電力の取引価格高騰の影響を受ける料金メニューの見分け方

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電力の取引価格高騰の影響を受ける料金メニューは?


 2021年年明けから歴史的な高騰を続ける電力の取引価格。その影響を受けて、電気代が通常の数倍と高額になる恐れがある料金プランがごく少数ですが存在します。自分が契約しているプランがどうなるか不安を感じる人のために、見分け方や確認方法を分かりやすく解説します。



歴史的高騰を続ける電力の取引価格


 まずは電力の取引価格の現状(2021年1月中旬現在)を解説します。


取引価格が通常の10倍以上で推移


卸電力取引所の東京エリアプライス

2020年12月25日〜21年1月7日の取引価格(東京エリア)

 電力を売り買いする「日本卸電力取引所」という取引所があります。発電所を持つ企業が売り手となり、新電力を始めとする電力会社が買い手となって取引が行われているマーケットです。


 この卸電力取引所の取引価格が、2020年末からジワジワと上昇を続け、2021年1月時点で歴史的な高騰を続けています。実際の取引価格を紹介します。


年度 平均価格
2020年度 38.85円/kWh
2019年度 7.36円/kWh
2018年度 9.95円/kWh
2017年度 9.78円/kWh
2016年度 8.49円/kWh

 上表は各年度の年末年始、12月26日から1月6日の、東京エリアの取引価格の平均の推移です。通常の4倍近い価格となっていることが分かります。更に週平均で見ると、1月に入ってからの値上がりが顕著であることが分かります(下表)


期間(1週間) 東京エリアプライス
平均価格
11月29日〜12月5日 6.09円/kWh
12月6日〜12月12日 6.21円/kWh
12月13日〜12月19日 18.29円/kWh
12月20日〜12月26日 16.01円/kWh
12月27日〜1月2日 28.32円/kWh
1月3日〜1月10日 76.65円/kWh

 1月11日分の取引価格は111.34円、12日分は162.21円と価格高騰はとどまるところを知らないという状況です。


価格高騰の原因は


 価格高騰の要因は以下の2つです。



 寒波、あるいは新型コロナ対策のための換気により、電力需要が伸びていること。また火力発電所で使うLNG(液化天然ガス)などの燃料が不足していることで十分な発電が出来ず、電力の需給が逼迫していることが、取引価格の高騰を招いています。詳しくは以下の記事で数字を交えて解説しているので、詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。


 なお、2021年1月現在電力需給が非常に逼迫しているため、沖縄を除く全国にお住まいの方に節電への協力をお願いします。


取引価格高騰の影響を受ける料金プランがある


 記事の本題に入ります。


市場連動型プランは料金が数倍に高騰する恐れ


 取引価格の高騰を受けて、毎月支払う電気代が通常の少なくとも数倍以上に膨れ上がってしまう料金プランが、ごく一部存在しています。「市場連動型プラン」呼ばれる料金メニューです。


 市場連動型プランは、予め決まった料金単価というものが無く、卸電力取引所の取引価格に連動して料金単価が決まる特徴的な料金メニューです。30分ごとに料金単価が変動します。


 通常の取引価格は平均8円程度ですが、1月1〜12日の平均は既に79.49円(東京エリア平均)となっているため、東電で8千円で済むところが市場連動型プランでは3万円に達する恐れがあります(月350kWh、40A契約での概算)
今後の取引金額の推移によっては、更に高くなる恐れもあります。


東電/従量電灯B 8000円
市場連動型 30000円前後

市場連動型プランを提供している新電力の一覧


 実際に市場連動型プランを提供している新電力を紹介します。



 上記はいずれも30分ごとに料金単価が市場価格と連動して変動するプランで、先にも指摘したとおり電気代が「数倍」となる可能性が濃厚です。


 それに加え、市場連動的な要素を持つ料金メニューも一部存在します。



 上記の新電力の一部プランは、料金単価自体は市場連動ではなく固定価格(あるいは30分ごとの変動ではなく月ごとの変動)ですが、取引価格の変動が料金に一部反映される仕組みを取り入れています。


 純粋な「市場連動型プラン」と比べて価格上昇は緩やかなものとなる可能性があるものの、当初見込んだ料金削減メリットを得られなくなる(大手電力会社より高くなる)可能性があることを指摘しておきます。
 例えば「おトクでんき」の場合、取引価格が平均100円/kWhとすると、電気代が47.25円/kWh高くなります(東電エリアの場合) 月350kWhを使う一般家庭では1ヶ月で16537円の負担増となります。


 なお、当サイトでは料金単価自体が市場連動となっている料金プランを料金シミュレーションに掲載していません(今回のような価格変動リスクを想定して)


不安を感じる場合は契約先に確認を


 ほとんどの新電力・大手電力会社は市場連動型プランではありませんし、市場連動的な要素も無い料金メニューを提供しています。市場価格プランは、電力完全小売自由化から4年が経とうとしている現在も特異な存在と言えます。


 ですが価格高騰のニュースを受けて不安を感じている人も少なくないようです。その場合は、自分が契約している電力会社のサポートセンターに問い合わせて確認してください。このプランは市場連動型プランですか、市場価格を反映するプランですかと質問すれば教えてくれるはずです。


 約款や料金メニューに「燃料費調整」ではなく、「電源調達調整」といった項目がある場合は注意が必要です。


市場連動でない「大半の」プランに影響はありません


 市場連動でないプランはどうなるのか不安に感じている人も多いようです。


大半の新電力は大手電力と同じ値動きです


 市場連動型プランあるいは市場連動的な要素があるプランはごく一部です。大半の新電力、あるいは大手電力の料金プランは、取引価格の高騰の影響を受けません。電気代が数倍に膨れ上がることもありません。


 一方、大手電力・ほとんどの新電力が導入している「燃料費調整制度」というものがあります。これは電力の取引価格ではなく、燃料の輸入価格(「貿易統計」による)に応じて、毎月異なる単価を電気料金に上乗せ・割引きするものです。


燃料費調整のイメージ

燃料費調整は大手電力と多くの新電力が同じ金額

 ほとんどの新電力は、各地域の大手電力会社と同じ金額の燃料費調整を加算しており、大手電力会社と同じように値動きします。


 残念ながら2021年1月現在、LNGなどの輸入価格に上昇が見られるため燃料費調整が今後値上がりする可能性が高いと言えますが、大手電力会社と多くの新電力は同じ値動きをするため、逃げようが無いと言えます。また、各社間の「価格差」も変わりません




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