アパート・マンション全体で電力会社を変更すると言われた時の対処方法

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建物全体で電力会社を変更すると言われた時の対処方法


 「建物全体で電力会社を変更する」と嘘をついて電力会社を変更させる詐欺が急増しています。このような文章や訪問を受けた場合の対処方法や、もし同意して切り替えをしてしまった場合の対処方法を解説します。



建物全体で電力会社を切り替える詐欺が急増中


消費者庁も注意喚起


 「マンションやアパートの建物全体で電力会社が切り替わる」との説明を行い、電力会社を切り替えさせる手口が相次いでおり消費者庁も2024年9月30日に注意喚起を行っています。


・建物全体の契約が切り替わる、といった誤認を与える営業 「アパート全体で契約が切り替わる。」といった説明で、建物全体で契約を切り替え る必要があるような誤認を与えるなどの勧誘のことです。本当に建物全体で契約を 切り替える必要があるのか、建物の管理会社や大家さんに事前にしっかりと確認し ましょう。

引用元:電気・ガスの契約トラブルなどに気をつけましょう (令和6年9月版)(消費者庁)

 消費者庁による注意喚起は、消費者庁や国民生活センターに同様の相談が多数寄せられたときに発せられることが多く、このような相談が相次いでいるものと推察できます。


対処方法は→管理会社・大家に確認


 不明な場合は、管理会社や大家さんに確認するのが確実です。連絡をすればすぐに教えてくれるはずですし、建物内に注意喚起のチラシなどを設置してくれる場合もあります。


 本当に電力会社を「建物全体で」変更する方針が管理会社や大家から示されたものである場合、原則として書面で管理会社名や大家さん名で説明が行われるはずです。管理会社名や大家さん名の無い書面や、訪問による依頼でこのような話に触れた場合は詐欺である可能性が高いです。


契約に含まれない場合は応じる必要無し


 「建物全体で電力会社を変更する」という話が管理会社や大家から出されることが無いわけではありません。


 例えば数百戸規模の大型マンションの場合、高圧一括受電といって建物全戸で同じ電力会社と契約する契約形態があります。最近は新築時点から導入することが過半を占めますが、既築の建物に後から導入する事例も少ないながらあります。


 また、管理会社や大家が電力会社からのキックバック目当てに、入居者に電力会社を切り替えさせる事例もあります。


 いずれのケースでも、契約書(賃貸の場合は賃貸借契約書等)に記載が無い場合は、応じるは義務はありません。契約書に無い条件を後から追加するには、双方の同意が必要です。応じなかったからといって電気が使えなくなったり、アパートから出て行くことになる可能性は極めて低いです。高圧一括受電の導入も、全戸が同意しないと進みません。


 契約期間の定めがある定期借家による契約の場合は、契約更新に応じてもらえなくなる可能性が高まる点には注意が必要ですが、普通借家であれば応じなくても原則ずっと住み続けることができます。


「電気代が安くなる」と嘘の説明がされることも


 「電気代が安くなる」といった説明がなされる場合もありますが、その説明が事実でない可能性もあります。メリット・デメリットをよく検討してください。


高圧一括受電の導入提案

導入から約10年後に割高になった高圧一括受電の提案書

 例えば基本料金と電力量料金は大手電力より安く設定されていても、毎月変動する「燃料費調整額」や「電源調達調整額」を含めて計算するとむしろ高くなるケースが少なくありません。特に独自の電源調達調整額などを導入している場合は、大手電力会社と異なる値動きをする場合もあるので、単月の単価で「高い/安い」を判断するのは危険です。何を言っているのか分からない、という方には東京電力や関西電力といった大手電力会社の標準メニューが安全です。


 電気料金は複雑(あえて複雑化させている電力会社もある)なので、勧誘している本人でさえちゃんと理解できていない可能性もあります。




切り替えに同意してしまった場合の対処方法


 この記事を読む前に切り替えに同意してしまった場合の対処方法を解説します。


 まずは管理会社や大家に確認し、「建物全体で電力会社を変更する」旨のアナウンスが管理会社・大家から発せられたものでないことを確認してください。


 次に、切り替えた先の電力会社(契約書面に記載された「登録小売電気事業者」「小売電気事業者」)に、その旨を伝えてください。意思に反した契約を行った旨を伝えてください。


 このような嘘の勧誘は小売電気事業者から委託された販売代理店が行っていることが多く、まともな小売電気事業者であれば苦情を受けた時点で契約申込みの取り消しなどに応じてくれるはずです。


 万が一、小売電気事業者に苦情を言っても適切な対応が行われなかった場合は、以下の行政機関に相談・通報を行ってください。



 消費者ホットラインに相談すると、消費生活センターが直接、業者とやり取りをしてくれて速やかに解決に向かうことが多いので、ぜひ活用してください。


 解決した後でかまわないので、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口に事の概要を報告してください。ここに相談しても問題が解決に向かう可能性は低いですが、電力会社の不正を監視する監督官庁なので通報が多ければ業者の処分につながります。




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