2026年夏に東京電力エリアで電力不足に?!政府の見通しに波紋がひろがる

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2026年夏に東京電力エリアで電力不足が?


 資源エネルギー庁が速報値として、2026年夏に東京電力エリアで電力不足が発生する可能性を指摘しました。最新動向をまとめます。



資源エネルギー庁が速報値を公表


 資源エネルギー庁が2025年10月末に公表した見通しを元に解説します。


2026年夏に「予備率0.9%」


資源エネルギー庁資料

出典:資源エネルギー庁資料

 資源エネルギー庁が2025年10月31日に公表した資料によると、2026年夏のピーク時の電力の「予備率」が最低で0.9%となる見通しです。


 予備率とは電力需要に対する供給力の余裕を示す値です。電力の安定供給には最低限、3%が必要とされており0.9%という見通しは電力不足が深刻であることを示しています。


 予備率が3%以上必要とされている理由は、突発的な発電所の故障リスクがあります。発電所の火災、あるいは大きな地震などにより、発電所が発電を停止することがあります。例えば2022年3月16日に最大震度6強の地震が発生し、福島県内を中心にいくつもの発電所が稼働を停止しました。この地震の影響と、2日後に訪れた寒波の影響で3月18日に深刻な電力不足が発生。政府からも緊急で節電を呼びかけるなどの対応が取られました(TBSの「Nスタ」もスタジオの照明を暗くして放送)


 2026年8月の電力供給力の見通しは最大5826万kWに対し、供給力は5878万kWとされています。差は177万kWなので、例えば大規模な火力発電所に繋がる送電線が切断されるような事象が起こると電力が足りなくなる恐れがあります。電力需要ピーク時に突発的にそのようなトラブルが発生した場合、東京電力エリア全体が停電する恐れもあります。


電力不足の原因は?


 2026年8月に東京電力エリアで電力不足が発生する背景として、需要面と供給面の両面の理由を資源エネルギー庁が指摘しています。


2025年8月 2026年8月
供給力 6134万kW 5878万kW
需要 5701万kW 5826万kW

 供給力の減少と需要の増加が一緒に進むことで電力が不足するとしています。


 供給力が減少する理由として「発電所の休廃止の進展や定期検査・大規模修繕等が重なり」としています。需要が増加する理由としては他エリアからの電力融通を行わない想定で試算したため、としています(東電エリアは需要が格段に大きいため融通を受けるにも限界がある)


必ず電力不足が起こるわけではない


 2025年10月時点での「速報値」としては予備率が0.9%となり、かなり踏み込んだ節電要請が必要な水準となっていますが、必ずしも2026年8月に電力不足が発生すると現実的で決まったわけではありません。


 今回出された見通しを元に、今後電力の供給力の確保を進めていくことになります。順調に進展すれば踏み込んだ節電が必要無い水準にまで予備率が回復する可能性もゼロではありません。


 2026年4月下旬頃に26年夏の電力需給見通しが出されます。この時点で予備率を十分に確保出来なかった場合、2026年夏に踏み込んだ節電要請が出されることになります。


 昨今は残暑が長く続く傾向があります。8月を夏の電力需要ピークとして毎年準備が行われていますが、例えば10月初旬に30度を超えるような季節外れの暑さが訪れると電力不足の懸念が一気に高まります。需要ピーク季が終わると発電所が定期点検のため停止するため、供給力が落ち込むからです。夏のピーク時でさえ供給力が落ち込んでいるので、10月上旬頃までは気が抜けない夏となりそうです。


2026年夏の電力不足への対策


 2026年夏に電力不足が発生するとして、一般家庭で取れる対策をまとめます。


市場連動型プランの解約


出典:日本卸電力取引所取引価格

出典:日本卸電力取引所取引価格

 電力不足が発生することで、電力取引価格が高騰します。一般的な料金メニューでは電力取引価格高騰は電気料金に影響を与えませんが、市場連動型プランを利用していると電気料金にダイレクトに影響があります。


 例えば予備率が1%を下回った2022年3月22日は北海道・東北・東京電力エリアで電力取引価格が80円/kWhをつけました。東京電力エリアでは6:30から23:00まで80円での推移が続き、一日の平均で69.42円、翌日は更に上昇し76.73円をつけました。月間平均でも30.67円と、翌年同月の3倍近い取引価格を記録しています。単純計算すると、一般的な市場連動型プランの電気代は東京電力標準メニューの約2倍となる16774円にまで高騰しました(30A契約・300kWh)


数時間の停電に備えた対策も


 計画停電が実施される場合は、2〜3時間の長さで停電します。真夏に停電する場合はエアコンの使えない自宅に留まることは熱中症リスクを伴うため停電しない地域への避難が必要です。計画停電の実施が予告された場合は、停電しない地域で一時的に時間を過ごせそうな図書館やショッピングモールなどに目星をつけ、停電が始まるまでに避難できるように準備しましょう。


 冷蔵庫は2時間程度の停電でかつ扉を閉めっぱなしにしておけば温度が保たれるとされています。不安を感じるならポータブル電源を予め用意しておくと安心です。熱帯魚などペットを飼育している場合は温度管理に注意してください。


ポータブル電源


 なお、2011年に計画停電が実施された時は東京23区(荒川区の一部を除く)では計画停電の実施地域から除外されました。しかし今後実施する場合は東京23区も対象エリアに含むことを東京電力が明言しているので東京23区にお住まいの方も注意が必要です。


 なお、2018年9月に北海道のほぼ全域が停電した際は11時間にわたり停電が発生しています。




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