2024年10月に電力取引価格が高騰する懸念が浮上
2024年10月初旬ごろに電力取引価格が高騰する懸念が浮上しています。なぜ高騰する恐れがあるのか、背景を分かりやすく解説します。
目次
残暑が10月初旬まで続く予報
2024年10月に電力取引価格が高騰する懸念は、残暑が背景にあります。2024年9月7日に配信された予報を引用します。
この先、季節の進みは遅く、九州から東北を中心に、最高気温は30℃以上の真夏日どころか、35℃くらいまで上がる日がまだある予想です。朝晩は秋の気配を感じられる日もありますが、10月に入る頃になっても日中はまだ残暑が厳しいでしょう。
引用元:今シーズン最強の台風11号と厳暑の関係 残暑まだ続く 熱帯擾乱発生しやすい状況も(tenki.jp)
台風の影響で10月初旬まで残暑が厳しいとのことです。
残暑が招く電力取引価格高騰
残暑は電力取引価格の高騰を招きます。その理由を過去の事例と併せて解説します。
9月中旬から定期点検に入る発電所が増える
9月中旬ごろから発電所が定期点検により順次停止します。夏季の需要期が終わり、通常であれば電力需要が減少するためこの時期に発電所を止め、冬の需要期に万全の態勢を整えるためメンテナンスを行います。9月中旬以降の主な発電所の定期点検の予定を見てみましょう。
発電所 | 出力 | 停止時期 |
---|---|---|
東北電力新仙台火力発電所1-3号機 | 52.3万kW | 9月14日〜 |
川内原子力発電所2号機 | 89万kW | 9月14日〜 |
碧南火力発電所2号機 | 70万kW | 9月15日〜 |
竹原火力発電所3号機 | 70万kW | 9月17日〜 |
神戸発電所2号機 | 70万kW | 9月22日〜 |
五井火力発電所1号機 | 78万kW | 10月1日〜 |
規模が大きな発電所の停止予定を抜粋しました。他にもこれより規模の小さな発電所の定期点検のための停止予定がこの時期は多数あります。
なお、これらの点検による停止は10月いっぱいまで続くものが多く、10月は定期点検のための発電所の停止が多い時期と言えます。
2022年3月に起きた電力取引価格の暴騰
これと似た状況が、2022年3月に発生し電力取引価格の高騰が発生しました。
3月は10月と同じく、発電所の定期点検による停止が増える時期です。通常であれば電力需要もそれほど多くはなく、電力取引価格が安定して推移します。
しかし2022年3月は以下の2つの要因が重なったことで電力需給が逼迫、電力取引価格の高騰が発生しました。
- 地震による大規模発電所の突発的停止
- 季節外れの厳冬
まず、2022年3月16日に福島県沖を震源とする最大震度6弱の地震が発生しました。この地震の影響により、原町火力発電所1号機(福島県・100万kW)や新地火力発電所1号機(福島県・100万kW)など複数の発電所が損傷を受け、稼働できない状況となりました。
供給力が低下する中、3月下旬に季節外れの寒波が襲います。3月22日の東京(大手町)の最高気温は9.9度と、暖房無しには過ごせない気温でした。寒波は数日続きます。
地震による突発的な供給力低下と、寒波による季節外れの電力需要増加により、電力取引価格は異常な暴騰を見せます。
約1ヶ月前に起きたロシアによるウクライナ侵攻の影響で燃料価格が高騰し、電力取引価格の水準が切り上がっていた中で更に発電所の突発的な停止と季節外れの寒波が重なり、電力取引価格は日平均で76.73円をつける結果となりました。
結論:気温が30度を超えると電力取引価格に要警戒
残暑がどの程度のものとなるのか現時点では分かりませんが、気温が30度を超えエアコンの使用機会が増える程度にまで気温が上昇すると、電力取引価格高騰懸念が高まります。
この時期は太陽光発電による供給力の底上げが期待できるため、地震のような突発的な事態が発生しない限りは暴騰が長期間続くリスクは低いと言えますが、例えば35度を超えるような「猛暑」の場合は電力取引価格に一定の影響が生じることが避けられないでしょう。
30分ごとに電気料金が変動する完全市場連動型の料金メニューでは、電力取引価格高騰が即、電気代の上昇につながります。しかし電力取引価格の月平均などをもとに調整する電源調達調整費型の市場連動型プランの場合は、電力取引価格高騰の影響がタイムラグをもって電気代に及びます。暖房で多く電気を使う冬場の料金単価を押し上げるリスクもあるので注意が必要です。自身が利用している電気料金メニューが市場連動型でないか、今一度確認することをおすすめします。
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