2026年頃に向けて日本の電気代が値下がりするかもしれない話

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2026年頃にかけて電気代が値下がりする?


 2022年に異常な暴騰を見せた日本の電気代。ですが2026年にかけて数年単位で電気代が値下がりしていく可能性があります。普段「値上がり」を煽ってばかりいる私が、値下がり要因を解説します。



電気代を左右するエネルギー価格


 なぜ日本の電気代が下落する可能性があると言えるのか。その主要因はエネルギー価格の動向にあります。


エネルギー


 日本の多くの家庭向け電気料金プランでは、燃料費調整制度といって日本が輸入している燃料(天然ガス・石炭・原油)の価格変動を、毎月の電気料金に転嫁しています。燃料価格が上がると電気代が高くなり、燃料価格が下落すると電気代もそれに応じて安くなる仕組みです。


 2022年に起きたロシアによるウクライナ侵攻を受けて、世界的にエネルギー価格が短期間で異常な暴騰を見せ、日本の電気料金も高止まりしました。ですが今後、燃料価格の下落により電気代が下がっていく可能性があります。その根拠を以下、詳しく解説します。


エネルギー価格が26年頃に掛けて下落する要因


 2026年頃にかけてエネルギー価格が下落していく可能性があります。その主な要因は以下の4つです。


原発の再稼働・再エネ導入拡大


再生可能エネルギー


 世界では原発の新増設と再生可能エネルギーの導入が急ピッチで拡大しています。これらの発電方法は天然ガスや石炭といった化石燃料を必要としないため、原発と再エネの導入拡大は化石燃料の需要を減らします。


 一方、世界経済は拡大を続けており、経済成長はエネルギー需要の増大とほぼイコールです。ですが脱炭素化やエネルギー安全保障を目的として脱化石燃料の流れは強まっており、一方で油田やガス田への投資は当初懸念されていたほどの落ち込みを見せていないため、今後数年は需給が緩む可能性が指摘されています。


 日本でも2022年の電気代高騰を受けて原発再稼働を進めていく風潮がやや強まっており、2023年現在は原発が稼働していない東日本エリアでも今後数年以内に原発が再稼働する可能性があります。


世界経済の減速


景気減速懸念


 新型コロナ禍の経済対策を受けて、アメリカはこの数年は経済が好調でした。好調が行き過ぎた結果、インフレが高止まりする事態を引き起こしています。


 ですが2023年末時点では好調だったアメリカ経済にも減速懸念が出ており、また世界第二位の経済大国である中国でも経済に減速感が出ている状況です。欧州経済も不調です。


 エネルギーへの需要は経済の好不調と相関性があると言われており、経済が減速することでエネルギー需要も減少(あるいは増加幅が縮小)し、エネルギー価格が下落する可能性があります。


為替の影響


 2021年から続く円安基調にも、2023年末に入ってようやく一服感が見られ始めています。為替レート(ドル円)は日米の金利差によって左右される部分が大きいと言われており、インフレを受けて大幅に引き上げられてきた米金利が円安の主な原因と指摘されています。


 ですが大幅に引き上げられてきた米金利には2023年末時点で天井感が出ており、金利差の拡大は終了したとの見方がひろがっています。少なくとも2022・23年のような強烈な円安トレンドは終了したと見てよいでしょう。


 今後、米国が利下げに動けば為替レートが円高方向に進んでいく可能性もありますが、米金利は高止まりが続くという見方も根強く、為替が日本のエネルギー価格を押し下げることに期待は持てないものの、少なくともこれまでのようにエネルギー価格を押し上げる方向には働かなくなることが期待されます。


脱ロシアのためのエネルギー開発


 2022年2月から続くロシアによるウクライナ侵攻を受けて、西側諸国は様々な面で「脱ロシア」を進めています。エネルギーの調達においても、脱ロシアの動きは大きな潮流となっています。


 欧州はこれまで、主にロシアから天然ガスをパイプラインを通じて輸入していました。それをロシア以外の国からの調達に切り替える努力を続けているわけですが、しかし大量のエネルギーの調達先を変更するには数年単位で時間が掛かるものです。


 例えばガス田の開発、気体の状態で採掘したガスを液化する巨大なプラント、液化したガスを運搬するLNGタンカー、LNGタンカーからガスを下ろすLNG基地など、巨大な設備をサプライチェーンとして用意する必要があります。


LNGタンカー


 身近な例で想像してください。巨大な橋や高速道路、大型マンションを建設するには数年あるいはそれ以上の時間を必要とします。例えば巨大なLNGタンカーの場合、契約から引き渡しまでに約3年掛かると言われています。


 ロシアによるウクライナ侵攻を受けて西側諸国が大慌てで発注した設備が2025年頃から順次、世界中で稼働を始めます。こうした設備が続々と稼働を開始することで、エネルギーの需給が緩む「リスク」が既に一部では懸念されています。




短期的には値上がり要因が多い


 数年単位では下落方向に傾くとみられる日本の電気料金ですが、2024年春には複数の値上がり要因が待ち構えており、短期的には値上がりする可能性が大きいです。2024年春に予定されている電気代の値上がり要因は以下のとおり。



 それぞれ以下の記事で詳しく解説しているので、詳しくこちらをご覧ください。容量拠出金は既に電気代に織り込んでいる電力会社も多いため値上げされない電力会社も多いと見られますが、電気代補助金と再エネ賦課金はほぼ全ての電力会社に影響します。




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