電気自動車を買っても深夜電力プランを契約してはいけない理由

深夜電力プランで損になることも多い


 電気自動車の購入を機に、自宅の電気料金プランを「深夜電力プラン」に切り替えて深夜に充電しようと考えている人は、立ち止まって慎重に考える必要があります。深夜電力で損をするケースが多い、ということを数字を示しながら解説します。



深夜電力プランで「損」をするシンプルな理由


 数字を交えながら解説します。


充電よりも宅内での使用量の方が大きい


日産リーフ


 電気自動車を購入して自宅の充電器で充電を行うと、これまでと比べて自宅の電気使用量が増えることは言うまでもありません。ですが、使用量がどれほど増えるのでしょうか。平均的な使用条件をもとに想定してみましょう。


年間走行距離 10000Km
平均電費 6Km/kWh

 自家用車の平均年間走行距離は約1万Km(国交省データ)とされています。平均電費は仮に6Km/kWhとします。


 この「平均的な」ケースの場合、充電に必要な年間の電力量は10000/6=1667kWhとなります。月平均で139kWhです。


 一方、一般家庭の電力消費量は世帯人数別に以下のとおり(総務省「家計調査」より算出)


世帯人数 月使用量
2人 348kWh
3人 391kWh
4人 437kWh

 上記は当サイトで世帯人数別の平均使用量として使用している値です。2013年度の統計から算出した値なので、電気自動車の充電による消費電力量は含んでいないデータと言えます。


 電気自動車を100%自宅で充電した場合の月の電気使用量は139kWhであるのに対し、充電以外の利用は300kWh以上と2倍、3倍にのぼります。


平均的な3人暮らし世帯の電力使用の内訳

深夜電力プランは昼間高い


 深夜電力プランは深夜帯(概ね23〜翌6時頃)の料金単価が割安に設定されている一方、それ以外の時間帯は割高な料金単価が設定されています。


 電気自動車を深夜にのみ充電した場合、充電に掛かる電気代の単価を低く抑えることが出来ますが、一方で充電以外の家事や生活に使用する電気の料金単価が高くなる点がデメリットとして指摘できます。


モデルケースで試算すると・・


 もともと40A契約で月391kWhの電力を使用(3人暮らしモデルケース)していたケースを想定して、深夜電力プランと一般の料金プラン(時間帯変動が無いもの)を比較します。電気自動車の充電で月に139kWh、深夜に充電する想定で、電気自動車導入後を60A契約・月528kWhとして計算します(9時〜18時不在の家を想定して23〜6時で8.1kWh、7〜22時で9.5kWhを使用、電気自動車の導入により深夜帯の使用が日に4.6kWh増えたと想定)


プラン名 電気料金(月)
東京電力エナジーパートナー
夜トク8(深夜割引プラン)
15331円
東京電力エナジーパートナー
プレミアムS
15371円
東京電力エナジーパートナー
従量電灯B(標準プラン)
15899円
ジャパン電力
くらしプラン
13150円
あしたでんき
標準プラン
13780円

 東電の「夜トク」のみ深夜電力プラン、その他のプランは時間帯による料金単価の変動が無いプランです。


 夜トクは東電の標準プランである従量電灯Bと比較して月500円安いものの、時間帯制でない「プレミアムS」とほぼ同水準という結果になりました。


 一方、時間帯制でない新電力の最安水準のプランと比較すると、東電の深夜電力プラン(夜トク)は月に2000円前後「割高」という結果です。深夜に充電しているにもかかわらず、です。


 結論としては、深夜電力プランではなく新電力の割安な料金プランを契約した方が圧倒的にお得、ということになります。


 深夜の割安な料金設定は、原子力発電所が稼働していた時代に、深夜に「電力が余っていた」ことに対する解決策として導入されたものです。現在多くの原発が稼働を停止しており、以前ほど深夜に電気が余っていないため(発電量を容易に調節できるLNG火力が主力)深夜電力プラン自体が以前ほどお得ではなくなっているという事情もあります。


深夜電力プランを契約すべきケースもある


 深夜電力プランを契約した方がお得になるケースも当然あります。


オール電化住宅の場合


オール電化


 オール電化住宅にお住まいで、新たに電気自動車を購入する場合は、これまで通り深夜の料金単価が安い「オール電化プラン」の利用を強くおすすめします。


 オール電化住宅でオール電化プランから「そうでない」新電力の割安なプランに切り替えた場合、多くの場合電気代が大幅に高くなります。特に電気自動車を深夜に充電する場合はその差は更に大きなものとなります。


 新電力各社からも割安なオール電化プランが登場しているので、乗り換えることで更に料金を削減することが可能です。オール電化プランについては以下の記事で比較できます。


充電専用に電力を契約している場合は・・


 自宅の電力契約とは別に、充電専用もしくはほぼ専用の状態で充電器用に電気を引いているケースでは、深夜電力プランを契約して深夜に充電を行うことで割安になるケースもあります。


 ただし、平均的な走行距離(年1万Km)の場合は深夜電力プランを契約するメリットが無い場合が多いです。日本の一般的な電気料金プランは、使用量が増えるごとに料金単価が3段階で高くなる料金体系をとっており、使用量が少ない場合(電気自動車1台のケース)は単価が安い1段階目(月120kWh)でほぼ収まります。


3段階制料金プラン

3段階制料金プラン

 例えば東電の深夜電力プラン(夜トク8)の深夜帯の料金単価は21.16円ですが、最もベーシックな従量電灯B(時間帯制でない)の1段階目の料金単価は19.88円なので、深夜電力の方が割高です。


 電気自動車で年間2万Km以上走行する(複数台持ちも含め)場合は深夜電力プランのメリットが大きくなりますが、そうでない場合は推奨しません。時間帯制でない、割安な新電力の料金プランをおすすめします。少ない使用量でも、大手電力より3%前後は安くなります。


電気自動車向け深夜割引プランの一覧


 電気自動車向けに、深夜時間帯の料金を割安に設定した電気料金プランも登場しています。一覧で紹介します。


社名・プラン名 対応エリア 備考
ミツウロコでんき
EVグリーンプラン
沖縄・離島除く
全国
深夜0〜5時の電力量料金が月50kWhまで無料
まちエネ
毎晩充電し放題!プラン
東北・関東
中部・関西・四国
東電標準メニューと同額
深夜1〜5時の電力量料金が毎月規定量まで無料

 ミツウロコでんきは一日中同じ料金単価ですが、0〜5時の電力量料金が毎月50kWhまで無料になるプランです。戸建住宅の一般的な使用条件では、当サイトで掲載している418社の料金プランの中でも「最安水準」となる料金体系なので、電気自動車ユーザーの方にまずおすすめしたいプランです。


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