電源調達調整費がある料金プランはハイリスク | 電気代が高い原因に

電源調達調整費とは何か


 「電源調達調整費」とは何か。その仕組や、消費者にとってのリスクを分かりやすく解説します。



電源調達調整費とは何か


 電源調達調整費の概要と仕組みを解説します。


卸電力取引所の取引価格を転嫁する仕組み


 電源調達調整費は、卸電力取引所での電力の取引価格を、契約者が支払う電気代に転嫁する仕組みです。


 多くの新電力は発電所を保有している会社と契約したり、卸電力取引所から電気を購入し、電気の供給を行っています。ですが卸電力取引所から購入する電力は価格の変動が大きく、時に大幅に高騰するため新電力にとって経営の重大なリスクとなっていました。


 電源調達調整費が無い「一般的な」料金プランでは、卸電力取引所の取引価格を電気代に転嫁することが一切出来ません。電源調達調整費を導入することで、電力取引価格の高騰を電気代に転嫁することが可能です。具体的な計算式の一例を紹介します(会社によって計算方法は異なる)


具体的な計算方法は?


 電源調達調整費の具体的な計算式の一例を紹介します(会社によって計算方法は大きく異なります)


電源調達調整費=電源調達調整費単価×使用量(kWh)


 会社によって異なりますが、燃料費調整単価と組み合わせて請求している事例もあります。電源調達調整費の計算式の一例は以下のとおり。


(調達単価-追加請求基準値)× 使用電力量(kWh)× 50%


 調達単価・・卸電力取引所の取引価格(1ヶ月間の単純平均値など)
 追加請求基準値・・電源調達調整費が発生する基準ライン


 例えば調達単価が25円/kWh、追加請求基準値が15円/kWhの場合は(25-15)×使用量×50%となります。月300kWhの電力を使用する場合、このケースでは電源調達調整費が1500円請求されることになります。


燃料費調整額との違いは


 ほとんどの大手電力・新電力では「燃料費調整制度」を採用しています。電源調達調整費を採用している新電力も、燃料費調整制度をあわせて採用しているところがあります。両者の違いを比較します。


燃料費調整 電源調達調整費
参照する値 財務省貿易統計の
原油・LNG・石炭輸入価格
と為替レート
卸電力取引所の
電力取引価格など
変動幅 調達調整費より
小さい
かなり大きい
※会社によって異なる
採用している
電力会社
ほとんどの会社
大手電力・新電力
ごく少数の会社

 燃料費調整は燃料費調整単価に使用量を掛けて計算します。燃料費調整は燃料の輸入コストの変動を電気代に反映する仕組みです。参照するデータは財務省貿易統計なので、日本全体で輸入している原油・LNG・石炭の輸入価格が反映されます。大手電力はもちろん、ほとんどの新電力が採用しており、新電力の燃料費調整は各地域の大手電力と同じ値であることが多いです。


 傾向として、燃料の輸入価格が高まると卸電力取引所の取引価格も高くなる傾向がある(燃料が安くなると電力取引価格も下がる)ことに加え、電力取引価格は電力需給によっても値動きするため、燃料費調整より電源調達調整費の方が価格の幅(ボラティリティ)が大きいと言えます。


 なお、会社によっては必ずしも卸電力取引所の取引価格を100%参照しない場合もあります。相対調達電源の調達価格と組み合わせて計算する場合などは、価格変動幅はより小さくなります。


電源調達調整費が「危ない」理由


 電源調達調整費がある料金プランを契約することはおすすめしません。そう言える理由を分かりやすく解説します。


電気代が高額になる恐れがある


 昨今、電力取引価格の高騰が相次いでいます。直近の冬シーズンの卸電力取引所の東京エリアプライスの1ヶ月単純平均値を紹介します。


11月 12月 1月 2月
19年度 9.03円 8.71円 8.17円 7.48円
20年度 5.35円 14.35円 66.53円 6.70円
21年度 17.59円 18.04円 23.95円 31.51円

 例えば2021年1月の取引価格66.53円、追加請求基準値を15円、使用量を300kWhとした場合、電源調達調整費は1ヶ月で7728円となります。東京電力の電気代は8010円(30A契約の場合)なので、電気代本体価格とほぼ同額の電源調達調整費が発生することになります。


 22年2月の取引価格31.51円で計算しても2475円と、負担感は決して小さくありません。多くのユーザーは新電力と契約することで電気代を削減できるメリットを期待しているわけですが、価格高騰がひと度起きればむしろデメリットに転換するのが電源調達調整費のリスクでありデメリットです。


電力取引価格高騰は今後も頻発する


 電力取引価格の高騰は2020年12月・2021年1月、続いて2021年11月〜2022年3月にも発生しています。


 原因の一つとして国際的なエネルギー価格高騰という要因に加え、慢性的な国内の電力不足という問題もあります。原子力発電所の再稼働が進めば緩和することが期待できますが、夏・冬の電力不足は今後も当面続いていくでしょう。


 2020年度、21年度と冬シーズンに電力需給ひっ迫・電力取引価格高騰が発生していますが、22年度冬についても特に東日本エリアでの需給ひっ迫の想定が出ている状況です。


結論:メリットよりデメリットが大きい


 電源調達調整費は、電力取引価格が下がればマイナス、つまり電気代が割り引かれる方向に作用する場合があります。ですが電源調達調整費を新たに導入する新電力自身が「電力取引価格の高騰」を導入の理由として説明している以上、メリットよりデメリットの方が大きいことは直感的に分かることです。


 また、電力の取引価格は0.01〜80円の値幅で、平均的な水準が9円程度です。平均的な水準からのダウンサイド(下落余地)は9円に対し、アップサイド(上昇余地)は71円と、明らかにアップサイドの方が大きいです。このことからも、リスク・デメリットの方が大きいと結論づけることが出来ます。


電源調達調整費を導入している新電力の一覧


 最後に、電源調達調整費(調達調整費など名称は各社異なる場合がある)を採用している新電力を一覧で紹介します。一部プランのみ採用している新電力も含みます。



 会社によって電源調達調整費の計算方法は異なり、上で例として紹介したよりも価格変動幅がマイルドな電源調達調整費を採用している新電力も、逆に更に急峻な計算方法を採用している新電力もあります。また、卸電力取引所の取引価格の平均値を取る以外の方法で計算するプランもあります。




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