燃料費調整額とは?仕組みや計算方法などを分かりやすく解説

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燃料費調整額を分かりやすく解説します


 毎月届く電気の検針票に書かれた「燃料費調整額」という言葉。これは一体何なのか、分かりやすく解説します。



燃料費調整額とは?


 まずは制度の仕組みを解説します。


仕組みを分かりやすく説明すると


 発電に使う原油やLNG(液化天然ガス)、石炭は市場で取引されているため、値段が刻一刻と変動を続けています。株式や外国為替と同じようなものです。


 そうした燃料価格の激しい変動を電気料金に反映するために設けられたのが「燃料費調整制度」で、その制度によって請求されているのが燃料費調整額です。


燃料費調整額は燃料の輸入価格によって変わる


 財務省が公表している貿易統計にある原油・LNG・石炭の平均輸入価格から「燃料費調整単価」を計算して、その単価を毎月の電気の使用量に掛けて計算します。単価が毎月変わるため、同じ量の電気を使っても月によって燃料費調整額は違います。


燃料費調整額の計算方法


 燃料の値段が上がると燃料費調整額が高くなり、下がれば安くなります。
 その字面から電気代を高くしてしまう印象がありますが、燃料価格によっては燃料費調整額がマイナスになることもあり、その場合は電気代が割引されます。実際、2019年5月は北海道電力や東京電力などがマイナスの燃料費調整額となっています。


東京電力の燃料費調整単価
時期 燃料費調整単価
2019年6月 -1.03円/kWh
2019年5月 -0.78円/kWh
2019年4月 -0.48円/kWh
2019年3月 -0.27円/kWh
2019年2月 -0.36円/kWh
2019年1月 -0.66円/kWh
2018年12月 -0.96円/kWh
2018年11月 -1.14円/kWh
2018年10月 -1.39円/kWh
2018年9月 -1.71円/kWh
2018年8月 -1.96円/kWh

 ちなみに、都市ガスやプロパンガスにも「原料費調整額」という同じような仕組みがあり、毎月料金が変動しています。


燃料費調整制度の目的


 燃料費調整制度は1996年1月に導入され、電力自由化された今も多くの電力会社(新電力を含む)が採用しています。ちなみに、必ず取り入れなければならない仕組みではなく、電力会社の判断によっては燃料費調整制度を使わない場合もあります。


 制度を導入した目的として、資源エネルギー庁はこのように説明しています。


事業者の効率化努力のおよばない燃料価格や為替レートの影響を外部化することにより、事業者の経営効率化の成果を明確にし、経済情勢の変化を出来る限り迅速に料金に反映させると同時に、事業者の経営環境の安定を図ることを目的とし、平成8年1月に導入されました。

引用元:燃料費調整制度について(資源エネルギー庁)

 上でも説明したように、燃料価格の激しい変動を電力会社の「収入」である電気料金に反映し、電力会社の経営を安定化させることがこの仕組みの目的です。


 大手電力会社の電気料金は経産大臣に申請をし、認可を受ける必要があります(今も「規制料金」には認可が必要) 頻繁に料金単価を変えることが難く、また総括原価方式の原価に将来の燃料費を織り込むことが難しいため、燃料費調整制度を導入することで電力会社の経営を安定化させるという目的がありました。


くわしい計算方法


 燃料費調整額は「燃料費調整単価×電気の使用量(kWh)」によって計算されますが、燃料費調整単価についても実は自分で計算して求めることが出来ます。


 以下の2種類の情報が必要です。



 各種単価については、大手電力会社の場合は「○○電力 燃料費調整額」と検索すれば分かりますし、新電力の場合は電力供給約款の最後の方に書いてあることが多いです。自分で計算するまでもなく、公式サイトに燃料費調整単価を掲載している電力会社が多いですが。


 計算式が若干複雑なので、概算値を知りたい場合は以下のExcelをご利用ください。数値を入力するだけで燃料費調整単価が計算できるようにしてあります(厳密に作っているわけではないので、条件によっては実際と異なる数値になる場合もあります)


 → 燃料費調整単価計算用Excel




電力自由化でどうなった?


 2016年の電力自由化以降、燃料費調整制度はどうなったのか現状を解説して終わります。


新電力の燃料費調整額の実態


 これまで大手電力会社が使ってきた燃料費調整制度ですが、電力自由化で参入した新電力についても、そのほとんどが燃料費調整制度を採用しています。


 大手電力会社と同じ計算式を採用しているものがほとんどなので、その場合は燃料費調整額もおのずと大手電力会社と同額になります。実際、新電力のサイトを見ると「各地域の大手電力会社と同等の値になります」と記載しているところが多いです。


 ですがごく一部に、大手電力会社と異なる燃料費調整の計算方法を採用していたり、あるいは燃料費調整を行わない料金プランもあるので注意が必要です。私が2019年5月9日に調べた限りでは、以下のような結果となりました。


内訳 プラン数
大手電力と同額を採用 1064
大手電力と異なる数字 11
燃料費調整を行わない 8

 当サイトに掲載している一般家庭向け280社、1083プラン(2019年5月9日)の内の98%以上が各地域の大手電力会社と同じ燃料費調整額を採用しています。


 また、少数ですが燃料費調整を行わない料金プランも存在します。


料金プランを比較する際の注意点


 電気料金プランの比較する際、燃料費調整額の扱いにも注意が必要です。大半のプランは大手電力と同額ですが、異なる(もしくは燃料費調整が無い)プランを検討する場合は、燃料費調整額の差額も考慮してシミュレーションする必要があります。燃料費調整によっては料金が割高になるリスクがあります。
 なお、当サイトの電気料金比較シミュレーションでは燃料費調整額が大手電力と異なる場合、その「差額」で補整しています。


新電力の料金プランを比較する時は燃料費調整の差額にも注意


 また、一部に燃料費調整ではなく卸電力取引所での電力の取引価格に応じた「電源調達調整費」なる調整単価を導入している会社もあります(ハルエネでんきの法人向けプランなど) 


 原理原則を考えると燃料費調整額は電力会社によって異なる数値となるべきですが、比較しやすさという点では大手電力会社に倣う方が消費者には親切かもしれません。




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