電気自動車の電気代は?
最近は鳴りを潜めたものの、一時期は「走行に掛かるコスト」の安さをウリの一つにしていた電気自動車。では、実際のコストはいくらなのでしょうか。ガソリン車と比較しながら詳しく解説します。
目次
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実際のデータをもとにCO2排出量を試算
試算の前提
まずは試算の前提となる数値を設定します。カタログ値では実態とかけ離れてしまうため「実際の」数値をネットの情報などを参考に推定します。
EVの「電費」
最も重要なのはEVの「電費」 つまりガソリン車でいうところの燃費です。
車種 | 日産リーフ(ZE1) |
---|---|
電池容量 | 40kWh |
カタログ上の 航続距離 |
400Km |
実際の航続距離 | 200〜250Km程度 |
日産リーフはカタログ値では満充電で400Km走るとされていますが、計測方法が異なる米国基準では240Kmです(スペックは同じなのに)
冷暖房の使用や充電時のロスなども考慮して、今回は「満充電で200Km」と設定します。
電気代
続いて、電気代を考えてみましょう。
全国で原発が稼働していた頃は深夜の料金単価を大幅に割り引くプラン(東電の「夜トク」など)がありましたが、現在は夜間の料金が大幅に上がっています。また、日常生活で使う分の電気も考えると、必ずしも「夜安い」=「昼間高い」プランを選ぶのが得策とは言えません。
というわけで、家庭向けとして最もベーシックな東京電力エナジーパートナーの「従量電灯Bプラン」(一日中同じ料金単価)で試算したいと思います。
段階 | 料金単価 |
---|---|
1〜120kWh | 19.52円/kWh |
121〜300kWh | 26.00円/kWh |
301kWh〜 | 30.02円/kWh |
日本の大手電力会社は使用量が増えるごとに単価が上がる「3段階制」の料金体系を取っています。
電気自動車を所有する戸建て住宅では、日常生活で使う分の電気だけでも月間300kWh以上の電気を使うことが多いので、今回は基本料金と1・2段階目の単価を無視して「30.02円/kWh」で計算します。
EVの走行に掛かる電気代は○円
前提が定まったので、実際に電気代を計算してみましょう。
1Kmあたりの電気代は
40kWの充電で200Km走行。つまり1Kmあたり0.2kWhの電気を消費するという計算になります。1kWhあたり30.02円なので・・
30.02 × 0.2 = 6.004円
日産リーフは1Kmあたり6.004円の電気代が掛かるという結果になりました。
ガソリン車との比較
6.004円と言われてもピンと来ないでしょうから、ガソリン車と比較してみます。レギュラーガソリンの価格をリッター130.8円、軽油を107.1円(e燃費:2017年11月10日閲覧)、各車種の平均実燃費を同じくe燃費から拾って計算してみます。
車種 | 平均実燃費 | 1Kmあたりコスト |
---|---|---|
日産 リーフ | 6.002円 | |
日産 ノートe-Power | 20.68Km/L | 6.325円 |
トヨタ アクア | 23.65Km/L | 5.531円 |
トヨタ プリウス | 24.55Km/L | 5.328円 |
マツダ デミオ (ディーゼル) |
20.32Km/L | 5.270円 |
結果はご覧のとおり。
ノートe-Powerよりは安いものの、HV車やディーゼル車よりも割高という結果になりました。
ちなみに、レギュラーガソリン130.8円、電気代30.02円/kWhという前提だと、日産リーフは「リッター21.8Kmのガソリン車並」の走行コストとなります。
コストを下げる余地は?
電気自動車には厳しい試算となってしまいましたが、一方で電気自動車にはコストを下げる余地が残されています。
電気代しだいでコスト削減余地も
電気自動車の充電コストは電気自動車自体の性能に左右されるのはもちろんのこと、電気代によっても大きく変わります。
例えば、東電エリアでは電気代が安い新電力会社は東電標準メニューと比べて電気代が5%以上安いものがあります。充電に使う電気のコストが5%変われば、その分走行に掛かるコストも変動します。
こちらのグラフは、横軸が充電に使う電気代の単価(円/kWh)、縦軸が1Kmあたりのコスト(円/Km)です。当たり前のことではありますが、電気代が安くなれば走行コストもグンと下がります。
電気自動車でコストメリットを得るには
では、電気自動車でコストメリットを得るにはどうすればいいのか。
電力会社を乗り換える
まず一般家庭で簡単に出来る方策としては、電力会社・プランの変更です。
電力自由化で多くの新電力が参入しているので、その中から安い会社を選ぶことで電気自動車の走行コストを下げることが可能です。
電気自動車の走行コストだけでなく、家庭の電気代も削減することが出来ます(こちらの部分の方が使用量が大きい)
電気代が安い地域ではコストメリットが大きい
日本国内でも地域によって電気料金の水準に差があります。例えば一般家庭(月300kWh程度:2人暮らし世帯の平均程度)で試算した場合、北陸電力と北海道電力では全く同じ使用量でも1ヶ月2千円もの差になります。
つまり、北陸地方のように電気料金の水準が低い地域では、電気自動車のコストメリットを得やすいというわけです。
例えば北陸電力の従量電灯Bプランの3段階目料金単価は22.98円/kWhですから、日産リーフの走行コストは1Kmあたり4.596円。ガソリン車換算でリッター28.5Kmですから、全てのガソリン車・HV車より低コストです。
更に、そんな北陸地方でも新電力に乗り換えることで更に電気料金を下げることが可能。Looopでんき(計算が楽なので例として出しています)なら21円/kWhなので、ガソリン車換算31.1Km/Lとなります。
ただし、車両本体価格が高価であることや充電設備の設置費用を考えると、まだまだ一般家庭で「元を取る」のは難しいでしょう。
工場・大規模オフィスでも低コスト
一般家庭や小規模なビルや工場などで使われる「低圧電力」の他に、大規模な工場やオフィスなどで利用される「高圧電力」というものがあります。
高圧電力は電気の使用量が大きいため、その分単価が非常に安く抑えられています。例えば東京電力の「業務用電力(高圧)」の場合、1kWhあたり16.08円と一般家庭向けのほぼ半額です(夏季は17.22円)
16.08円/kWhの電気でリーフを充電した場合、1Kmあたりの走行コストは3.216円。プリウスと比較しても四割も低コストです(ガソリン車の燃費に換算すると40.7Km/L)
業務用だと走行距離も長くなりがちである点や、給油の手間の削減(人件費等)を考慮すると電気自動車の方がトータルで割安になるケースもありそうです。
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