大東エナジーがまさかの事業縮小
大東建託の管理物件に入居する人たちに電気を供給していた「大東エナジー(いい部屋でんき)」が事業の縮小を決定し、契約者に向けて他社への切り替えを要求しています。
この件について、利用者の方が取るべき対応などをまとめます。
目次
いい部屋でんきが他社への切り替えを要望
まずはこの「事件」について解説します。
何が起きているのか
大東建託系の新電力「大東エナジー(いい部屋でんき)」はかねてから大東建託管理物件に入居する人たちに向けて電気を供給してきました。
ところが、2017年11月8日頃から一斉に、「いい部屋でんき」利用者に向けて「もう電気供給するのやめるから、12月8日までに他社に切り替えてね」という手紙を発送し始めました。
実は2017年8月末時点で新規の申込みを停止していたのですが、既存の顧客についても見切りをつけて「事業縮小(同社プレスリリースより)」を決めたもようです。
何故こうなったのか
事業縮小の理由として、大東エナジーでは以下のような説明を行っています。
2016年の電力自由化に伴い、入居者様へ廉価な電気をお届けしたく「いい部屋でんき」をご案内して参りましたが、電力市場価格の高騰及びシステムの改修困難により、誠に勝手ではございますが、お客様に「いい部屋でんき」から他の電力会社へ切り替えをお願いする次第となりました。
引用元:「いい部屋でんき」から他の電力会社へ切り替えのお願い(大東エナジー:PDF)
大東エナジーをはじめ、多くの新電力は自社で発電所を持っていません。供給する電気は市場(日本卸電力取引所)から調達するなどしてまかなっています。
電気は季節によってはもちろん、一日の中でも大きく需要が変動します。それに伴って市場価格も刻一刻と大きく変動を続けているのですが、これが市場調達に頼る新電力の経営を大きく圧迫している側面があります。
こうした事業環境に加え、大東エナジー特有の要因も考えられます。
大東エナジーが供給する大東建託管理物件は、広くても1LDK程度の比較的狭い部屋が多いです。「いい部屋ネット」で都内10区の物件を検索すると、全26240件中21571件(82%)が1LDK以下の間取りです。
狭い部屋は居住人数が少ないため、電気の使用量が少なくなりがちです。
電力会社にとっては、電気の使用量が多いお客さんの方が利益率が高くなります。大東エナジーの失敗の原因は、利益率が高い顧客を増やすことが出来なかったことが大きな要因としてありそうです。
利用者は何をすればいいの?
前置きが長くなりましたが、「他社に切り替えて」と言われてしまった人は何をすればいいのか。対処方法を紹介します。
電力会社を切り替えよう
大東エナジーの指示どおり、期限(12月8日)までに電力会社を切り替える必要があります。
期限を過ぎても、直ちに電気が止まってしまうということはありません。電力自由化の制度上、「最終保障供給約款」という仕組みがあり、万が一新電力からの供給が止まっても地域の大手電力会社が代わって一時的に電気を供給することになっているからです。
とはいえ、早く切り替えるに越したことたありません。
新しい会社に申込むだけでOK
電力自由化の仕組み上、新しく契約する会社を見つけて申込むだけで、今使っている会社(大東エナジー)への解約は不要です。新しく契約する会社の方から大東エナジーに解約通知が行くようになっています。
切り替えにおすすめの会社は?
では、どこに切り替えたらいいのか。おすすめを紹介します。
地元の大手電力会社
地元の大手電力会社(東電や関電など)に移行するのが一番簡単です。
大東エナジーからの切り替えだと、「従量電灯プラン」と呼ばれるベーシックなプランへの切り替えがおすすめです。
デメリットとしては、いい部屋でんきは大手電力の従量電灯プランと比べて5%程度安い料金設定になっているので、以前よりも電気代は高くなります。
HTBエナジー
高くなるのは嫌だなあ、という人にはHTBエナジーがおすすめです。
この会社は使用量に関係なく、大手電力の従量電灯プランとくらべて「一律5%オフ」を掲げており、いい部屋でんきとほぼ同額で使えます(後から出てきた「いい部屋でんき」がHTBエナジーのプランをコピペした)
当サイトでも人気の電力会社なので、安心して契約できる会社です。ちなみに、大手旅行代理店の「エイチ・アイ・エス」の子会社で、自社で発電所も保有しています。
Looopでんき
2人以上の世帯では、Looopでんきが更にお得になる可能性があります。
Looopでんきは「基本料金0円」というプランで、特に基本料金が高くて使用量が多い世帯でお得に使える新電力です。当サイトでもHTBエナジーと並んで申込件数が多いです。
大東エナジー推奨の会社はどうなの?
一部の地域にお住まいの方には、大東エナジーからの封書の中に何社かの電力会社のチラシや案内が入っていたと思います。
これらの電力会社ですが、大東エナジーの利用者(電気の使用量があまり多くない)が切り替えると今より料金が上がってしまうところばかりなので、注意してください。
会社名 | プランの概要 |
---|---|
九電みらいエナジー (東電管内) |
使用量少ないと大東より割高 |
中部電力(東電管内) | 使用量少ないと大東より割高 |
北陸電力(東電管内) | 使用量少ないと大東より割高 |
関西電力(東電管内) | 使用量少ないと大東より割高 |
中国電力(東電管内) | 使用量少ないと大東より割高 |
中部電力(中部電力管内) ポイントプラン |
全ての使用量で大東より割高 |
いずれも大手電力会社の一般的なプランに戻すよりはお得であるものの、大東エナジーよりは割高になることが多いプランです。
混乱の中、まさかのガス自由化へ参入
入居者を大混乱に陥れている大東建託グループですが、12月18日にガス自由化への参入を果たしました(当初は東京ガスのエリア内のみ)
われわれの理解を越えた事業展開には、さすが急成長を遂げる企業グループだなあと感心せざるを得ません(皮肉)
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