電気代を安くするために2023年の今、できること
大手電力各社の値上げが相次ぐ2023年。電気代を安くするために「今」やるべきことを、電気料金メニューの専門家として多数のメディア取材を受けてきた私が分かりやすく解説します(最近も日経トレンディ 2023年6月号に取材協力しました)
目次
電気代を安くするためにやるべき3つのこと
電気代を安くするために今、やるべきことは大きく分けて以下の3つです。
- 電気料金プランの見直し(割高プランの解約)
- 節電
- 創エネ(自宅発電)
以下、それぞれ詳しく説明していきます。
電気料金プランの見直しで注意すべき点
まずは電気料金プランの見直しを行ってください。
調整項目に注意
2023年6月に大手電力各社が最もベーシックな「従量電灯」を一斉に値上げします(中部、関西、九州のみ据え置き) 電気代が一気に4割前後上昇する地域もあります。
ですが注意したいのが新電力会社と契約している世帯です。
新電力の料金プランは、燃料価格の高騰により電気代が大手電力従量電灯よりも割高になっているものが大多数と言える状況です。燃料価格を電気代に反映する燃料費調整制度という仕組みがありますが、大手電力従量電灯のそれには「上限」があるので、一定以上に値上がりしません。
一方、大多数の新電力そして大手電力の従量電灯以外のプランには上限がありません。この上限の有無の差によって、電気代が大手電力従量電灯の1.3倍以上になっているケースが2022年下半期以降相次いでいます。相次いでいるというか、大多数の新電力がそのような状況です。
大手電力が値上げする地域では、概ねこの上限が無い水準まで大手電力が値上げするため、2023年6月以降は新電力が割高な状況が概ね解消される見通しですが、大手電力が値上げしない3地域では今後も当面、大多数の新電力が大手電力従量電灯より割高な状況が続きます。
更に注意すべきなのが、市場連動型プランです。昨今、ソフトバンクでんきやauでんきのような大手新電力を含め市場連動型プランに移行する新電力が急増しています。
市場連動型プランは、電力の取引価格が電気代に転嫁される料金プランです。電力取引価格が安いときには電気代が安くなりますが、高くなると電気代が暴騰することがしばしばあります。実際、とある市場連動型プランの電気代は2022年末に大手電力従量電灯の約1.8倍と大幅に高騰していました。
このような市場連動型は基本的にリスクが大きく契約を推奨できません。ですが知らず知らずのうちに市場連動型プランを契約してしまったり、契約していたプランがいつの間にか市場連動型プランに移行していたという声も多く聞かれるので、契約している電気料金プランを必ず確認してください。
電力取引価格が安く、安定している九州では市場連動型プランは選択肢の一つとして検討しても良いと思いますが、特に東日本エリア(北海道・東北・東京電力管内)ではデメリットやリスクの方が大きくなります。
迷ったら大手電力の従量電灯
契約しているプランが高いのか安いのか分からない、選ぶのも面倒だという人には東京電力や関西電力といった大手電力各社が提供している「従量電灯A/B/C」を契約してください。
大手電力従量電灯は経済産業大臣による認可が必要な料金プランです。基本的に安くはありませんが、市場連動型プランのように大幅に高くなってしまうことはありません。自分で判断が難しい方に最適な料金プランと言えます。解約違約金や契約事務手数料などの初期費用もありません。
なお、大手電力各社でも従量電灯A/B/C以外の料金プランは、従量電灯よりも高くなっているケースが多いので注意してください。「従量電灯ネクスト」といった料金プランも注意が必要です。
節電のためにやるべきことは?
節電をすることで、電気代を削減することができます。2022年以来、燃料価格の高騰が続いており電気代の単価自体も高くなっているため、節電による節約効果はより大きなものとなっています。
節電の具体的な方法は世の中に多く出回っているのでここでは詳しく紹介しませんが、家庭では空調と照明に多くの電気が使われているので、まずはこの部分の削減に取り組んでください。
私は「着るクーラー」と呼ばれるデバイスを装着することで、ルームエアコンを使うか微妙な気候のときでもエアコンを使わずに過ごしています。これだけで真夏も真冬も快適に過ごせるというわけにはいきませんが、幾分体感温度が変わるので快適です。消費電力もかなり小さいのでおすすめです。夏も冬も使えます。
また、夏の時期はクールリングと呼ばれる輪っか状のものを使うのもおすすめです。やはりこれだけで快適に過ごせる、というわけではありませんがエアコンの設定温度を1〜2度上げても快適に過ごすことが出来るので節電になります。価格は2000円前後なので1〜2シーズン使えば元は取れるでしょう。28度で凍結し、1〜2時間は涼しさが持続します。意外と涼しいのでおすすめです。
自宅で出来る創エネとは
創エネ、すなわち自宅での発電もおすすめです。
採算が取りやすいのは太陽光発電
自宅での発電といえは太陽光発電がおすすめです。エネファーム(家庭用燃料電池)やエコウィル(ガス発電:現在は製造終了)といったものもありますが、一般家庭で採算が取れるのは太陽光発電一択です。
太陽光発電は条件が悪くなければ、日本の多くの一般家庭(戸建て)で10年前後で元が取れると言われています。取付けることで電力会社から購入する電気の量が大幅に減るので、電気代の節約になるのはもちろん、余剰電力の売電収入も得ることが出来るため、諸々の経済的メリットを合計すると設置費用はちゃんと回収できるケースが多いとされています。
太陽光発電設備をめぐっては、同じメーカーの同じ製品でも購入する代理店によって「1.5倍程度の価格差が生じている」と経産省傘下の太陽光発電競争力強化研究会が2016年に公表しています。導入する場合は必ず、一括見積もりサイトなどを利用して相見積もりを行うことを強くおすすめします。
蓄電池を併用すると太陽光発電の電力を更に有効に使うことが出来ますが、蓄電池はかなり高価格であるため現在の価格水準では導入しても元は取れません。
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