大手電力10社の電源構成の違いと、特徴
北海道から沖縄まで、大手電力10社の電源構成は会社によって大きく異なります。それぞれの特徴を最新のデータと共に紹介します。
大手電力10社の電源構成の一覧
大手電力10社の小売部門の電源構成の一覧です。電力会社によって公表しているデータの区分の仕方に差があるため、私の方でデータを一部整理しています。
電力会社によって大きな違いがあることが分かります。電源構成の違いは電気料金にも反映されており、電気料金の水準のみならず毎月の「燃料費調整額」の変動にも違いを生みます。例えばある電力会社では燃料価格が上昇したことで電気代が値上がりしても、別の電力会社では逆に値下がりするということも珍しくありません。
以下、各社の電源構成の特徴を解説します。
各社の電源構成の特徴
北海道電力
北海道電力は石炭火力発電の割合がやや高いことが特徴です。北海道では石炭が算出するため、「道内炭」を燃料とする石炭火力発電も存在しています。ですが脱炭素化の流れを受け、道内炭を燃料とする砂川・奈井江火力発電所は廃止が決定しており、今後は石炭火力発電の割合が減少していくことが予想されます。
発電所が全体的に古く、今後の設備更新や泊原子力発電所の再稼働が課題となっています。
東北電力
東北電力は平均的な電源構成となっています。2024年度中には女川原子力発電所2号機の再稼働が予定されており、2011年の原発事故以来東日本エリアでは停止していた原子力発電所が初めて再稼働します。
2010年頃までは石炭火力発電の割合がやや高い電力会社でしたが、2010年代以降に天然ガスを燃料とする火力発電所を続々稼働させています。
東京電力
天然ガスへの依存度が大きいのが特徴です。1969年に世界で初めてLNG(液化天然ガス)を発電用燃料として輸入し、LNGの扱いに豊富な知見を持っています。なお、現在は火力発電部門を中部電力との共同出資会社であるJERAに移管しています。
世界最大の原子力発電所である柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)を抱えていますが、2011年に起こした原子力発電事故により稼働を停止しています。
中部電力
東京電力に次いで、天然ガスによる発電の割合が高いのが特徴です。火力発電部門は東京電力と統合しています。
2011年に当時の菅直人首相から浜岡原発の運転停止を「要請」され、それを受け入れ稼働を停止しました。現在は再稼働に向けた審査を受けています。
北陸電力
水力発電と石炭火力の割合が高いのが特徴です。水力については、小規模なものを合わせると実に25%にのぼります(大規模な水力のみでは12%) 富山県の黒部ダムを中心に水力発電を展開しています。
石炭火力に偏った電源構成となっており、電気代が石炭価格に連動する傾向があります。
関西電力
原子力発電を積極的に展開しています。2022年時点での原発依存度は20%ですが、原発事故が起こる前の2010年度には51%を占めていました。2011年以降、稼働から時間が経ったいくつかの原発を廃止しています。
中国電力
石炭への依存度が高い電力会社です。島根原子力発電所の再稼働を目指していますが、2011年以前から原発依存度は低いです。
四国電力
天然ガスの割合が低いことを除けば、大きな偏りの無い電源構成です。2011年以前は原発依存度が4割を超えていましたが、1・2号機を廃止し現在は3号機のみが稼働しています。
九州電力
原発と太陽光の割合が高いことが特徴です。2011年の原発事故以降で早期に原発再稼働にこぎ着けました。また九州では太陽光発電の導入がさかんで、季節によっては太陽光発電だけで需要の大部分をまかなえるほどの発電量となっており、そうした潤沢な太陽光発電の電気を調達しています(FIT電気の大部分は太陽光発電に由来する)
沖縄電力
石炭火力への依存度が高いです。
全国10エリアの中で唯一、他のエリアと送電網が接続しておらず自エリア内で完結する必要があるという特殊性があります。地理的な要因から原子力と水力発電の導入が難しいという要因も存在します。
かつては火力発電の100%を石油に依存していましたが、70年代の石油危機を契機として石炭火力発電の導入を拡大。また2010年代からは天然ガス火力の導入を拡大し電源構成の転換を進めています。2028年度には石炭火力の割合を46%まで低下、LNG火力を31%まで拡大する方針です。
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