2023年6月の値上げに向けて動き始めた北海道電力
大手電力各社が続々と電気料金の値上げに動く中、北海道電力もワンテンポ遅れて値上げに向けて動き始めました。2023年6月に実際される北海道電力の値上げをいち早く解説します。
目次
2023年6月の値上げが報道された北海道電力
北海道電力は2023年6月に従量電灯の値上げを実施することが報道されています。
値上げ申請を表明
北海道の主要メディアは2022年12月21日に北海道電力が従量電灯の値上げ申請を行うことを報道しました。これまで北海道電力は従量電灯の値上げ申請を行わない方針を示していたため、大きなニュースとなりました。
従量電灯は規制料金プランとも言われ、料金の改定には経済産業大臣の認可が必要です。電力会社から申請が行われた後、数ヶ月かけて審査が行われ認可が降りた後に値上げが実施されます。
なお、自由化向けプランと呼ばれる北海道電力が自由に料金設定を行える(経産大臣の認可は必要無い)料金プランでは、2022年12月分から実質的に大幅な値上げが実施されています。燃料価格の変動を毎月の電気料金に反映する燃料費調整制度について、これまでは燃料価格に上限を設けていましたがそれを撤廃することで大幅な値上げとなります。2023年1月分の燃料費調整単価では、一般家庭で1827円の値上げとなります(月使用量300kWhの場合)
燃料価格の高騰に加え、電気を届けるための費用である託送料金も家庭向けで0.77円/kWh(月300kWhで231円)の上昇が見込まれており、託送料金の値上げによる影響も加算されることになります。
相次ぐ大手電力従量電灯の値上げ申請
大手電力各社は従量電灯の値上げに動いています。
大手電力10社のうち、北海道電力以外に6社が既に従量電灯の値上げを申請済みか、値上げする方針を表明しています。2022年12月22日時点で値上げを表明していないのは関西電力、中部電力、九州電力の3社のみという状況です。
大手電力の従量電灯では、燃料費調整に上限を設けていますが燃料価格が高騰している現在、燃料費調整が上限に張り付いた状態で推移しています。本来、燃料価格という原価を転嫁するための制度であるはずの燃料費調整制度ですが、コストが上昇した分を販売価格に転嫁できない状態が続いています。
北海道電力についても、2022年度の最終損益が710億円の赤字と、9年ぶりの赤字を見込んでおり経営に深刻な影響を受けています。
値上げ幅、影響は?
値上げ幅や影響を解説します。
値上げ幅は3割前後と予想
報道によれば、北海道電力の値上げ申請は現行料金から3割前後になるとされています。
既に値上げ申請を行った大手電力各社は28〜45%の幅で値上げを申請しており、北海道電力でも同等の値上げ幅となるでしょう。なお、値上げには経済産業大臣の認可が必要となるため値上げ幅は大手電力が申請したものよりも小さくなる可能性もあります。
なお、値上げの実施は2023年の5〜6月になると予想します。
道内の新電力も追随値上げに動く
電力自由化で電力小売事業に参入した新電力各社は、北海道電力の従量電灯に倣った料金体系を採用しています。そのため従量電灯が値上げした場合は追随して値上げを実施する新電力が相次ぐでしょう。
道内新電力最大手の北海道ガスについても、北海道電力ほどではないにせよ値上げを実施する可能性が大きいです。記事前半でも紹介したように、電気を届けるための費用である託送料金が0.77円/kWh値上げ(家庭向け)される見通しです。託送料金は北海道電力も新電力も、同額の託送料金を負担しているため託送料金の値上げは全ての電力会社に影響します。電気料金の中に含まれているためユーザーからは「見えづらい」ですが、これだけでも電気料金を数%押し上げる効果があります。
既に値上がりしている料金プランに注意!
北海道電力の従量電灯は2023年6月以降に値上げされますが、多くの新電力の料金プランは実は既に大きく値上がりしており、北電の従量電灯よりも高くなっています。
多くの新電力は燃料費調整に上限を設けていません。北電の従量電灯には上限があり、直近は上限を超過して推移しているため、電気料金本体部分で北電より安い料金プランが、燃料費調整まで含めると北電よりも割高になっています。燃料費調整に上限が無いプランは基本的にすべて、一般家庭では北電従量電灯より割高になっています。
北電についても、従量電灯以外のプランでは2022年12月分から上限が撤廃されています。燃料費調整の上限については以下の記事をご覧ください。
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