とりわけ高騰しているオール電化住宅の電気代
全世界的に高騰している電気料金ですが日本国内に目を向けると、とりわけオール電化住宅の電気代高騰が著しい現状があります。その原因と、電気代高騰への対策を解説します。
目次
とりわけ「高騰」しているオール電化の電気代
オール電化の電気代がとりわけ高騰している原因を解説します。
燃料費調整に上限が無い・無くなった
日本の多くの電気料金プランでは、燃料の輸入価格の変動を電気料金に転嫁する「燃料費調整制度」が導入されています。燃料費調整の計算式自体は、オール電化向け/一般向け問わず同じである場合が多いです(新電力も同じ計算式を採用していることが多い)
計算式自体は同じでも、大手電力が一般住宅向けに提供している「従量電灯」では、燃料費調整に上限が設けられているのに対し、オール電化プランでは上限が最初から無いか、あるいは2022年中に軒並み上限が撤廃されています。
2022年の春以降、全国すべての大手電力の燃料費調整が上限に達しています。そのため従量電灯では電気代の高騰が一定水準で止まっているのに対し、オール電化プランを始めとする燃料費調整に上限が無いプランでは電気代の上昇が2022年春以降も継続している状況です。
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詳しい解説記事
2023年春に値上げが実施される
既にオール電化プランの電気代が高騰していることに加え、2023年春には電気代の値上げが実施されます。
一般住宅向けの料金プランでは3割程度の値上げとなる一方、オール電化プランについても現状で大きく高騰しているところから更に11%(北陸電力の場合)値上げされる見通しです。
なお、関西電力、中部電力、九州電力、北海道電力の4社については2022年12月時点で値上げを表明していませんが、これらの大手電力でもオール電化プランには燃料費調整の上限が無いため電気代が高騰しています。
高騰は少なくとも数年以上続く見通し
現在の燃料価格高騰は燃料の輸入価格の高騰によって生じています。なのでドル建ての燃料(原油、LNG、石炭)価格が下がるか、為替レートが円高に進むことで下落する可能性はあります。
ですが燃料価格は国際的な情勢の緊迫化が継続することが見込まれるため、高止まりが予想されていますし、為替レートについても米国の金利高止まりが続くことが予想されており、2022年春の110円台まで円高が進むと予想している専門家は皆無です。
また、オール電化は今回の燃料価格高騰を招いたロシアによるウクライナ侵攻以前から相次いで値上げが実施されていました。その背景として、原子力発電所の稼働停止があります。
オール電化住宅では深夜にまとめて大量のお湯を沸かすため、深夜の電気使用量が大きいです。原子力発電所は一日中一定の発電量で発電をするため、原発が多く稼働している状況では深夜に電気が余りやすくなります。その余りがちな電気を有効に使ってもらうため大手電力各社が推進してきたのがオール電化です。
政府は原発の再稼働や建て替えを進める方針を打ち出していますが、2011年に起きた甚大な原発事故による国民感情から再稼働は一筋縄にはいかないでしょう。今後もオール電化住宅にとって厳しい状況が続くことは避けられません。
オール電化住宅で取れる電気代高騰対策の一覧
オール電化住宅で取れる電気代高騰対策を解説します。
徹底した節電
使う量を減らせば電気代を削減出来ます。こまめな消灯、テレビをつけっぱなしにしない、エアコンを使う部屋を小さく区切るなどして節電を心がけてください。
家事をしている間、テレビをつけっぱなしにしているご家庭も多いと思いますが画面を消灯する機能が多くのテレビに備わっているので、消灯したまま音声だけ聴くのもおすすめです。大型テレビで1日4時間消灯した場合、月に200円程度は節約できます。テレビではなくラジオを聴くのもおすすめです。
昼間の電気使用量の抑制
オール電化用の電気料金プランは昼間よりも深夜の料金単価が割安に設定されています。なので同じ量の電気を使う場合でも、昼間ではなく深夜に使った方が電気代を安くすることができます。
例えばドラム式洗濯機の洗濯乾燥運転(1回1.3kWh)を昼間から深夜に変えた場合、月3000円以上の節約になります(東電スマートライフの場合)
電力会社を乗り換える
電力会社を乗り換えることで、電気代を削減することが出来ます。
削減幅は1〜2%程度に留まることが多いですが、割安な料金プランを利用することで初期費用無しに毎月自動的に電気代の削減が可能です。
割安なオール電化プランは以下の記事で紹介しています。
太陽光発電の導入
家庭向けの太陽光発電設備は、電気代が高騰する以前から「元が取れる」と言われています。電気代が高騰している今、より一層採算性は高まっています。
戸建て・持ち家で築年数が15年以下でまだ太陽光発電を導入していない場合は、太陽光発電の導入検討もおすすめです。太陽光発電を導入することで割高な昼間の買電を大幅に削減出来るためオール電化住宅で特に節約メリットが大きいです。
太陽光発電は同じメーカー・同じ製品であっても購入する代理店によって最大1.5倍の価格差が生じていると経産省の研究会が公表しています。導入する場合は一括見積もりサイトなどを活用して価格比較をしっかりと行ってください。
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