「節約」のはずが逆に割高に?
「電気代が安くなる」 そう思って電力会社を乗り換えたのに、かえって以前より高くなってしまった。そんな「悲鳴」がネット上ではチラホラと聞かれます。
そんな人たちのために、「以前より高くなった」と感じた時の対処方法をご紹介します。
目次
まずは本当に「高くなった」のか再確認を
「高くなった」と思っていたのに、実はちゃんと安くなっていたということも多々あります。以下で紹介するポイントを再確認してみてください。
意外と複雑な電気料金
電気料金と言われてイメージするのは基本料金や従量料金(電力量料金)だと思いますが、毎月支払う電気料金の構成要素はそれだけではありません。
電気料金を比較する上で厄介なのが、毎月変動する「燃料費調整額」という要素です。これは原油・石炭・LNG(液化天然ガス)の輸入価格の変動を調整するために、毎月の料金に加算されているものです。毎月異なる単価が適用されています。
特にこの1年ほどは燃料価格が上昇傾向にあるため、燃料費調整額も高くなりつつあります。「高くなった」原因は燃料費調整額かもしれません。
月によっても割高/割安は変わる
ほとんどの新電力は、電気の使用量が多い家庭のお得率・額が大きくなるような料金体系をとっています。使用量が少ないと割高になることも少なくありません。
また、同じ家庭でも年間を通じて見ると電気の使用量は大きく変動します。総務省の「家計調査」という統計(2012〜14年)を元に私が計算したところ、使用量が最も少ない7月と、使用量が最も多い2月(いずれも請求月ベース)では、使用量に1.7倍もの差があります。
この二つの要素が組み合わさることで起きるのが、「月によって以前より割高/月によって割安」という現象です。
私も実際に体験したことがありますが、東電からENEOSでんきに乗り換えたことで6・7月は東電より月48〜70円割高に、8月は逆に70円割安になったということがあります(ENEOSでんき:現在は使用量が少なくてもお得になる料金体系に変更)
電力会社はそう頻繁に変えるものではありませんから、単月で見比べるのではなく少なくとも半年程度の長いスパンで見極めるのが正解です。
乗り換えで「高くなる」こともある
勘違いも少なくない一方、本当に高くなってしまっているケースもあります。
割高になりやすい2条件とは
電力会社を乗り換えることで、かえって割高になりやすい「2つの条件」があります。
- 一人暮らしなど、電気の使用量が少ない世帯
- オール電化プランを使っていた世帯
電気の使用量が少ない世帯が割高になりやすいのは、上でも説明したとおりです。使用量が多い世帯ほどお得率・額が大きくなる料金体系の新電力が多く、反面使用量が少ないと割高になるケースも少なくありません。
オール電化プランについては、過去のオール電化プランが「爆安」だったことが大きな理由です。
詳細記事
電力会社の乗り換えで電気料金が高くなる?!乗り換えることで、値上がりする2つの「条件」を詳しく解説 |
勧誘や宣伝を鵜呑みにしていませんか?
これは非常に残念なケースですが、新電力の宣伝や勧誘に騙されて契約してしまっている例もあるでしょう。
特に電力自由化スタート時によく見られた例ですが、公式サイトやチラシなどで「一般家庭」とは言えないような大きな使用量で「試算した結果」をデカデカと宣伝している新電力が多くありました。
一般的な使用量の家庭がその会社と契約しても、宣伝どおりの節約にはならないというわけです。
また、訪問販売や電話や店舗での勧誘で電力会社を乗り換えた人もいると思いますが、勧誘の際に「都合のいい話」を吹き込まれて騙されている消費者もいるはずです。
高くなってしまった時の対処方法
では、乗り換え前よりも高くなってしたった時はどうすればいいのか。対策を紹介します。
以前の会社・プランに戻す
一番手っ取り早いのは、以前の会社・プランに戻すことです。
一般的な大手電力会社の「従量電灯」プランであれば、問題なく再契約できます。ただし、現在使っている会社を解約するのに違約金が掛かる場合もあるので、手続きをする前に確認してください。
ただし、以前のプランに戻せない場合もあります。
電力自由化前のオール電化プランなど、「選択約款」と呼ばれるプランは受付停止しているものも多く、また以前契約していたからといって再契約は受け付けてくれないので、戻すことは出来ません。
他の新電力に切り替える
ちゃんと探せば「安くなる」会社は9割方見つかります(参入企業が無い離島や沖縄県などは除く)
改めてちゃんとシミュレーションなどをして探すことで、電気代の削減が可能です。使用量が少ないせいで割高になったのであれば、使用量に関係なく一律5%オフという会社もあります(HTBエナジー)
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