電力自由化後に撤退・倒産した新電力の一覧

撤退・倒産した新電力もある


 電力自由化から2年、参入したものの撤退や倒産した新電力も出てきています。そうした事態に陥った新電力を一覧で紹介した上で、教訓や問題点を解説します。



倒産・撤退した新電力の一覧


 これまでに倒産・撤退した新電力と、そうした事態に陥った理由と一緒に紹介していきます。


日本ロジテック


 電力小売自由化が始まった直後の2016年4月に倒産しました。企業や自治体に向けて電力を販売し、売上高555億円、電気の販売量は新電力の中で当時は5位というシェアを誇っていました。


 自治体などに低価格で電気を販売する反面、電気の調達コストの上昇により資金繰りが悪化、倒産に至りました。


大東エナジー(大東建託系)


 大東建託が管理する賃貸住宅に「いい部屋でんき」のブランド名で電気を販売していた会社です。26万件の顧客を抱え、新電力としては5位のシェアがありました。


 2017年11月頃から「電気の供給をやめる」旨を顧客にアナウンスし、それからわずか1ヶ月足らずの間に他社に切り替えるよう顧客に「依頼」したため大混乱に陥りました。
 ちなみに、その期限から3ヶ月経った2018年3月時点でも、約1割の顧客がまだ大東エナジーを利用しているようです。


 撤退の理由は「事務処理への対応の問題」と「電気の調達コスト」の2点。
 煩雑に発生する事務処理にしっかりと対応できる体制を整えられなかったことや、処理コストで採算性が低下したことが撤退の理由になったようです。


福島電力


 シェアは30位、全国に8万件の顧客を抱えていた新電力です。全国の不動産会社と提携し、入居者に電気を契約させることで急拡大したものの、2018年4月に撤退を表明しました。


 提携する会社を増やし、契約数を急拡大していく中で電気料金の請求の遅れや誤請求、コールセンターに電話が繋がらないなどの数々の問題を起こした挙げ句に撤退しました。その後2018年夏に破産しました。


 大東エナジーと同様に、1ヶ月少々という短い期間の内に他社に切り替えるよう通知したため、大混乱を招きました。


エレトス電気


 同社の営業代理店が関西電力の名を騙った悪質な営業活動をした結果2019年5月に逮捕され、その直後にエレトス本体が「サービス終了」をアナウンスしました。


 終了のアナウンスからわずか約2週間後を契約変更手続きの期限として設定(5月末通知→6月14日期限)しており、不誠実な対応といえます。


オリックスは撤退していない


 「新電力から撤退」とメディアが報じたオリックスは、実は撤退していません。
 大型マンションなどへの「高圧一括受電事業」を関西電力に売却したのですが、それを日経新聞を始め多くのメディアが「新電力事業を売却」と誤って報じてしまいました。


 高圧一括受電は関電の下で継続、またオリックス本体で企業や自治体向けに行っている新電力事業は継続しています。




倒産・撤退した新電力の共通点


 撤退や倒産した新電力の共通点を見てみましょう。


自社発電所を持たない


自社発電所が無い新電力が多い


 日本ロジテック、大東エナジー、福島電力はいずれも自社で発電所を持たない会社でした。供給する電力は市場などからの調達に頼っています。


 取引量が増加したため、最近は電気の調達価格が以前よりも安定しているものの、季節やタイミングによっては調達コストが高騰することがあります。


 発電所を持たない新電力は、そうした電気の市場価格に採算を大きく左右されるため、経営が不安定になりやすいです。


顧客対応の体制が不十分だった


 大東エナジー、福島電力は撤退の理由として、顧客対応への問題を挙げています。いずれも顧客からのリクエストに十分応えられる体制を整えることが出来なかったり、効率的に事務処理を行う体制が不十分だったと言えます。


 また、新電力が新規の契約を処理するのに、1件あたり30分程度の作業時間が掛かるとされています。時給1600円の派遣社員を雇った場合、1件処理するのに800円の人件費が掛かる計算です。
 薄利多売の電力小売事業にとっては決して小さくないコストです。


新電力にとって顧客対応は重要


今後も撤退・倒産は続くのか?


 散発的に発生している新電力の倒産・撤退。今後もこのような事態は続くのでしょうか。現状を見てみましょう。


6割の新電力が黒字


 日本経済新聞が2018年5月に報じたところによれば、全国の新電力上位100社の内、2017年度に営業黒字を出したのは6割だったそうです。


日本経済新聞社が大手100社を調査したところ、2017年度に営業損益で黒字を確保した企業の割合は6割となった。

引用元:新電力、営業黒字6割 昨年度本社調査(日本経済新聞)

 逆を言えば、4割の新電力は赤字。


 普段多くの新電力の料金プランやサービス内容を見ていますが、「誰がこんなの契約するんだ?」と言いたくなるような新電力も多いです。小さな会社はもちろん、大手資本の会社でも思うように契約を伸ばせていないところは少なくないです。


 契約が伸び悩んでいる新電力を中心に、今後も撤退や倒産は続くでしょう。




契約している会社が倒産・撤退したら?


 では、自分が契約している新電力が撤退・倒産したら何が起こるのか。先例をもとに解説します。
 詳しくは以下の記事でも解説。


すぐに電気が止まることはない


 まず、新電力が倒産・撤退してもすぐに電気が止まることはありません。


 「最終保障供給約款」という仕組みがあり、仮に新電力からの送電が止まってしまった場合には、代わりに送配電網を管理している会社(各地域の大手電力会社)が電気を供給してくれるからです。


 ちなみに、大東エナジー・福島電力のケースでは他社への切り替えの「期限」が過ぎた時点でも、各社が自分で供給を続けているようです。


新電力が倒産・撤退してもすぐには停電しない


他社への切り替えが必要


 とはいえ、最終的には撤退する新電力からの送電も、最終保障供給約款による送電もいつかは止まります(止まる前に通知があることになっている)


 送電が停止する前に、大手電力会社なり新電力なりと契約し直す必要があります。


 手続きは簡単で、新しく契約する電力会社に住所や氏名などの個人情報に加え「供給地点特定番号」という22桁の番号を伝えるだけでOKです。


 これまで契約していた会社に対しては、新しく契約する会社から解約手続きが行くので、自分で何かする必要は無いです。




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