと思います。
オール電化を導入するにあたってコアとなるシステムの一つに「エコキュート」と呼ばれる電気を使った給湯器があります。
このエコキュートは電気代が安い深夜帯に、電気を使ってお湯をつくって貯めておくシステムだというのは、オール電化世帯の方には「釈迦に説法」かもしれませんね。
ではどうして、深夜帯の電気代が安いと思いますか?
その答えは、電気の「需要の変動」にあります。
電気の需要は季節によって変動するのはもちろん、一日の中でも大きく変動します。深夜は人々が寝静まっているため、電気の需要が少ないです。
原子力発電所が全国で稼働していた頃は、深夜時間帯の電気が今よりも多く余っていました。原発は一日の中で出力を大きく変えることが難しく、一日中一定量を発電し続ける仕組みだからです。
その余っている深夜の電気を使ってもらうために、電力会社が普及を積極的に進めていたのが「オール電化」というシステムです。オール電化のプランがお得だったのは、原発の特性により深夜に電気が余っていた「おかげ」と言えます。
激変した日本の電力事情
ですがご承知のとおり、東日本大震災による原発事故をきっかけとして、今も全国でほとんどの原発が停止を続け、日本の電力供給の中心は火力発電となっています
火力発電は出力調整が容易であるため、電気の需要が少ない時は発電所の出力を少なくするか、一時停止することが出来ます。その結果として、電力会社にとっては以前ほど深夜に電気を使ってもらう必要性が低下しているため、最近のオール電化用プランが以前ほどお得ではなくなっています。
もし乗り換えてしまうと・・
以前のオール電化プランと契約している世帯が、新電力に乗り換えた場合どうなるのか。答えは簡単で乗り換えると、かえって割高になるということです。
電力会社 | 料金目安(月) |
---|---|
東京電力「電化上手」 (オール電化用プラン) |
15421円 |
東京ガス | 20676円 |
ENEOSでんき(2年契約) | 20452円 |
オール電化用プランから、関東でも最安値水準の新電力の一般プラン(オール電化用でない)に乗り換えた場合の試算です。同じ使用量でも月に5千円も割高になるという結果になりました。
最近のオール電化プランは新電力と比較検討を。
以前のオール電化プランは激安(特に深夜時間帯)であるため契約し続けた方が絶対お得ですが、最近になってオール電化プランを契約したご家庭については、プランを見直した方がお得になる場合もあります。
新電力のオール電化プランはどうか
新電力で「オール電化プラン」を投入しているところは少ないです。私が把握しているところを一覧ご紹介します。
会社名 | 供給地域 | 料金水準 (大手と比較して) |
---|---|---|
出光昭和シェル | 全国 ※離島・沖縄除く |
安い |
ナンワエナジー | 九州 | 安い |
エルピオでんき | 関東 | 高い |
千葉電力 | 関東 | 高い |
坊っちゃん電力 | 四国 | 高い |
大手電力会社の代表的なオール電化プラン用プランと比較した料金水準とあわせて紹介しました。中には明らかに「割高」になるプランもあるので、注意してください。
一部新電力の「オール電化プラン」は、一般プランと比較して「安い」と公式サイトで紹介されている例があるので比較対象をよく確認しましょう。
オール電化住宅におすすめの電力会社は?
古いオール電化プランを契約している場合は、何がなんでも現在のプランを死守してください。一度解約(他社に転出)するともう二度と戻ることは出来ません。
最近のオール電化プランを契約している場合は、以下の新電力をおすすめします。
いずれも大手電力会社のオール電化プランと比べて、一律に安い料金単価が設定されており、切り替えることで電気代が安くなります。
現在契約しているプランの料金単価とよく見比べてから申し込んでください。料金単価は電気の検針票を見るか、ネットで「東京電力 スマートライフ 料金単価」などと検索すれば分かります。