2022年は電力自由化の「終焉」の年になる

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岐路に立たされている電力自由化


 日本では2000年代から段階を踏んで進められてきた電力自由化。ですが今、岐路に立たされています。電力自由化の現状と、今後を解説します。



電力自由化はなぜ2022年に終焉に向かうのか


 2022年は電力自由化にとって一つの岐路というか、ある意味終焉の年になります。そう言える理由は以下のとおり。


2021年1月の電力価格暴騰のダメージが大


卸電力取引所の取引価格

卸電力取引所の取引価格

 2020年末から2021年1月にかけて、約一ヶ月にわたり卸電力取引所での電力の取引価格が暴騰しました。通常1kWhあたり10円以下で取引されているものが、100円あるいは200円を超えて取引される異常事態となりました。


 電力自由化で参入した新電力の多くが、電力の調達を卸電力取引所に頼っておりこの取引価格高騰が多くの新電力に深刻なダメージを与えました。


既に相次ぐ主要プレイヤーの撤退縮小倒産


 2021年1月の取引価格高騰や、同年11月以降のも発生した取引価格の高止まりにより、少なくない新電力が倒産や撤退、事業の縮小に追い込まれています。2021年に起きた動きをまとめます。


時期(2021年) 内容
1月 楽天でんきが新規受付一時停止(後に再開)
3月 F-Powerが会社更生法申請
9月 アンフィニが民事再生法申請
11月 ハルエネが高圧供給から撤退表明
12月 サニックスでんきが新規受付一時停止

 主要な新電力の動向を抜粋しました。他にも中小の新電力の倒産や事業停止などが相次いでいる状況です。


 多くは卸電力取引所での取引価格高騰を中心とした、電力の調達コストの上昇が原因と指摘されています。


事業環境が改善する見込みも無い


 電力の調達コストが低下すれば、再び以前のように競争が活発化するでしょう。しかし、残念ながらその見込みもありません。


 新電力の事業環境を改善するには電力の供給量が増える必要がありますが、脱炭素化の流れから火力発電所の新設は進んでおらず、むしろ古くなった発電所の廃止が進んでいる状況です。


 また、原子力発電の再稼働も進んでおらず、供給面の制約が解消する見込みはありません。


自由化を巻き戻す政策転換も影響


 これまで電力自由化を進めてきたはずの経済産業省が、自由化の動きを転換しようとする動きを見せています。


 2021年10月に日本経済新聞が報じたところによると、経済産業省が変動制料金プランの「義務化」を検討しています。義務を課すというのは、自由化の理念に明らかに逆行するものであり、経済産業省が電力自由化の流れを転換させようとしていることが見て取れます。


電力自由化が今後向かう先は


 電力自由化はこのままどのような方向に向かうのか。海外の先行事例も交えながら解説します。


大手への集約が進む


 新電力の倒産や撤退は今後も進んでいきます。そして大手電力や資本力がある大手新電力に集約されていくことになります。これは日本に先んじて電力自由化が進められた欧州各国でも見られる現象であり、日本も同じ道を辿っていくことは避けられないでしょう。


 「集約」される先は、大手電力10社(北海道電力〜沖縄電力)に加え、東京ガスや大阪ガス、北海道ガスといった事業基盤が強固かつ自社で十分な発電所を保有している企業が想定されます。大手電力10社であっても、今後は買収などにより名前を消すところが現れるかもしれません。




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