2023年春までは新電力を契約することをおすすめしません | 大手電力より割高

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2023年春まで新電力を契約してはいけない


 2023年春まで、新電力を契約してはいけないと断言できる根拠を、数字と共に紹介します。今契約している人、そしてこれから契約を考えている人必見。



多数の新電力が大手電力より割高になっている


 新電力と契約してはいけない最大の理由は「電気代が高くなっている」点です。数字を示しながら解説します。


新電力が「割高」になっている現実


 まずは新電力が大手電力と比べて割高になってしまっている現実を紹介します。一般家庭の平均使用量(30A契約、月300kWh)でENEOSでんきの料金を各地域の大手電力の従量電灯プランと比較します。


エリア 料金(年間)
北海道電力エリア 14779円割高
東北電力エリア 23632円割高
東京電力エリア 11154円割高
中部電力エリア 9321円割高
北陸電力エリア 23654円割高
関西電力エリア 18499円割高
中国電力エリア 33012円割高
四国電力エリア 25749円割高
九州電力エリア 15141円割高

 2022年11月分の燃料費調整を上限無しで含めた料金シミュレーションです(実際にはENEOSでんきは12月分から上限を撤廃)


 ごくごく平均的な2人程度の世帯の平均使用量で試算した場合、地域にもよりますが月に1000〜2000円以上、大手電力の従量電灯プランよりも割高になっています。


 ENEOSでんきに限らず、auでんきソフトバンクでんきドコモでんき東京ガス大阪ガスミツウロコでんきオクトパスエナジーテラセルでんき東急でんきなど主要な新電力は軒並み同じ状況です。


新電力が割高になっている理由とは


 新電力が大手電力従量電灯よりも割高になっている最大の原因は燃料費調整の上限の有無の違いです。


 電気料金には毎月の燃料価格の増減を転嫁する燃料費調整額という料金項目があります。新電力も大手電力も、計算式は同じである場合が多いです。しかし大手電力の従量電灯では燃料価格に「上限」を設けているのに対し、大多数の新電力には上限がありません。


 2022年現在、世界的なエネルギー情勢のひっ迫や急速な円安の進行により、大手電力各社の燃料費調整は全10社が上限に達しています。上限がある料金プランでは、燃料費調整は上限に張り付いたまま推移していますが、上限が無いプランでは青天井で上昇を続けています。


 新電力の料金プランは地域や条件にもよりますが、電気代本体部分(基本料金+従量料金)が大手電力の従量電灯と比べて3〜10%程度割安に設定されています。ですが燃料価格の上昇はそれを遥かに上回るペースで進んでいるため、電気代トータルで見て新電力(燃料費調整に上限が無いもの)が割高になっています。


 2022年11・12月分の燃料費調整単価では、全国すべての地域の大多数の一般家庭において、燃料費調整に上限が無い料金プランは大手電力従量電灯よりも割高になっています。


結論:2023年春までは大手電力従量電灯が安全


 新電力を契約する人の多くは、新電力に対して「電気代の安さ」を求めているはずです。私は2014年から当サイトを運営し、累計4万件を超える契約切り替えをお手伝いしてきましたが、消費者の興味関心は電気代の安さに集中していると感じます。これまで、「環境」や「付帯サービス」など新電力の様々な切り口で新電力を紹介してきましたが、ユーザーの関心は「電気代の安さ」に圧倒的に集中しており、その他の要素はそれほど重視されていません。


 その「安さ」という最大のメリットが失われている今、新電力を契約するメリットは無いと断言せざるを得ません。この状況は少なくとも2023年春まで続きます。


 なお、2022年11月時点でも燃料費調整に上限を設定しており、大手電力従量電灯よりも割安な料金プランを提供している新電力もごく少数存在しています。詳しくは以下の記事で。


2023年春に起こること


 2023年春に「ある変化」があります。


一部の大手電力が大幅値上げを実施する


 2023年春に、一部の大手電力が従量電灯プランを値上げする方針を示しています。2022年11月11日時点での値上げ方針の表明状況は以下のとおり。


電力会社 従量電灯の値上げ方針
東北電力 2023年度に値上げ方針
東京電力 2023年度に値上げ方針
北陸電力 2023年4月の値上げ目指す
中国電力 値上げを「検討」
四国電力 値上げを「検討」
沖縄電力 値上げを「検討」

 上記の6社は値上げする方針を示しています。


 燃料費調整の上限を無くすのではなく、料金単価を値上げしたり燃料費調整の計算方法を変更する形で値上げが行われるとみられます。


 値上げの実施により、大手電力従量電灯が新電力よりも割安になっている状況が変わる可能性があります。


引き続き新電力が割高になる可能性もある


 一方、2023年春以降も当面の間、新電力が割高な状況が続く可能性も高いです。そもそも、大手電力でも以下の4社は値上げを表明していません。


電力会社 従量電灯の値上げ方針
北海道電力 現時点で据え置き
中部電力 現時点で据え置き
関西電力 現時点で据え置き
九州電力 現時点で据え置き

 これらの地域では、新電力が値下げを実施するか燃料価格が「上限」以下に下落しない限りは新電力が割高な状況が維持されます。


 また、大手電力が値上げを実施する地域においても大手電力の値上げ幅が小さい場合、新電力が引き続き割高になるリスクはあります。大手電力の従量電灯は経産省の審査が必要であるため、「政治の力」によって値上げ幅が抑制される可能性があります。


事業撤退が続出する


 既に法人向け(高圧電力)では事業から撤退する新電力が相次いでいます。大手電力の資本が入っている新電力も例外ではありません。


 家庭向けの電力は法人向けの電力よりも販売単価が高いため法人向けほど撤退は起きていませんが、今後撤退や倒産が相次ぐ可能性があります。燃料価格の高騰や電力需給のひっ迫を受けて電力取引価格が高騰しており、大多数の新電力が苦境に陥っています。ドコモでんきのような「大資本」ですら、電力調達の先行きが不透明であるとして新規申込受付けを停止している状況にあります。


 2023年春の大手電力各社の値上げ幅が小幅であった場合、事業の継続を断念する新電力が相次ぐ可能性があります。


 もっとも、契約している新電力が事業を終了する場合、期日までに手続きをすることで停電することなく電気を使い続けることが出来ます。大手電力の従量電灯はいつでも契約出来る(法律によって義務付けられている)ので、電気を使えなくなることはありません。




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