相次ぐ新電力の値上げ
2022年、かつて無い勢いで実質値上げとなる料金改定に踏み切る新電力が相次いでいます。値上げに踏み切った新電力を一覧にまとめます。
目次
電気代の値上げを発表した新電力の一覧
2022年1月から7月4日までの間に料金改定を発表もしくは実施し、実質的に値上げを行った新電力をまとめます。
料金単価を引き上げた新電力の一覧
料金単価を実質的に引き上げた、もしくは今後引き上げる予定の新電力をまとめます。
社名・サービス名 | 備考 |
---|---|
Looopでんき | |
楽天でんき | |
ふらっとでんき | |
eco電力 | |
伊丹産業 | |
サステナブルエナジー | |
エゾデン | Looopが供給 |
近畿電力 | |
熊本電力(東京・千代田) | |
オクトパスエナジー | 新規募集分を値上げ |
ジャパン電力 | |
自然電力 | |
コープでんき東北 | |
グリーンコープでんき | |
パルシステムでんき | |
0円でんき | 一部地域は据え置き |
RenoLaboでんき | |
RE100電力 | |
アストでんき | |
そらエネでんき | |
スマ電 |
値上げ後の料金メニューでも大手電力標準メニューと比較して多くの一般家庭で「割安」といえる料金水準を維持している新電力もありますが、楽天でんきや「ふらっとでんき」は多くの一般家庭で大手電力より「割高」となる大幅な値上げを実施しています。
なお、ふらっとでんきは料金単価の改定ではなく電源調達調整費の導入と説明していますが、約款の記載内容をふまえ電源調達調整費ではなく実質的に料金単価の値上げに該当する(卸電力取引所の取引価格「変動」を反映する仕組みではないと理解できた)と判断しました。
電源調達調整費を導入した新電力の一覧
卸電力取引所の取引価格を電気代に反映する仕組みを新たに導入することで、消費者にとって負担増となりうる変更を行った新電力をまとめます。
社名・サービス名 | 備考 |
---|---|
グランデータ | |
千葉電力 | |
香川電力 | |
和歌山電力 | |
兵庫電力 | |
アースインフィニティ | |
サステナブルエナジー | あわせて値上げも実施 |
Japan電力 | あわせて値上げも実施 |
CHIBAむつざわエナジー | |
HTBエナジー |
卸電力取引所の取引価格は2021年秋から断続的に高騰を続け、また2022年夏や冬にも大幅な高騰が発生することが見込まれていることから、卸電力取引所の取引価格を反映する電源調達調整を採用することで契約者が支払う電気代の負担が増加する恐れが大きいです。料金プランによっては、電気代が大手電力標準メニューの2倍近くに高騰するものもあります(直近2022年1〜3月の取引価格を元にした試算)
そもそも電源調達調整を導入した各社はプレスリリースの中で導入の理由として「昨今の電力取引価格高騰の影響」を説明しているケースが多く、コスト増加分を顧客に転嫁する仕組みであることは 明白と言え、実質的な料金値上げと言えます。
上表では割愛しましたが、2021年秋に少なくとも数社以上が同様の電源調達調整費を新たに導入しています。
新電力の値上げが相次いでいる理由
かつてない勢いで値上げの動きが拡大している背景を解説します。
電力取引価格の高騰が続いている
国内では2021年秋から電力の取引価格が高騰を続けています。卸電力取引所の取引価格(東京電力管内向け)の月間平均値をまとめます(単位:円/kWh)
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
---|---|---|---|---|---|
19年度 | 9.03円 | 8.71円 | 8.17円 | 7.59円 | 7.48円 |
20年度 | 5.35円 | 14.35円 | 66.53円 | 8.29円 | 6.70円 |
21年度 | 17.59円 | 18.04円 | 23.95円 | 23.36円 | 30.76円 |
高騰が起きていなかった2019年度と比較すると、2022年1〜3月は取引価格が2倍以上で推移していることが分かります。
新電力は卸電力取引所などから仕入れた電力を、電線の使用料(託送料金)を支払って顧客に届けるビジネスを行っています。通常は商品の仕入れ価格は8円、そして送料(託送料金)は9円程度。それを26円で消費者に販売するビジネスモデルです。
卸電力取引所の取引価格だけでなく、発電所を持つ企業と直接契約して電力を調達する「相対契約」での調達価格も高騰しており、直近の取引価格は多くの新電力にとって赤字となる水準です。
電力取引価格高騰の原因は主に2つ
電力取引価格の高騰が発生している原因は主に以下の2つです。
- 燃料輸入価格の高騰
- 電力需給の逼迫
2020年度から21年夏頃までは世界的な新型コロナの感染拡大による経済活動の停滞で燃料価格が安く推移していました。WTI原油の取引価格が史上初の「マイナス価格」をつけたニュースはまだ記憶に新しいと思います。
ですが2021年に入り世界的に経済活動再開の動きが強まり需要が増加、一方でエネルギー産出国ではコロナの感染拡大などの要因で生産拡大が進まず、輸出規制などの影響もあり2021年後半から燃料価格が高騰を続けました。更に2022年2月にはロシアによるウクライナ侵攻が発生、地政学的リスクの高まりから燃料価格が一段と高くなっています。加えて円安の影響も指摘できます。
更に、特に東日本エリアでは電力需給の逼迫により電力取引価格が高騰している部分もあります。2022年3月には関東で節電要請が出されましたが、需給が逼迫するタイミングでは卸電力取引所の取引価格が高騰します。
今後も新電力の値上げが相次ぐ恐れがある
2022年度の冬にも電力需給の大幅な逼迫想定が既に出されている点、またエネルギー価格も大幅な下落が見込めないことから、現時点で値上げを実施していない会社についても、今後続々と値上げに踏み切るリスクがあります。
特に、これまで料金水準を低く設定していた新電力や、自社グループで火力発電所を保有していない新電力については値上げのリスクが高いと言えます。
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