ChatGPTに安い電力会社を質問してみた結果
話題の対話型ChatAI「ChatGPT」に安い電力会社を質問してみた結果をまとめます。
目次
ChatGPTとは何?
ChatGPTは、OpenAIが開発した人工知能の一種で、大量の文章データから自然な文章を生成することができるシステムです。翻訳や文章生成、会話システム、質問応答などの自然言語処理タスクに使われており、オープンソースで公開されています。ChatGPTは、人工知能による自然言語処理技術の進歩を象徴する技術であり、今後ますますその応用範囲が広がっていくことが期待されています。
引用元:ChatGPT回答 2023年2月19日
上記の説明文は「ChatGPTとは? 150文字以内で、分かりやすく答えて」と質問してChatGPTから得られた回答です。
補足すると、ChatGPTはイーロン・マスクらが2015年に設立、現在はマイクロソフト社から出資を受けているOpenAI社が開発した対話型のAIです(この文章は私が書きました)
ChatGPTに安い電力会社を聞いてみた結果
では、このChatGPTは電気代が安い電力会社を正確に答えてくれるのでしょうか。検証しました。
漠然とした条件で安い電力会社を質問
まずは漠然と「電気代が安い電力会社を教えて 東京で一人暮らし」と質問した結果です。
東京で一人暮らしの方におすすめの、電気代が安い電力会社をいくつかご紹介します。
じぶん電力
ソフトバンクのSBエナジー
ラクラク電力
ぐでたま電気
ピタットプラン
これらの電力会社は、料金プランやキャンペーンなどによって異なりますので、自分に合ったプランを選ぶことが大切です。また、一人暮らしの場合、家電製品の使用頻度や時間帯によって電気代が大きく変わるため、節電にも心がけるとより効果的です。引用元:ChatGPT回答 2023年2月19日
じぶん電力は太陽光発電の無料設置サービスで、2023年3月をもって電力供給サービスの終了を発表しています。
SBエナジーは「ソフトバンクでんき」のことを指すと思いますが、燃料費調整に上限を設定しない料金プランを提供しているため2023年2月現在は東京電力従量電灯Bよりも電気代が高くなっています。
「ラクラク電力」は初めて聞くサービス名でしたが、e電力ソリューションズという会社が同名のサービスを提供しているようです。ただし、このサービスは家庭向けの電力供給サービスではなく、「新電力事業者向け需給管理システム」とのことです。
「ぐでたま電気」も初めて聞くサービス名でしたが、Google検索しても同名の電力関連のサービスを発見することは出来ませんでした。
「ピタットプラン」も初めて聞くサービス名でした。Google検索で調べてみてもどの会社のサービスか特定することが出来ませんでした。
この質問への回答は「不正確」と結論づけることができます。
使用条件を指定して安い電力会社を質問
続いて、使用条件を細かく指定して「30A契約、1月の電気使用量が320kWh、東京電力管内という条件で電気代が安い電力会社を5つ教えて」と質問した結果です。
東京電力管内で、1月の電気使用量が320kWhの場合に電気代が安いとされる電力会社を5つご紹介します。
エネチェンジ
ソフトバンクのSBエナジー
ラクラク電力
ぐでたま電気
じぶん電力
これらの電力会社は、電気使用量によって異なる場合がありますので、契約前に詳細な料金プランや条件を確認することをおすすめします。また、各社の口コミや評判も参考にして、自分に合った電力会社を選ぶようにしましょう。引用元:ChatGPT回答 2023年2月19日
まず「エネチェンジ」はENECHANGE株式会社が提供する電気料金比較サイトのことを指すものとみられます。同社は小売電気事業者としての登録は済ませていますが、家庭向けの電力販売は行っていません。
SBエナジー、ラクラク電力、ぐでたま電気、じぶん電力については一つ上の質問でも登場したので解説は割愛します。
この質問への回答は「不正確」と結論づけることができます。
電気代を計算してもらった結果
電気代の計算には使えるのか、検証した結果です。
プラン名と使用条件を提示した結果
実在する電力会社名と料金プラン名と、具体的な使用条件を指定して電気代を計算してもらおうと試みた結果です。「30A契約で使用量が320kWhの場合の東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bの電気代を教えて 2023年2月分で」と質問しました。
2023年2月分の東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bの電気代は、以下の通りになります。
基本料金:1,020円
従量料金:14,390円 (320kWh × 44.97円/kWh)
調整金額:0円
合計金額は、基本料金と従量料金を合算した15,410円となります。ただし、消費税やその他の料金が別途かかる場合があるため、確定した請求書を確認することをおすすめします。また、電力会社やプランによって異なるため、注意が必要です。引用元:ChatGPT回答 2023年2月19日
まず、東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bで30A契約の基本料金は858円なので基本料金からして誤っています。一段階上の40A契約の基本料金は1144円なので1020という数字がどこから出てきたのか不明です。私が持っている電気料金一括比較シミュレーションのデータと照らすと、基本料金1020円という数字は再エネ思考電力の「EV思考100プラン」東北エリア向け50A契約と、大阪ガスの「JO1でんき」「ミライトでんき」の東北エリア向け20A契約の基本料金と同値でした。
従量料金の単価についても44.97円/kWhではありません。44.97という数字は私が保有しているデータと合致するものはありませんでした。
この質問への回答は「不正確」と結論づけることができます。燃料費調整額と再エネ賦課金が加算されていない点も不正確と指摘できます。
料金表と使用条件を入力した結果
電力会社名やプラン名は指定せず、料金表と使用条件を入力して電気代を計算してもらいました。以下の文章を入力し、質問しました。上3行は東京電力エナジーパートナー公式サイトの料金表からコピーアンドペースト、燃料費調整と再エネ賦課金は私が書き足したものです。
質問内容 |
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基本料金 858円00銭 最初の120kWhまで(第1段階料金) 1kWh 19円88銭 120kWhをこえ300kWhまで(第2段階料金) 〃 26円48銭 上記超過(第3段階料金) 〃 30円57銭 燃料費調整単価 〃 5.13円 再エネ賦課金 〃 3.45円 この料金プランで320kWh使うと電気代はいくらになる? |
この料金プランで320kWhを使った場合の電気代は、以下の通りになります。
基本料金:858円00銭
第1段階料金:120kWh × 19円88銭/kWh = 2,385円60銭
第2段階料金:(300kWh - 120kWh) × 26円48銭/kWh = 5,337円60銭
第3段階料金:(320kWh - 300kWh) × 30円57銭/kWh = 611円40銭
燃料費調整単価:320kWh × 5.13円/kWh = 1,641円60銭
再エネ賦課金:320kWh × 3.45円/kWh = 1,104円00銭
合計金額は、基本料金と3つの段階料金、燃料費調整単価、再エネ賦課金を合算した11,938円20銭となります。
なお、消費税などのその他の料金が別途かかる場合があるため、確定した請求書を確認することをおすすめします。引用元:ChatGPT回答 2023年2月19日
基本料金、第1段階料金、第3段階料金、燃料費調整、再エネ賦課金の部分については正確な計算です。
一方、第2段階料金は4766.4円とすべきはずですが、回答結果は5337.6円と571.2円の乖離があります。単価で計算し直すと21.57kWh分の差です。1.1を掛けた数字ともずれているので、消費税でもなさそうです。
続いて、質問を変えて以下のように問いかけました。
質問内容 |
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基本料金 858円00銭 〜120kWh 19円88円/kWh 120〜300kWh 26円48円/kWh 300kWh〜 30円57円/kWh 燃料費調整単価 〃 5.13円/kWh 再エネ賦課金 〃 3.45円/kWh この料金プランで320kWh使うと電気代はいくらになる? |
以下の手順で計算できます。
まず、使用量が120kWh以下の場合は、1kWhあたり19.88円かかるので、320kWhのうちの最初の120kWhは 120kWh × 19.88円/kWh = 2,385.60円です。
次に、使用量が120kWhを超えかつ300kWh以下の場合は、1kWhあたり26.48円かかるので、次の180kWh(すでに計算した120kWhを除く)は 180kWh × 26.48円/kWh = 4,766.40円です。
最後に、使用量が300kWhを超える場合は、1kWhあたり30.57円かかるので、残りの20kWh(すでに計算した120kWhと300kWhを除く)は 20kWh × 30.57円/kWh = 611.40円です。
燃料費調整単価と再エネ賦課金も加算すると、電気代は以下のようになります。
2,385.60円 + 4,766.40円 + 611.40円 + (320kWh × 5.13円/kWh) + (320kWh × 3.45円/kWh) = 12,282.20円
したがって、この料金プランで320kWh使うと、電気代は12,282.20円になります。引用元:ChatGPT回答 2023年2月19日
2,385.60円 + 4,766.40円 + 611.40円 + (320kWh × 5.13円/kWh) + (320kWh × 3.45円/kWh) = 12,282.20円は10509円になるはずですが、なぜ12,282.20という計算結果を出したのでしょうか・・? 計算プロセスまでは正しかったのに、最後の合算で誤っています。
現状では「使えない」 が・・
現状のChatGPTは安い電力会社を探すことも、電気代を計算することも難しいという結論です。ですがAIは急速なスピードで進化しているため、今後電気料金を正確に計算できたり、安い電力会社を見つけ出すことが出来るAIが登場するのも時間の問題だと思います。
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