電気代高騰はいつまで続くのか予想してみる

2022年上半期に高騰している電気代。いつになったら下がる?


 2021年後半から上昇を続け、足元で高止まりが続いている日本の電気代。この高騰はいつまで続くのか、専門家などの見解を交えて予想してみます。



高騰を続ける日本の「電気代」


 まずは2022年2月時点で高騰を続けている電気代の現状を解説します。


燃料費調整額の推移


 日本の電力会社は燃料費調整制度という仕組みを導入し、燃料の輸入価格の増減を毎月の電気代に反映させています。燃料費が安い時には燃料費調整単価はマイナス(電気代が割り引かれる)に、高くなるとプラスに動きます。東京電力エナジーパートナーの関東エリア、個人向け(低圧電力)の燃料費調整単価の推移を見てみましょう。


燃料費調整単価の推移 東京電力エナジーパートナー


 2021年上半期は非常に安い水準で推移していましたが、21年夏頃から毎月上昇が続き、22年3月分の単価は1.83円/kWhとなっています。


 コロナ前の2019年末は-2円程度だったので、コロナ前と比較しても高くなっていることが分かります。


 例えば月300kWhの電力を使用する一般家庭の場合、22年3月は19年11月と比べて1113円の電気代上昇となります。1月で電気代が1000円も高くなると、少なくない消費者が負担感を覚えるでしょう。また、燃料費調整単価が底値をつけた21年1月と比べると2109円の上昇となっています。安かったところから1年で急激に高くなったため、負担感はより大きなものとなっています。


電気代が高騰している原因は


 電気代が上昇(燃料費調整単価が上昇)している原因は、燃料の輸入価格の上昇です。その内訳を整理します。


原因 備考
円安の進行 21年1月 104円/ドル→22年1月 114円
天然ガス価格の上昇 21年1月 438.3ドル→22年1月 744.5ドル
石炭価格の上昇 21年1月 81.1ドル→22年1月 191.0ドル
原油価格の上昇 21年1月 50.1ドル→22年1月 82.3ドル

 価格が比較的安定していると言われている石炭価格でさえも、主要生産国であるインドネシアの輸出規制や他の産出国での供給障害により21年5月頃から急上昇しています。


 2022年に入ってからはロシアによるウクライナへの侵略行為による供給不安から、更に価格上昇が勢いを増しているという状況です。


燃料費調整単価と原油価格の推移


この高騰はいつまで続くのか


 では、電気代の高騰はいつまで続くのか。専門家の意見をもとに予想します。


すぐには収まらないと言える理由


 間違いなく言えることは、この高騰は「すぐには収まらない」ということです。


 22年2月現在、ロシアによるウクライナへの侵略行為により供給不安が高まり、原油や天然ガスの取引価格がより一層上昇しています。燃料費調整単価は燃料輸入価格の「3ヶ月平均」をもとに計算されるため、仮に3月から燃料輸入価格が下落したとしても高値圏を脱するのは4月、5月以降となり、少なくとも今後数ヶ月は高止まりが約束された状態と言えます。


LNGタンカー

LNGタンカー

今後の燃料価格の見通し


 では、燃料価格は今後どうなるのか。専門家の意見を紹介します。


 住友商事で長年エネルギー部門に在籍していた国際ビジネスコンサルタントの高井裕之氏は22年2月に出演したBSテレビの中で「年後半には需給逼迫が緩む」との見解を示しています(BS12 トゥエルビ :Youtube)


 要因としてOPEC+の減産の縮小、アメリカのシェールオイルの増産、イランの核合意による増産などを挙げています。既に米国ではシェールオイルのリグ(井戸)の稼働数が増加に転じているとしています。


 米国の金融機関のレポートなどではWTI原油が「1バレル100ドルを超える」との見方が大勢と言えますが、2月22日の時点で米国バイデン大統領が「ロシアがウクライナ侵攻を始めた」と既に言及した状況下でWTI先物価格は瞬間的に95ドルをつけるもその後は91ドル前後で推移しています。


 また、20年6月頃を起点としたチャート上の上昇トレンドが崩れつつあることを鑑みても原油相場のこれ以上の上昇余地は無く、また今後は高井氏が指摘したように供給サイドの問題解消により下落に転じるのではないか、と私は考えています。


石炭


夏頃に電気代が下落に転じる可能性


 とはいえ、ウクライナ情勢の緊張は2月末時点で現在進行系で続いており、ロシアがウクライナの首都キーウへ侵攻するとの懸念も払拭されていません。


 また、供給サイドを見ても例えばイランの核合意はイラン大統領がカタールに訪問(2月21日)するなど着実に前進しつつあり、欧州連合モラ事務局次長は協議が「10ヶ月に及ぶ交渉の末、終わりに近づいている(22日:日経)」と発言しているものの、すぐさま核合意が決まり原油の増産を開始できるとは考えづらいです。


 米国のシェールオイルの増産についても、掘削開始から生産開始まで数ヶ月以上は掛かると言われており、直ちに生産量が増えるわけではありません。米エネルギー情報局は米国内の原油生産量は23年に過去最高水準にまで増加するとの見通しを示しています。


 以上をふまえ、原油価格は22年夏ごろまでに下落トレンドに入り、それにつられる形で天然ガスや石炭も下落、そして電気代も下がっていくのではないかと予想します。少なくとも来冬には高値圏を脱している可能性が大きいと考えています。




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