電気自動車は本当にエコなのか、検証します
「走行中の」二酸化炭素排出量がゼロの電気自動車。しかし発電の多くを火力発電に頼っている我が国では「電気自動車はエコではない」と主張する人も少なくありません。
というわけで、実際の数値を元に電気自動車のCO2排出量を試算してみます。
目次
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試算の前提
まずは、試算をするにあたって前提となるデータをまとめたいと思います。
EVの実際の性能
まず重要なのが電気自動車の性能です。
車種 | 日産リーフ(ZE1) |
---|---|
電池容量 | 40kWh |
カタログ上の 航続距離 |
400Km |
実際の航続距離 | 200〜250Km程度 |
新型の日産リーフの航続距離は、日本のカタログ表示では400Kmとなっていますが、アメリカのカタログ値(基準が異なる)では240Kmとなっています。
この記事では、充電時の電気ロスやバッテリーの劣化なども考慮して「40kWhで200Km走行可能」と仮定したいと思います。
発電時のCO2排出量
発電時の二酸化炭素排出量については、環境省を通じて公表されている「CO2排出係数」を見るのが分かりやすいです。
CO2排出係数とは、1kWhの電気を作るのに排出したCO2の量(Kg)を表す指標で、例えば東京電力は0.500kgCO2/kWh(1KWhつくるのに0.5KgのCO2を排出)となっています。
実際のCO2排出量は?
前提が定まったので、実際にCO2排出量を計算してみましょう。
電池容量 | 40kWh |
---|---|
航続距離 | 200Km |
先ほどの前提で計算すると、1Km走るのに消費する電池の容量は0.2kWhということになります。
東京電力の場合、0.2kWhの電気を作るのに排出するCO2の量は
0.5kgCO2/kWh × 0.2 = 0.1Kg
つまり、日産リーフは1Km走るのに0.1KgのCO2を排出するということになります。
ガソリン車と比較して
では、ガソリン車はどれだけのCO2を排出するのでしょうか。まずは「e燃費」というサイトから比較対象となるガソリン車の「実燃費」を拾ってきます。
車種 | 実燃費 |
---|---|
日産ノート MEDALIST X |
16.39Km/L |
トヨタ プリウス ZVW51 |
24.41Km/L |
車格の比較が難しいところですが、ガソリン車の代表として日産ノート、それとハイブリッド車の代表としてプリウスをチョイスしました。
環境省の資料によれば、ガソリン1LあたりのCO2排出量は2.322Kgとのことです。上の燃費に当てはめてみると・・
車種 | 1Kmあたりの CO2排出量 |
---|---|
ノート | 0.142Kg |
プリウス | 0.095Kg |
日産リーフの排出量が1Kmあたり0.1Kgだったので、プリウスが最も「低排出」ということになります。EVよりもHVの方が低排出というのは意外ですね。
ちなみに、プリウスはプリウスでも1代前のモデルの平均実燃費は21.06Km/Lなので、この場合は1Kmあたり0.110Kgの排出量となり、リーフよりも排出量が多くなります。
ガソリンで換算すると、EVである日産リーフのCO2排出量は23.22Km/Lのガソリン車・HV車と同等ということになります。
見えないCO2排出量も・・
製造時や廃棄時にもCO2が出ます。
これがなかなか厄介で、そして走行に必要なCO2排出と比べて決して無視できる程の量ではないという事実もあります。一説によれば、製造段階で排出されるCO2の量は1台の車のライフサイクル全体の中で20%、HV車では40%にも及ぶとされます。
以上をふまえると、ライフサイクル全体で見ると現状でEVには大きなCO2排出量削減効果は無い、というのが結論になります。
EVのCO2を減らすには発電を見直す必要が
とはいえ、EVにはCO2削減の余地が大きく残されています。
上の試算では「東京電力エナジーパートナー」の電気を使って充電するという前提でしたが、これを自然エネルギー中心の電気に切り替えるだけで、大幅な排出量削減が可能です。
例えばソフトバンクでんきが提供している再生可能エネルギー70%のプランでは、CO2排出係数が0.072kg/kWhと、東電より85%も少ないです(しかも東電や関電より低料金)

この電気を使って日産リーフを充電した場合、走行に必要なCO2排出量は1Kmあたりわずか0.0144Kgとなり、ガソリン車である日産ノートのわずか10分の1という圧倒的な低排出を実現できます。
EVの利便性には期待大
電気自動車を下げるような記事になってしまいましたが、私自身は電気自動車には大きな期待を持っています。
EVは自宅でも充電できるので、ガソリンスタンドに行って給油する必要がありません。地方に行くと自宅からスタンドまで片道何十分も掛かる例もあるので、そうした「時間コスト」を削減できる点で電気自動車は「革命的」と言えるでしょう。
また、軽自動車の「走り」の向上という点でも期待できます。
軽規格はエンジンの排気量と馬力にはそれぞれ上限がありますが、トルクには上限が設けられていません。そのため、軽規格で発売した電気自動車「三菱i-MiEV」は馬力こそ64馬力と軽のターボ車と同じですが、トルクは18.4kgf・mと1.8Lガソリン車並、軽ターボの約2倍です。
モーターの特性も相まって、街乗りでキビキビ走れる小さなクルマとしても電気自動車に注目したいです。
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