電気でお湯を沸かすのはエコじゃない

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電気ケトルは便利だけど・・


電気ケトルよりヤカンの方が高効率


 その利便性の高さから使う人が増えている電気ケトル。しかし、実はヤカンでお湯を沸かすよりも「効率」が悪く、環境負荷が大きいことを知っている人は少ないでしょう。





電気よりガスの方が効率が良い理由


 電気ケトルよりコンロ+ヤカンの方が効率が良いと言える理由を説明します。


火力発電所の「熱効率」という問題


 現在、日本の「電気」の多くは火力発電所で作られています。例えば東京電力の場合、89%が火力発電(LNG、石炭、石油など)です。


 この火力発電という発電方式は、発電所で燃料を燃やして大量の蒸気をつくり、その蒸気で「タービン」をまわして電気をつくっています。


火力発電所


 当然、燃やした燃料のすべてを電気に変換できるわけではありません。「熱効率」という言葉でその効率を示すことができますが、東京電力は49%となっています。


 49%ということはつまり、燃やした燃料の49%は電気にできるけど、残りの51%は廃熱として捨てられているということです。


 「電気でお湯を沸かす」という行為は、燃料を燃やして51%の熱を捨てて作られた電気を使って再び熱を生み出すという無駄の多い作業なのです。


送電ロスという問題


 それに加え、送電ロス(送配電ロス)というものがあります。


 発電所は臨海部などに建設されることが多いため、各家庭に届くまでに長い距離を通ります。その間に失われてしまう電気のことを、送電ロスと言います。


 送電ロスは東京電力の場合、4.1%です(2016年度時点)
 1951年には24.4%も!あったことと比べると大幅に減っていますが、まだまだ無駄になってしまう電気の存在は無視できません。


送電ロス


ガスコンロでお湯を沸かすのはどうなの?


 一方、ガスコンロでヤカンを使ってお湯を沸かす場合も、ロスが発生します。


 台所で火を使うと、部屋が暑くなることがありますよね。あれは本来ならヤカンの中の「水」にいくはずだった熱が、空気中に伝わってしまったことで起こる現象です。


 コンロの熱効率は、最新のコンロでも56%程度と言われており、つまりガスを燃やしても44%は無駄になってしまうというわけです。


 とはいえ発電所の熱効率、送電ロス、電気ケトルの熱効率(80〜90%程度)など諸々を考えると、コンロでお湯を沸かす方が効率的と言えるでしょう。




エコにお湯を沸かす方法


 ガスコンロを使う際に、更に効率よくお湯を沸かす方法を紹介します。


給湯器を活用しよう


 ガスコンロを遥かに凌ぐ熱効率を実現しているのが、家庭の「給湯器」です。


 例えば「エコジョーズ」と呼ばれる最新の高効率のガス給湯器の場合、熱効率はなんと95%! 圧倒的に高効率です。


 とはいえ、蛇口からすぐにお湯が出るわけではありません。お湯が出るまでに時間がかかり、その間も給湯器ではお湯を沸かし続けているわけです。


 そうした背景もふまえると、食器洗いなどでお湯を使ったあとに、「ついでに」ヤカンにお湯を注ぎ、コンロでお湯を沸かすというのが最も効率的ではないでしょうか。私はいつもそうしています。


鍋底から火が漏れないように注意


 鍋底から火が漏れることで熱効率が低下します。適切な火の強さを心がけてください。


火を強くし過ぎない


必ずしも電気ケトルは「悪者」ではないです


 環境負荷は大きいですが、電気ケトルは便利なものですし利便性以上の価値のあるものです。


高齢者には電気ケトルをおすすめ


 高齢者が火を使うのは危険だと思います。私の周りの高齢者も、「ボヤ騒ぎ」を起こしたことがある人が何人もおり、そのような人たちには電気ケトルの方が圧倒的におすすめです。




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